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不思議な数式

数学月間SGK通信 [2015.05.19] No.064号の記事で,不思議で奇麗な数式を紹介しました.ここに転載します.

1³ + 5³ + 3³ = 153
16³ + 50³ + 33³ = 165033
166³ + 500³ + 333³ = 166500333
1666³ + 5000³ + 3333³ = 166650003333
and so on and om and on!

不思議な数式です.証明してみたくなるでしょう.
いや,なぜこのようなことが起こるのかが知りたいですね.
別の話ですが,似たような数式がまだあります.
ただし,こちらの場合は「数字の桁数が増えていっても,いつも成り立つ」
という性質ではありません.

166³ + 500³ + 333³ = 166,500,333
296³ + 584³ + 415³ = 296,584,415
710³ + 656³ + 413³ = 710,656,413
828³ + 538³ + 472³ = 828,538472

閑話休題.初めの不思議な法則の証明法の問題に戻りましょう.
考え方は人さまざまで,証明法には色々あるでしょう.
論理が正しくて,命題が証明されるのならば,どのような証明方法でも正解です.
それでも,「美しい」証明とか「エレガント」な証明とか言われるものがあります.
そのような証明は,「命題の本質にズバリと触れている無駄のないシンプルな証明」のことだと私は思っています.
補助線一本で解けてしまう図形問題の証明などはその例でしょう.
力ずくで計算して証明できても,命題の本質や現象の起こる仕組みが見えていないのでは,本質にズバリと触れているとは言えません.
本質や仕組みがわかるということは,その仕組みを基礎とするもっと幅広い命題にも適用できる.
つまり「一般化できる」証明法でもあり価値が高いと思います.

小林昭七先生が「数学と美」というエッセイを,「いまを生きるための教室」角川文庫の中に掲載しています.
(私は小林先生がお亡くなりになる直前の夏の日本滞在中にお会いしこの本を頂きました)
この本から以下の部分を引用しておきます:
「他の科学と同様,数学でも新しい結果は重要である.しかし,数学では既に知られている結果の別証明や新しい見地からの解釈もかなり評価されている.定理の本質を理解させるような証明,
「なるほどそういうことだったのか」と思わせるような美しい証明は,それが既知の定理の証明であっても高く評価される」

「数学は美しい」と良く言われますが,美しいと言われても漠然として私にはピンときません.
これを言い換えるなら,「シンプルである」,「本質を見抜いてそれに言及している」,「話を逸らさないで真摯に課題に集中している」という意味でしょう.

「問題の本質の議論から逃げて,話をそらし,周辺の議論にすり替える」という手法は,政治や社会で良くみられることです.特に,今の安倍政権では目にあまるものがあります.
「丁寧に説明していく」とよく言いますが,これは聞く耳を持たないと言うことです.
我々の方が説明してあげたいくらい十分な知識があります.国民をバカ扱いしないでもらいたいものです.
論理や数学を軽視する社会に公正はありません.数学月間活動をもっと社会に広げる必要がある所以です.

もう一度,閑話休題で,この不思議な式に戻りましょう.
皆さん証明を考えてみてください.
n桁の数字を (x_n), (y_n), (z_n)と書くと,
 (x_n+1)=10(x_n)+6,(y_n+1)=10(y_n),(z_n+1)=10(z_n)+3

(x_n)^3+(y_n)^3+(z_n)^3=(10^2n)(x_n)+(10^n)(y_n)+(z_n) が成立するとして,数学的帰納法で
力ずくで計算して証明することはできるでしょう.でも計算は大変ですし本質は別の所にありそうです.
この問題の本質が何処にあるのか私にもまだ理解できません.皆さん良い証明が出来たら教えてください.
ポイントは循環小数のように続く数字と数の表記法(10進法を使っている)にあるように思います.
多分,以下の表式が利用できます:
(x_n+1)=(1+6/9)(10^n)-6/9,(y_n+1)=5*(10^n),(z_n+1)=(3+3/9)(10^n)-3/9 

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