日光例幣使道・日光壬生道4 合戦場宿→鹿沼宿
日光例幣使道とは1647年から221年間、朝廷の勅使が京から日光まで、徳川家康の法要の為に通った道。
中山道・倉賀野宿から日光道中・今市宿まで、日光壬生道を経由し三十一里十丁118.2km、勅使の気持ちになって歩いてみます。
2022.04.16
1.スタート地点まで
雨の朝、降る事も覚悟しながらスタート地点の、合戦場宿に向かいます。青春18きっぷの利用期間中の始発電車のボックスシートはいつも混んでましたが、利用期間外の今はガラガラで助かります。
青春18きっぷは、運賃面だけでなく旅全体の時間有効性などを考えると、本当に得なのでしょうかね。
栗橋駅で、宇都宮線から東武日光線に乗り換え。薄着できたら寒くて車内で震えてました。
2.合戦場宿
合戦場とは珍しい地名です。戦国時代に、皆川宗成と宇都宮忠綱がこの地で戦ったのが由来。
3.六基子育て延命地蔵
六基子育て延命地蔵。
目の病にかかった地蔵堂地主の先代が、
祈祷してもらった行者から、廃仏毀釈で川の堰止めに使われた石を引き上げるよう告げられ、引き上げたところ六体の地蔵が刻まれており、その後は地域で延命地蔵として祀られてます。
街道沿いは花々が豊富で、本日は多くの生垣も楽しめました。
4.北関東らしい風景
合戦場宿を出て、何気ない北関東の風景の中にも、街道の特色が垣間見えてきました。
北関東風お屋敷、馬力神、大谷石の蔵、この後も何度も目にします。
十九夜碑。
下野國に入ると、月待信仰の石碑の殆どが十九夜碑になります。
女人講と刻んである通り女性だけの集まりで、子授けや安産を祈ってました。
栃木県はいちごの作付面積・収穫量・産出額共に日本一、以下福岡県・熊本県。
栃木県県内の作付面積は、真岡市→鹿沼市→栃木市の順で、現在地は栃木市家中地区、本日は栃木市→鹿沼市の順に、全国屈指のいちご生産地帯を進みます。
5.朝食
4枚目写真の白い牧草ロール。
牧草を円柱状に固めたもので、牧場が多い栃木県北部ではよく目にしますが、栃木県南部にあるのは珍しいです。
最近の街道歩きでは、歩き始めて1~2時間位で朝食を食べるのが楽しみに。
ところが道沿に飲食店が無く雨上がりで寒いというコンディション。コンビニでサンドウィッチを購入し、石碑の裏にお邪魔して食べました。
こんな時の食事の方が、不思議と想い出に残ります。
6.金崎宿
例幣使道は、どこからが宿場なのかわりずらい場合が多いのですが、金崎宿は蔵が突然増えてきたので、なんとなくわかりました。
アースの由美かおるの看板、久しぶりに見ました。この付近は昔の看板が、結構普通に残っており、建物の入れ替わりが少なく、程よく様々な物が大切に放置されているのでしょうね。
最後の写真の歓迎看板の跡。
全国的にこの様な公道を跨ぐ看板は、絶滅危惧種的な存在になってます。
この看板にはきっと、"歓迎 西方町商店街"のような文字が飾られていたのでしょうね。
金崎宿はここまで、開発の波は押し寄せず、土地を維持する力の限界がきた時、街はどう変化するのかが気になります。
7.思川
思川を渡り鹿沼市に入ります。
土手には昭和天皇ご成婚記念桜並木。
見事でしたが散った後で、最後に僅かだけ花弁が残ってました。
磐裂根裂神社、珍しい名前の神社で、磐裂神と根裂神が主祭神。
鳥居や拝殿の注連縄が低くなっている神社が、本日は何箇所かありました。神様に頭を下げましょうと、念押しをしているのでしょうね。
8.東高野山医王寺
先月仕事の会合で鹿沼に来ることがあり、医王寺のご住職とお会いした際に国宝級の茅葺き屋根がある事を知りました。
例幣使道から往復3.2kmならば行けると、大好きな寄り道開始。途中から、物凄く大きな茅葺き屋根が見えてきます。
到着!
緩やかな坂を登り仁王門をくぐります。誰もいない事が、不思議でなりません。
もう言葉は要りませんね。
最高の寄り道、想い出に残る素敵なひとときを過ごせました。
医王寺からの帰り道、険しい階段と鳥居を発見。これは登るしかありません。
階段は綺麗に掃除がしてあり、頂きにあった祠の周りも、綺麗に手入れがされてました。
寄り道の寄り道、楽しいですね。
寄り道はここまで。
今日一番長閑な里山風景でした。
長屋門や立派な門がいくつか残ってます。
ところで馬力神という石碑、様々な街道を歩いてますが、初めて見ました。
馬の守護神で、栃木県や宮城県で多く見られるそうです。
日光道中と奥州道中を歩きましたが、ありませんでしたので、栃木県内でも鹿沼市付近だけなのでしょうね。
ビニールハウスの中に、田植えを待つ稲が綺麗に並べられてました。
田植えのシーズン到来です。
9.楡木宿
日光壬生道と合流、日光例幣使道はここまでとなります。国道も293号と352号が合流し、賑やかになってきました。
鹿沼は、園芸コーナーで売っている"肥料の鹿沼土"で有名ですが、こんにゃく・さつき・木工も有名なのです。
筆者ご若かりし頃、旅行会社の宇都宮支店に12年勤務しており、営業車でよくこの近くを走ってました。
10.奈佐原宿
すぐに奈佐原宿、楡木宿から一里もありません。
蔵付きの売物件が気になります。
奈佐原宿文楽。
希少な地域の伝統文化、今後の継承が大変そうです。人口が減るので、今のうちにアーカイブなどで残した方が良さそうだなと感じます。
鹿沼市にはさつきの園芸農家がたくさんあり、道沿いにたくさんのさつき販売店がありました。
街中なのに長閑な風景が同居する、歩き心地の良い道でした。
たんぽぽの群生地は、しゃがんで眺めると、行ったことないけど、まるで天国のようでした。
今回歩いた例幣使道のランチのこだわりは、500~600円の醤油ラーメンがある店に通い続け、動く定点観測をする事。
ご当地グルメも良いですが、こんな味わい方もなかなか面白いですよ。
11.鹿沼宿
勝善神、これもはじめて見ました。
馬を供養する神様で、栃木県に多く分布しているそうです。
途中に例幣使道が二手に分かれる、綺麗な追分がありました。
その中心にあるのが、鳥居跡。日光にある二荒山神社から勧請されて建立。
鹿沼宿のクライマックスです。
本日はここまで。
まちの駅にあった木彫りの芭蕉と會良、木工の街鹿沼らしいですね。この後はバスで温泉に向かいます。
鹿沼市は、崎陽軒創業者の出身地。
という事で、シウマイでまちおこしを仕掛けてます。ストーリーを育てる、アグレッシブでチャレンジングな取組み、素晴らしいと思います。
次回でゴールとなります。