キウクラム【すりぬける】
皆さんはキウクラムという工芸品を知っているだろうか。この工芸品はオイエット村という村のカムラタという技術士にしか作れない伝説の工芸品である。希少性も相当高く、これを入手した私の親戚は村の人々に作ってもらうように頼んでから作ってもらえるまで、丸一年かかったそうだ。
何故そんなにも時間がかかるのか、その理由はキウクラムの製造過程にある。
まず、よく日の当たる場所に祭壇を作りその上に型を置く。そして、彼らはそれらを祭壇ごと村の近くの鍾乳洞に移動させるのだ。これにより、一度温められた空気が冷やされれ、空気の性質はわずかに変化する。さらに、彼らはこれを1年間、毎日繰り返す。これにより空気の性質は完全に変化し、透明でありながら固体のような性質を持つようになるのである。
最も、これと同じ方法を我々が行った所で同じ結果にはならない。
ハーバード大学の研究によると、彼らの村の近くの鍾乳洞に特殊な物質が作用しているそうだが、詳しいところはわかっていないそうだ。
しかし、何はともあれ今はキウクラムの美しいフォルムをじっくりと鑑賞していただきたい。しかし、くれぐれも手を触れないように。キウクラムは非常に不安定なので、触れてしまえば壊れて他の空気に混ざって無くなってしまうのだから。
キュレーター 春山 林