moog THEREMINIを買ってみた。
先日、何年かおきにやって来るテルミン熱の話題を書きましたが、やはりというか、どうせというか、ほれ見てみぃと言われるのも承知の上で、moogのTHEREMINIを購入したでござる。
現在流通しているテルミンは種類もさほど多くなく、演奏用に適したものではmoogのEtherwave Standard]、Etherwave Plus、THEREMINI、学研のテルミンPremiumの4択になると思われます。
いきなりBig Briar(現在のMoog Musicの前身)Model 91Aの出物を狙う野心家さんの場合は別ですが。
THEREMINIは、同社のiOSシンセアプリ”Animoog”由来のDSP音源、スピーカーとディレイを搭載し、スケールによって外しようのない演奏が可能な上に、MIDIやCVコントロールまでできるという、正に「悪魔の楽器」。
誕生からおよそ100年経ってようやく実現したDSP音源。おそらくmoogだからこそなし得た(原理主義者も黙認した)進化だと思います。
多機能ながら4万円前後で、テルミンPremiumのすぐ上の価格帯となるわけですが、考えてみればmoog製ハードにしては破格の安さです。
発売からすでに5年ですが、なぜか縁がなかったんだよねぇ。
流石に発売から日が経ちすぎたせいか、ネット通販には苦労して、3軒目でようやく新品をゲット。
つか、新商品でもないのに入荷未定のものを掲載すんなよなぁ、某店と某店は。
諸事情で職場に配達してもらったので、スタジオにて開封の儀なぞ。
そうそう。ハードウェアとしてはマイ・ファースト・モーグなんですな、これが。
だからパッケージが新鮮でした。
箱を開けてまず目に飛び込むのは「Mooooooog」の文字。おっと"o"が多すぎた。裏は英文のクイックスタートになっております。
箱の中には本体の他、英語版マニュアルと日本語版、レジスターせい、ファームアップせいと促すメモ、そして保証書、電源系が入っております。
スタジオに譜面台しかなかったので、やむなく乗せてみたわけですけど、ホントは本体の下に金属があっちゃイカンのですよ。
干渉しまくりですから、御法度中の御法度。
まあこんな状況でもキャリブレーションすれば、THEREMINIも「そういうもんか」と納得してくれるようで、それなりにアンテナは機能してくれるんだけどね。
そういう事情でボリュームアンテナの効きには目を瞑り、まずはピッチを探ってみます。
やはり譜面台の影響なのか、安定してるのか不安定なのかよくわからない。ということは不安定なのか。
とは言え、ものの1、2分でクローズポジションからの運指もこなせ、定番の「星に願いを」はなんとか弾ける程度に。
スピーカーとディレイがあるのは最高だなオイ。
普段シンセを扱っていれば、モニターもエフェクターも常備してると思いますが、初めての楽器がテルミンともなると、Etherwaveだったらスタンドにアンプにエフェクトでざっと10万超えでハードル上がっちゃいますから、なにしろ。
しかもありがたいことにヘッドフォンジャックも完備。深夜のレッスンもこれで安心。
フロントの液晶では現在鳴っている音階と、ピッチが正しいかを確認できます。
曲の出だしをキッチリ決めたい時は、ボリュームをオフにした状態で右手をスタンバイしておけばいいわけです。
便利な機能とは思う反面、結構チラチラと視界に入ってきちゃうので、演奏に集中できない人もいるのではないかと。
さて、THEREMINIの魅力のひとつはAnimoogエンジンによる多彩な音源。オリジナルのテルミン波形を含め32音がプリセットされています。
中には本家Animoog同様、時間軸のモジュレーションが入ったものもあり、ディレイの効果と相まって、あのスペーシーなサウンドが楽しめます。
なお単体ではプリセット音をエディットできません。
その代わり、moogではipad/mac/PC用のエディターを無料配布しています。
画面はiPad用のもの。PC用もほぼ同じです。
ちなみに製品ページではiPadアプリしか見当たりませんが、ユーザー登録すると、メールでMac/Win用アプリのダウンロードURLが送られてきます。
だから「レジストせい」というお知らせは大事です。
基本的にはアナログシンセで言うところのVCO-VCFの減算方式。エンベロープがない代わりに、アンテナと指の距離に紐付いた変調が多いのが特徴です。
USB接続されたTHEREMINIの発音にもすぐ反映してくれます。
もうひとつの売りであるスケールですが、通常のテルミンの演奏に慣れてしまうと、どうもしっくり来ないということは書いておきます。
初めてテルミンに触れる人にはいいんでしょうが、ある程度かじってしまうと、結局ピッチの変化幅を通常のテルミンに修正してしまうかと。
そうそう、ファームウェアのアップデート確認は必須(2019年6月時点で1.1.1)。
アンテナからのビッチ幅が改善され、ノブの挙動がオリジナル・テルミンに近くなるTHEREMIN MODEが追加されます。
とりあえず今日はこんなところで。
自宅に帰って頑張って弾きこなしてみよう。