ツェルマット旅行記(ゴールデンウィークのスイス)
Zermatt(ツェルマット)
マッターホルンを堪能できる街、Zermatt(ツェルマット)。
スイスの連峰を訪ねる旅では人気の目的地。
私の場合、イタリア側から入り、スイス側に抜ける行程での訪問となった。
イタリアからツェルマットを目指した際のひと悶着は別Noteにまとめてあるので、よろしければどうぞ。
駅前
ようやっとの思いで駅に降り立つと、みぞれ交じりの雨に迎えられた。
標高1600mの谷底に形成された観光地の皐月の空は厳しい表情を見せた。
大気汚染防止のために、内燃機関の自動車が制限され、名物の小型電気自動車が駅前で列をなしていて、「あぁ、これが」という感じだ。
Matterhorn Glacier Paradise(マッターホルン・グレッシャー・パラダイス)
当日の予報は曇りのち晴れ。
ツェルマットの街からはマッターホルンははっきりとは臨めない。
クライン・マッターホルン山頂にある展望台へはリフトとゴンドを乗り継いで到達した。
冬季のハイシーズンのみ稼働するリフトがある一方で、ここは1年中スキーが楽しめるため、稼働していた。
街中(1600+m)から始発のFuri(フーリ)1864m、そこからTrockener Steg(トロッケナーシュテーク)2940m、Matterhorn glacier paradise(マッターホルン・グレッシャー・パラダイス)3821mへとどんどん高度が上がる。
正直なところ、曇りの予報で期待はせずに、リフトに乗り込んだ。
トロッケナーシュテークから展望台に向かうゴンドラで雲海を抜けると晴れ渡る空が待っていた。
予期していた曇りの景色ではなく、晴天に一気にテンションが上がる!
テンションと同様に、高度も一気に上がっていた。
ゴンドラを降りると息が苦しく高山病の症状が出る。酸素を消費する動きは禁物だった。
1日当たり1500mが人間が高度順応する目安と聞いたことがあるが、それをはるかに超える高度の変化があり、なかなか厳しい。
3800mという富士山頂並みの高度でレストラン(Peak Shop)が営業しており、体を慣らすためにも入店。温かいコーヒーをいただき、休憩する。
意を決して、展望台へ。
大パノラマで周囲の山々やマッターホルンを堪能できる。
また、反対側には氷河をくりぬいた道(Glacier Palace)もあるが、勾配のある道を歩き回るのは低酸素状態ではつらい体験になりかねない。
展望台を堪能し、トロッケナーシュテークまで降りる。
3000m付近とはいえ、高山病は緩和されて一気に楽になる。
ゴンドラの乗り継ぎの他にも、土産物屋やゲレンデのカフェテリアのようなレストランがあり、昼食をいただくことにする。
伝統的なスイス料理(レシュティというポテト&大きな焼いたソーセージ)とビールをチョイス。
実は食事前や食事中は、マッターホルンがよく見えていたのだが、食事を終えて写真を撮ろうとしたタイミングで雲がかかってしまった。
「山の天気は変わりやすい」
まさにその通り。シャッターチャンスがあれば、逃さずにまずは撮影した方がよさそうだ。
また、高山病もそうだが、紫外線量も多いためサングラス(目の保護)や日焼け対策(日焼け止め、帽子など)はしておくべきだろう。
朝陽に染まるマッターホルン
日の出の時刻をチェックして、出かける。
幸いにして、今朝の天気は良好だ。
朝陽に染まるマッターホルンに出会えるのか?川沿いを歩いていく。
日本人橋をさらに上流へ歩き、朝陽に照らされるマッターホルンを楽しむことができた。
Gornergrat(ゴルナーグラート)
Glacier Paradiseと並び、ツェルマット観光のハイライトとなるゴルナーグラート。麓からは鉄道で向かうことができる。急勾配の走行のため、ラック式(中でもアプト式)となっており、線路にもクッキリと歯車とかみ合うための凹凸が確認できる。
進行方向、右側の座席がマッターホルンを臨むことができ、人気がある。
8時発では、それほど混んでいなく右側を確保できた。
(帰りにすれ違った列車ではほぼ満席状態であったので、早めに並んで席を確保するのがよさそうだ)
景色を楽しみながら電車に揺られること35分ほどで、終着のゴルナーグラートに到着。お約束の氷河を臨む。
徒歩でクルムホテル ゴルナーグラートへ。このホテルの周辺は除雪されているため、凍結していない。
更に高台へ向かい、ホテルと遠景にマッターホルンをとらえる。
