既セク女には希望を探し出すことすら烏滸がましい
婚活で会った男女の関係なんて、一問も間違えられない乙女ゲームみたいなもので、本当に綱渡り。
戻りたいとすれば、相手の部屋で清濁併せのんだ瞬間…
でも、どちらにせよ後悔したと思うからこれでいい。
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婚活パーティに230回通って、やっと結婚したいと思える人に出会えた。
3歳年上で、コミュニケーションがスマートな人。
初めは「この人とお茶したら楽しそうだな」と思って番号を書いた。
本当にいつもニコニコしてて、キラキラしてて太陽みたいな人だと思った。
でも、そのキラキラの中に、どこか寂しさややるせなさを感じていて、どちらかというとそのギャップに惹かれた。
マッチした後のお茶の席で、「今度ご飯いきませんか?」と言われた。
今思えば、初回だけは相手から誘ってくれた気がする。
スタバはあまり行かないと言ってたから、必殺スタバカードも使えなくて、いつもお返しに悩んだ。でも、少しでも気持ちが伝わるようにと、毎回手書きのメッセージカードを添えて何かしら渡していた。
1回目のご飯は、バレンタイン直前だったから、糖質制限用のチョコレートをメッセージ添えて持って行った。
1回目から、ボディタッチが多く、手をつないでくる男にろくなやつはいないとわかってはいたけど、会話がスムーズですごく楽しくて、『あれ?この人、私に似てるのでは?』という親近感を覚えた。
1回目でお互いを呼ぶあだ名ができた。
2回目のご飯は、1回目で私の手持ちが少なかったためにお支払いできなかった2軒目のお金を、お礼のメッセージとともに包んでいった。
「俺、こんなことしてもらったの初めてだよ。しがないちゃんかっこいいね。」と相手は笑って言った。
別れ際、軽いハグをされてドキドキした。
3回目のご飯は、相手の誕生日が近かったから、散々悩んだ結果、私の好きなクラフトビールをメッセージカードを添えて渡した。
そんな折、「しがないちゃん、字、綺麗そうだよね。俺、字が汚くてさ」と言われたとき、『あ…メッセージカード読んでないんだな…』と悟った。
それと同時に「この人、私のこと1mmも好きじゃないんだな」ということを心と脳で理解した。
3回目で、ひょんなことから相手の部屋にお邪魔することになる。
部屋で散々の攻防戦があり、相手の恋愛観を聞いた。
「すべてを知ってからじゃないと、付き合うとかできない。身体の相性とかも全部そう。今まで歴代の人はそうして付き合ってきている。」
「別れるってすごく大変だから、できるだけ別れにつながるようなことは知ってから付き合いたい。」
「付き合う前に旅行とかも行きたいし、お泊りとかしていびきの有無とか確認したい」などなど。
『なるほど一理ある。でも、私のリスクは考えないわけね…』と思った。
その日は散々防いだが、結局キスされて終わった。
『(部屋に来たのに、身体の関係持たないなんて)紳士でしょ?』といたずらっぽく笑う相手に少しキュンときた。
スパルタ婚活塾で散々「ヤらせるな」と書かれていたので、忠実に守っていた。
帰りに、『私、あなたのこと結構好きだと思う』と素直に言ってみたら、『だろうね~』と笑いながら流された。
帰りの電車で「本当にこの人、私のこと1mmも好きじゃないんだな」と再度理解した。
きっと、ホワイトデーのお返しもないだろうし、私の誕生日すら知らないだろう。聞かれてもないし。言葉の大半は甘いセリフなんだけど、端々に見える『本当はお前に興味がない(どうでもいい)んだよね』という感じが出ていることに気づきつつ、それを横目で見降ろした。
でも、それでも好きだから、どうやったら私のことを好きになってくれるのだろうかと真剣に考える日々。脳内で日々綱引きが起こなわれていて、雪崩そうになるのを、がんばって50:50に持っていくイメージ。
そこから、私は次回を誘うことをやめた。
相手から誘われるのを待つことにした。
ここまで出会って1か月ぐらい。LINEは毎日1~2通。
私より朝の早い相手から、ほぼ毎朝送られてくる、
「しがないちゃん、おはよう」という文字を見るのがすごくうれしかった。
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事態が変化したのは、つい先週の出来事。
深夜に酔っぱらった相手からの着信があった。
「しがないちゃん、次いつあってくれるの…全然会ってくれない…」
「しがないちゃんの声が聞きたかったから電話したんだよ」
「しがないちゃん、ほかの男とキスしたらやだよ」
「帰ってきたのに、しがないちゃんがいない…」
などなど、すごくうれしかった。甘えてくる相手を素直にかわいいと思った。ヲタクにとって、"可愛い"は最大級の誉め言葉、『沼』の一歩目である。
この恋を成就させるにはどうしたらいいかという相談をしていた友達とも、「これはもう、相手も私のことを好きなんじゃないか…?」と盛り上がった。
正直すごく浮かれていた。
これが後の判断を狂わせることになる。
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4回目はお昼ごろからドライブになったので、少しのガソリン代と前回の2軒目のお金を包んでメッセージカードを添えて渡した。読まれてないことがわかってるのに、諦めの悪い性懲りのない女である。
人生はじめてのドライブ。
「ドライブ 持ち物」「ドライブ 粗相」「ドライブ されてうれしいこと」「ドライブ やられて嫌なこと」など、散々ググり知識だけは脳に叩き込む。
