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2021年1月に読んだ本

ブルデュー『ディスタンクシオン』 (NHK100分de名著)/岸政彦

本当に100分で読めることにまずちょっと感動。著者の具体的な経験を引き合いに出しながら『ディスタンクシオン』の論旨を明快に解説してくれる。全ページに渡って「なるほど。確かにそう言えます。」ということの連続だった。

何かを「いいな」と思うことは、必ずほかの何かを否定することでもあるのです。

バスラーの白い空から/佐野英二郎

美しくて悲しい。かつてそこにあったものへの追憶としての文章。わずか8編の短いエッセイしかないことが喪失の印象をより一層と高めている。

野の古典/安田登

読みやすく分かりやすく面白い。本の中でも「古典は身体的に読んでください」と何度も書いてあるけど、文学とは本来、歌である。ということがよく分かる本だった。

すらすら読める方丈記/中野孝次

住居哲学が書かれている本だとは知らなかった。「ゆく河の流れは絶えずして〜〜」から始まる文章は、名文というしか他ないですね。そして、この名文の結びには「世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし」と、はっきりと住居について語ると宣言されていた。

草を結びて環を銜えん/ケン・リュウ

ケン・リュウすごすぎ。これから先もケン・リュウが書くものを読めるだろうと思うと、ただただ嬉しい。1月に短編傑作集の5巻が発売されたらしいので早く読みたい。

日本語の作文技術/本多勝一

とても勉強になった。学校の作文の授業で基礎教養としてこういうことを教えてほしかった。美術や音楽もしかりで実習だけじゃなくて、歴史や技術を知りたかった。

One Day Esquisse:考える「視点」がみつかるデザインの教室/原田祐馬

タイトルに「〜〜デザインの教室」とあるけど、デザインだけでなくもっと手前というか本質にある「創造性」を養うための創意工夫に溢れたレッスンが記録されている貴重な本だった。こうした内容が書かれている本ってあまりないと思う。

ことばを写す 鬼海弘雄対話集/山岡淳一郎=編

道尾秀介、池澤夏樹との対談が特に良かった。だけどやっぱり写真集のほうがが断然雄弁で面白いですね。

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