17 雨としがないOLの話
…ダイエットも楽じゃないな…
あれから3か月たった。
緊急事態宣言延長だ自粛だなんだの、TVからは毎日感染者数だの、世間が騒いでいたが、婚活は止めても自己研磨は止めたら私はここで死ぬ。
師匠を見返したい、振り向かせたい一心で、雨の日と体調が死ぬほど悪いとき以外は、毎日10キロのウォーキングを続けていた。週7である。
しがないの唯一の武器、それは『地道な努力ができる』ことである。
やると決めたことはやる。心の中のヤンキーが、「シンドイヨー…」「デキルカナ…」など、弱気になった自分をしばきあげるのである。
「お前はやるしかねぇんだよ」
6キロほど痩せたとき、左ひざが壊れた。どうやら水が溜まっているらしい。そんなものは知らない。私は絶対に痩せないといけない。
それでも歩く。雨以外はあるく。
雨はいつも私の邪魔をするけど、それすらも糧にしてやる。
肝心の師匠からのLINEは月に1度、送られてくるかどうかだったが、正直そんなことはどうでもよかった。
いつか巡り合ったときに驚かせる。その一心で毎日歩く。
10キロのウォーキングはいつの間にか、15キロのウォーキング&ランニングになっていた。少しずつ走る距離を増やした。はじめは500mで悲鳴をあげていた足、息切れしていた体力もいつの間にか6km走れるようになっていた。
体調を崩しながらも毎日走る、歩く。
30代も半ば、小さい頃から太っている私にとっては本当に甘くないダイエット。これもサボってきたツケである。
糖質制限も順調だがなかなか体重が減らない。
しがない は半端が嫌いである。
全力でやってダメならダメで仕方ないけど、『あのとき、こうすればよかった』とか『もっとこれをやっておけば』という後悔が死ぬほど嫌いである。
全力でやってダメなら、何かしら経験を得て次につなげることができると信じている。
だから、結果はどうであれ全力でやるだけやって後ろは振り返らない。
それがしがないの生き様だ!
肝心の婚活はというと、マッチングアプリでメッセージのやりとりは続けていた。「緊急事態宣言で会えませんねー」とか言いながら。
マッチングアプリのアポの賞味期限はだいたい1週間~2週間だと思っている。それ以上はメッセージが続かないし、誘われなかったら終わりだと思っている。メッセージへかける労力の無駄。
これは、相手が悪いのではなくて「自分が誘われるだけの価値がない」ということである。やられたらやり返すは、やったらやり返される。
メッセージしていて微妙だなと思ったらFO(フェードアウト)するし、相手からもされる。
これは世で言うフィーリングだろう。そんなに甘くないんですマッチングアプリ。
コロナでご飯に行けない中で、メッセージのやりとりが1ヵ月~2か月続く…?無理ゲーがすぎる。賞味期限切れるわ!と思いながら、マッチしてはメッセージしてFOの繰り返し。
コロナは絶対許さん。本当に許さない。オンラインには抵抗があったので、なかなか婚活が進みませんなぁ…となんだかんだコロナのせいにしながら、今は自己研磨だ!と思いながら毎日走り続けた。
緊急事態宣言中に誕生日を迎えた師匠へのプレゼントを、デパートまで買いに行ってお店がやってなくて、何も連絡せず帰ったり。
多分、師匠本人は私に誕生日を言ったことすら覚えていないだろうがな!!
と思いながらも、少しの恋心を闘志に変えて自己研磨し続けるしがない。
しがないの戦いはこれから(コロナが落ち着いたら)だ!
そんな状態が7月末ぐらいまで続いた。
そんな中、顔も半分ぐらいしかわからないが、写真がすごく楽しそうな人とマッチしてメッセージのやりとりを始めた人がいた。
あ、この人、好きになれるかもしれないな。
心に少しだけ暖かい光が見えた気がした。