手作り弁当も考えたがお昼すぎからだったし、とりあえずgoogle先生の教え通り、ペットボトルのお茶とちょっとしたお菓子、ウエットティッシュなどを持って行った。小さい紙袋に入ったが、荷物多いなって感じだっただろう。
どこへ行くかは特に話し合うことなく、海沿いの大きな公園へ連れて行ってくれた。公園を散歩しながら、いろんなことを話した。
主に、育ちの話と会ってなかった2週間にあったことの話。
育ちの話は、こういう環境で育って、こういう学生生活だったという話をしたように思う。
2週間にあったことの話で、『先週飲みすぎて、喉が酒焼けになったんだよ。でも後輩が誕生日祝ってくれたからさ~』と、酔っぱらって電話してきたときと同じ話をしだしたので、「電話してきたときのことね?笑」と言ったら「あ、そうそう!何話したか覚えてないけど、甘えたことだけは覚えてるわ~笑」とシレっと『記憶にない』と言われてしまった。
この段階で、この恋に対する期待値が下がってしまい、テンションが落ちてしまった。考えることすらやめた。考えてしまったら、自分がみじめすぎてその場で泣いてしまいそうだし、今日なぜここに来たかわからなくなるから。
「晩御飯はお酒飲みたいから、車置いてからでいい?」と言われ、普通に相手の家に行く流れになった。さすがの私もいろいろ気づく。でも、そこで変に断ってもおかしいし、相手は至極まっとうなことを言っているのだから肯定した。
相手のおうちの近くでご飯をした後、相手の部屋で飲みなおすことになった。飲む気もない缶チューハイと簡単なおつまみを買って、相手の部屋に行く。
道中の会話とか、あれほど意味のないものはない…と今思えば苦笑する。
そこからは、皆様のご想像通り。
Bad endルートをたどってしまった。
もし戻れるなら『いれていい?』と聞かれたときに戻りたい。
あの一瞬、相手も良心があったのか、本当に止まってくれたように思えた。
戻っていたら、違うルートをたどれたのではないかと、今すごく後悔をしている。。。でも、きっと、ヤらない選択肢を取ったとしてもきっと後悔しているんだろう。
だからこれでいい。
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このままヤらなかったら話が進まないだろうと思ったのも事実。
ヤったら少しは好きになってくれるのではないかと思ったのも事実。
今まで、付き合ってからヤってきたけどうまくいったことなんてなくて、それならヤってうまくいかないのも同義では?と思ったのも事実。
ヤってもヤらなくてもきっと後悔する…と思ってしまったのも事実。
あの電話で『1mmぐらい私のこと好きなのでは?』と調子に乗ってしまったのも事実。
そんないろんな感情の清濁を併せのんだ結果、ただの既セクの女に成り下がってしまった…
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終わって、相手を膝枕して「次は時間があるときにドライブで遠出しよう」だのなんだの言う相手に、私はどんな顔をしていたのかわからない。
駅まで送ってくれて「また連絡するよ」という言葉とともに、とりあえずのハグ。
多分その人の言葉で初めてのウソだ…と、中身のない言葉に頭の片隅でぼんやり思いながら、『この人、1mmでも私のこと好きだったのかな…』とどこかで救いを求めてしまう…
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きっとね、次会っても身体の関係になるんですよ。きっと私は断れない。
このままセフレになるぐらいなら、二度と会わないほうがいい。
既セクの女になった事実だけでも耐えられないのに、セフレとかもっと耐えられないし、アラフォー女にはセフレで沼ってる時間は正直ない。
まだ、どこかにコンティニューできる事柄を探しているけど、自分で幕を引いてしまった恋に見つかるわけもなく、ただ思い返しては来ないLINEに事実を突きつけられて涙が止まらない。。。
既セクの女に救いなんかないんですよ。
そんなことわかりきってたのに、抱かれた私は世界一のバカだと思う。
唯一、結婚したい、この人と付き合えるなら婚活やめてもいいと思える人だったのに、選択肢を間違ってはいけなかったのに、踏み外してしまった…
ここからの挽回方法が、私にはわからない…。
付き合ってないのに身体の関係を持ったことが人生で初めてなので。
付き合ってもないのに、股を開く女に果たして価値を感じる男はいるのだろうか…
いずれにせよ、既セクの女に救いがないことぐらい知ってる。
来ないLINEが物語ってるのよ。いい加減目を覚ましたほうがいい。
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期間にして1か月ちょっと、すごく楽しかった。
久しぶりに恋をした。すごくすごく楽しかった。
ウキウキして、ワクワクして、デート前に服悩んだり、マツエクいったり、会う前に毎回美容室でセットしてもらったり、お返しをなににしようか考えたり、メッセージカードを書いたり…その人のために自分を仕上げている瞬間がキラキラしてた。
とんでもない恋だった
とっても良い恋だった
泣けど笑えど最後でした
さっぱりなくなってった
泣いても戻らなかった
次もこんなに想えるでしょうか
何度聞いたかわからない、ジェニーハイのシャミナミがすべてを語ってくれる。
来週からまた、好きになれる人に出会うために婚活再開します。
次もこんなに想えるでしょうか…
▽あとがきという名の補足(ぼやき)を書きました。