夏山シーズンであれば、ゴルナーグラートからハイキングで下山するのもよいアクティビティであろうが、5月のゴルナーグラートは勝手が違う。
雪に覆われており、軽アイゼンなど雪山の装備がないと歩き回るのは難しそうだ。一方でパラグライダーによるツアーは催行されていた。
クルムホテルから高台にいくところ以外は危険(凍結で転倒しやすい)なこともなく、高山病にもなりにくく、観光で行くには適していた。
物価や決済について
昨今の物価高、それに加えたスイスフランの強さ、日本円の弱さを考えるとスイスの物価はとても高く感じる。
上述のリフトも鉄道も往復で110 CHF(約17,000円)程度と、片道30~40分程度の移動に大きな金額がかかる。
箱根温泉(強羅)に箱根湯本から行くのはおろか、新宿から行ってももっと安い。(日本の質と安さはすごい。。)
1 CHFは100円でも感覚的には高い。
ゲレンデのカフェテリアで料理1品と1ドリンクで、30 CHF(約4,500円)程度なので、きちんとしたレストランでの食事は推して知るべし。
スーパーマーケットでサラダやハム、チーズ、ビールやワインを買い込んでの夕食では、結局は70CHF(約10,000円)程度になった。
ちなみに、スーパーは3カ所あり、すべていった。
Coop(世界共通:駅前の複合ビル内)、Migros(スイス大手)、Denner Partner(ディスカウント)
CoopとMigrosでこと足りたが、Dennerで大容量のお菓子などで気に入ったものがであれば買いだ。
衣料品や靴なども高く感じられた。
スポーツシューズが300 CHFで売られていたが、日本で買えば半額くらいなイメージ。
スイスフランは、日本で両替するとレートが悪いので現金は必要になったら両替する計画にしていた。
結果的には、現金は一切使わずに、クレジットカード決済でこと足りた。有料トイレもクレジットカード利用ができた。
一度だけ、土産物店で最低決済金額は10フランからという制約があったが、それ以外の場面で現金が必要になり困ることはなかった。
まとめとミニ役立ち情報
お金はかかるがGlacier ParadiseもGornergratも行くべし
明らかに天候が悪いようでなければ、ともにチャレンジしてみるとよい。ちなみに、Liveカメラのサイト(https://www.zermatt.ch/en/Webcams)があるので、事前チェックも有効。麓では雲がかかっていても、山頂は違うということもある。5月という時期について
夏山と冬山がハイシーズンだとすると、5月は閑散期にあたる。
街中は建設工事がいたるところで見られた。建物のメンテナンスなどが盛んにおこなわれ、建設作業員が行きかう。
Glacier Paradise方面ではスキー客もいたので、スキーはできそう。
ハイキング(ゴルナーグラートから下山しての逆さマッターホルン)が目的であれば、5月は雪に覆われているため厳しい。夏のハイシーズンにした方がよさそうだ。逆に雪景色を観たいのであれば十分に堪能できる。
服装は、標高が高い場所を除きウィンドブレーカー+薄手のダウンなどで調整できた。雪が残りみぞれが降る一方で、晴れれば気温はあがるため重ね着で調整できるとよい。
Glacier Paradise(標高3800m)では厚手のダウンを追加して防寒した。
マッターホルンを臨むためには、何日間か滞在した方がよい。私の場合は2泊したが、後半天気がよくなって、しっかりと青空に映えるマッターホルンを見ることができた。持ち物や準備
ツェルマットへのアクセス(ミラノから)については前Noteを参照いただきたいが、高地での活動向けに、紫外線対策(帽子、サングラス、日焼け止めなど)は必要だ。特に雪もあるためサングラスは目の保護のためにあった方がよいと思われる。
また、Glacier Paradiseに行く方は、高山病の緩和のために普段からの有酸素運動による心肺機能の強化がおススメ。
かなりご高齢な観光客がスタスタ歩き回っているのには驚く。おまけ
冒頭の「大気汚染防止のために、内燃機関の自動車が制限され」というくだりだが、街のすぐ近くまで自動車の乗り入れができるようだった。
夏山規制などがあるのかもしれないが、2023年の5月はたくさんの車が出入りしていた。
スイス鉄道の旅、ツェルマットでの滞在は天候に恵まれたこともあり、とてもよい体験となった。
ハイシーズンではなかったものの、スイスの自然を十分に満喫することができた。