軌跡を求める問題
数学の醍醐味は、次の2点にあります;
①現象を支配する数学を見出す.これは物理学に近い
②数学の論理を展開する.
軌跡を求める問題の着眼点も,この2点にあります.特に,物理や機械に近い着眼点①は興味深いもので,私は軌跡を求める問題は特に好きです.
代表例として,単純な 問題1を作りました.挑戦してください.
■問題1
円A,Bの半径をそれぞれ1とし,2つの円の間は1/2だけ離れているとします(つまり,ABの距離は3/2です).円Aの円周上の点P,円Bの円周上の点をQとし,P,Qは,長さ1のジョイントPQで結合されています.つまり,この構造は,$${AP=PQ=QB=1}$$の3セグメントからなります.点A,Bは固定点ですが,A,P,Q,Bのジョイントはピボットです.PQの中点Rの軌跡を調べなさい.
ヒント
この問題を方程式やベクトルで解き,軌跡を式で表すのは,なかなか困難ですが,見ただけで直感でわかる軌跡の性質がいくつかあります:
この解の軌跡は,上下対称、左右対称であるはずです.
A円上の点Pは限られた範囲(円弧)上しか移動できません.B円上の点Qに関しても同様です.ただし,ABの距離とセグメントPQの長さによりだいぶ様相が変わります.
■実験してみましょう.
図2に実験結果を掲載します.軌跡の曲線はリボンのような形です.
■円A,Bが一部重なる場合の例
これらのリボンのような軌跡は,単純な式では表現できません.
どなたか挑戦してみては如何でしょうか.
■円A,Bの中心間距離をパラメータにして実験を行うと,次のような曲線群の軌跡が得られます.
■ 拡大縮小に使われる仕組みーパンタグラフ
点Oは固定点.Oを含む4つのピボットがあり,辺は平行4辺形を保ったまま自由に変形できる.このとき常に,O,P,Qは一直線上にある.
Pの描く図形とQの描く図形は相似であり,相似比は,OP:OQである.
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