七夕祭~短冊に願いを編~


8月3日、安城の七夕祭へ行った際、思いついたお話その3

登場人物
安城望(小学生男子12歳)
安城美香(望の母親37歳)
安城敦(望の父親37歳)
牛田五郎(敦の上司45歳)
おじいさん(白髪、笹を何枚か持っている)
山田英典(小太りの高校生)
狐(人間女性20ぐらいに変装、カタコトの日本語を喋る。浴衣に麦わら帽子)

EXT:短冊会場ー夕方
おじいさんが辺りをキョロキョロ見回しながら歩いていると、山田英典にぶつかる
おじいさんは転け、持っていた笹が地面に散らばる
山田英典は、フフフフと笑いながら立ち去る
安城美香は、倒れたおじいさんに駆け寄り、起き上がるための手を貸す
狐、安城望は、おじいさんが落とした笹を拾い、おじいさんに渡す
狐(三人同時)
「大丈夫デスカ?」
安城望(三人同時)
「大丈夫?おじいちゃん」
安城美香(三人同時)
「大丈夫ですか?」
四人が顔を見合わせ笑う
おじいさん
「御三方ともどうもありがとう。酷い人もおれば親切な人もおるもんじゃな」

EXT:短冊ロードー夕方
おじいさんは掛けられたたくさんの短冊を眺める
おじいさん
「皆、様々な悩みを抱えておるのう」
「おや?これはさっきの親切な狐さんの短冊」
【今年も人間の世界をいっぱい楽しめますように】と書かれた短冊に向かって、手に持っていた笹をかざす
短冊に笹が溶けていく
歩きながら短冊を眺める
「これはさっきの優しい子供の短冊」
【お父さんとお母さんといっしょに七夕祭を楽しめますように】と書かれた短冊に向かって、持っていた笹をかざす
短冊に笹が溶けていく
歩きながら短冊を眺める
「この短冊は、あ、そうじゃ、ちょっとからかってやろう」
【山田克典君と結ばれますように】と書かれた短冊に向かって、持っていた笹をかざす
短冊に笹が溶けていく
短冊に書かれた【克典】の部分が消える
短冊ロードから立ち去る

INT:会社の一室ー夕方
安城敦と牛田五郎は、パソコンに向かって作業をしている
安城はパソコンで現在時刻をチラリと見る
時刻は6時半
安城はため息を吐く
牛田のパソコンを操作する手が止まる
牛田
「安城、お前もうあがっていいぞ。後俺がやっとくから」
安城
「よろしいんですか?」
牛田
「いい。そういや今日、お前の住んでる安城、七夕祭やってるって思い出したよ」
「時間気にしてたし、家族で行く予定あったんじゃないのか?」
安城
「はい、じつは」
牛田
「ああ、いい。いいって。とっとと行け」
安城は身支度をし牛田に一礼した後、走って会社を出る

EXT:安城神社ー夜
沢山の人がごった返す中、安城望と安城美香は、プロジェクションマッピングが始まるのを待っている

「まだかなー、早く見たい」
美香
「もうすぐよ」
プロジェクションマッピングが始まる
集まった人々から歓声が上がる

「すごーい」
美香
「綺麗ね」
人混みを掻き分けて家族の元へ走る安城敦

「ほんと綺麗だな」
望、美香、敦は顔を見合わせる
三人の視線はプロジェクションマッピングへ戻る

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