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コクセター万華鏡{7,3}

Fig.1の円盤内部はポアンカレの円盤モデルと呼ばれる双曲幾何の支配する世界です.この円盤内の世界では,円盤の縁に直交する円弧が直線なのです.もちろん,円盤の中心を通る直線は円盤の縁で直交するので,この円盤世界でも直線です.
この円盤世界は,正7角形のタイルが頂点で3つ集まるように敷き詰められています.正7角形タイルの辺は,この双曲世界の直線でできています.

どれかの直線に沿って,円盤の縁に向かって進んだとすれば,自分も世界もどんどん小さくなり,縁に到達するには無限の時間がかかる世界です.
{7,3}分割のタイルを張り詰めた世界です.正7角形のタイルは,円盤の縁に近づくにつれどんどん小さくなるようですが,円盤の中にいる人にとっては全部同じ大きさ(言葉をかえれば円盤内は無限に広い)です.

Fig.1                      Fig.2

{7,3}コクセタセター1


コクセター万華鏡は,正7角形タイルの中を14個の直角3角形(7,3,2)に分割してできます.

(注)直角3角形(7,3,2)とは,頂点の角度が(π/7,π/3,π/2)の直角3角形.

この直角3角形を鏡室にして作った万華鏡をコクセター万華鏡と呼ぶことにしました.
それは,同様な分割{6,4}の論文をコクセターがエッシャーに送って,それがエッシャーの極限としての円の作品を生んだからです.
{7,3}分割を直角3角形(7,3,2)のコクセター万華鏡にすると,Fig.2のように3角形のどの頂点周りにも偶数の直角3角形が集まるので,円盤内の世界全体が市松模様になります.
(注)正7角形タイルが頂点で3つ集まるようなタイル張りができるのは,双曲幾何の平面だからです.ユークリッド幾何平面では正7角形ではタイル張りはできません.

円弧の1つを円柱鏡にして,この円弧で分けられた左世界を円柱鏡に映し出す実験をしてみましたFig.3.右世界の像は左の世界の鏡像なので,円柱鏡を境として市松模様が逆転しているのがわかるでしょう.
Fig.3

画像2

美しい幾何学p.144より



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