Roland S-1はやっぱいい。めちゃくちゃいい。
最近Rolandの勢いにはただただ唸らされます。
こどもからの夢だった「アナログっぽいノブやスライダーまみれのオールインワンシンセが欲しい」という夢をSH-4dで叶えられました。
最初の女は忘れない
SH-4dで「これで5年は戦える」と満足したところへ、”追い5年”されてしまったようなAIRA Compact S-1。
今度は「手軽に持ち運べる本格派シンセが欲しい」という、もうひとつの夢が叶ったのです。
ベースとなったSH-101は僕にとってファーストシンセです。
しかし時代の宿命というやつで、和音も出ずMIDIもないアナログ機からは早々に卒業してしまいました。
が、やはり「最初の女は忘れない」というハードボイルドな気分で、面影を求めてSYSTEM-1やZENOLOGYやSH-4dに手を出してきた、ウブな俺の半生です。
イベント仕事もあり、やや出遅れて注文したんですが、思ったより早くお迎えすることができました。
ついては初夜に触ってみた印象を書いていきます。
いい音とは
まず音については、そのものズバリ「最の高」でございます。
プラグインシンセなどの音に慣れてしまうと、何をもって「いい音」と表現すべきか、よくわからなくなります。
あくまで自分の基準ですが、アナログだろうとバーチャルだろうと、フィルター全開で鳴らした矩形波で良し悪しを判断しています。
この際、波形がふたつ鳴らせるなら、2オクターブ下の矩形波も重ねます。
オリジナル機に触れた方なら同意してもらえると思いますが、これ「SH-101で鳴らす一番いい音」が基準になってるわけですよ。
S-1はまさに耳馴染みのある「いい音」です。
そりゃ回路レベルで再現されたACBシンセだから、というのが最大の理由でしょう。
同じAIRA CompactのJ-6も、まず音の良さに驚かされましたから。
ただ、同じACBでもSYSTEM-1のPLUG OUT版は、解像度が高過ぎるのか、高域で耳につくところがあったんだよな、と聴き比べて感じたところです。
後続のSH-2はどっしりしていて良かったんですけど。
前にも書いたように、SH-101の機能はほぼ全て網羅されている上に、ドローやチョップで新たな波形を作ることができ、エフェクトもリバーブ、ディレイ、コーラスがすべて同時に使えます。
エフェクトの完成度はお見事としか言いようがありません。
特にリバーブはどのタイプも原音との馴染みがよく、実にいい湯加減です。
正義のチョップ
そして新機能のOSC DROW/CHOP。
公式動画みたいに波形を見てやろうと思ったんですが、あいにくオシロスコープを持ってません。
S-1はiOS対応なので、iPhoneやiPadに繋いでオーディオのやりとりができます。
そこで無料のオシロスコープアプリを入れてみました。
iPad miniに繋いで、適当にCHOPしてみた結果。
そうそう、こういうのでいいんだよ。
矩形波をいじるDRAWはともかく、CHOPでできる音は出たとこ勝負。
SH-101はじめ過去のアナログシンセでは聴けない不思議なサウンドです。
しかも、4つのオリジナル波形をノブでフィジカルにミックスできる、というのはすごいハナシですよ。
ちなみにノーマルな矩形波や鋸歯状波の波形はめちゃくちゃ綺麗でした。
左上から時計回りに、矩形波、鋸歯状波、自己発振によるサイン波、ホワイトノイズ。
教科書のようですな。
安定のSHIFT天国
ところで、先に「SH-101の機能は網羅」と書きましたが、ぱっと見フィルターのキーフォローつまみが見当たりません。
こちらはSHIFTキー+ENVノブで操作可能。
またGATE/TRIG式の独特なVCAセクションはSHIFTキー+パッド押しです。
あれだけボタンやノブの並ぶSH-4dですら、SHIFTで呼び出すメニューが多いので、S-1の小さいパネルじゃなおさら仕方ないんですが。
海外ではこんな意見も。
ざっくり訳すと「操作イラつく。後は最高」…まあ、そうなりますわな。
ま、税抜き1万円台で、ここまで機能を詰め込まれてるわけですから、Rolandには感謝しかありませんけどね。
SH-4d mini
多機能という点では、D-Motionやドローを始め、SH-4dを踏襲しているところが見られます。
シーケンサーもプロバビリティとサブステップの設定など、作業フローが同じように進められます。
というか、もはやSH-4d miniって呼んでも誇張じゃない気もしますけどね。
S-1使い倒して「もっとトラック数増やしたい」とか「違う音源も試したい」と思えば、SH-4dにステップアップするのは順当かなと思います。
そもそもオシレーターにもSH-101があるし。
誇張抜きに本格的なシンセサイザーが、Nintendo Switch Lite並みのサイズで持ち運べる上に、充電してどこでも使える。
ホント、いい時代になったもんだなあ(老)