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はみでたブロック【すりぬける】
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群馬県にいるゲーム好きな友達の家に泊まった時のこと。
その日はレトロゲーから最新ゲーまで網羅し、ゲームを遊び尽くした日。俗にいう最高の日だ。
深夜3時。さっきの喧騒とは大違いの静かな時、僕は尿意を覚え、目が覚めた。用を足し、寝室に戻っている時、さっきまでゲームをしていたリビングが青く光っているのを見かけた。まさか友人がまだゲームをしているのかと思い、覗くとそこにはテトリスの画面が映された古い型のテレビがあるだけだった。
消し忘れたかと思い、ゲーム機を手に取ろうとするとその異変に気がついた。
ゲームが続いているのだ。どっちのプレイ画面ももう上まで満杯だ。なのにゲームは終わらないで続いている。もっとよく見るとテトリスの積める箱から溢れているのだ。数分もしないうちにテレビは図形で満杯になった。テレビが小刻みに揺れ始める。僕はその青白い画面に魅入られて動くことができなかった。
揺れはどんどん大きくなっていく。その揺れが最高潮に達した時、図形達がテレビから溢れ出してきた。テレビの画面は点滅して完全に暗くなった。近くにあった図形を、水色の図形を手に取る。他の図形はどんどん薄くなって消えていった。
僕の手の中に残ったテレビからすり抜けてきたその水色のテトリスはほんのりと暖かかったのを今でも手が覚えている。
キュレーター 神野 祐介