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ニッポン算額探訪

2019年9月15日の日本数学協会の年会では,wowowドラマ,「つるさんかめさん~ニッポン算額探訪~」の和算監修をした小寺裕氏の講演がありました.この番組は各地の算額を訪れて問題を解くというドキュメンタリ風ドラマです.というのは,毎回,一人旅の旅行者に同行し,その人が問題を解くというドキュメンタリ仕立てですが,実はこの旅行者は俳優です.さすが俳優で,素人っぽいとぼけたいい味をだしておりなかなか面白いです.私はwowowを見ませんので知りませんでした.第1回の京都北野天満宮,第3回の仙台塩釜神社,第6回の東京金王八幡のそれぞれ30分番組が紹介されました.
脱線しますが奈良弘仁寺の近くで売っている算額最中とはこのような物らしい.

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■さて,ドラマで取り上げられた算額の問題を紹介しましょう.
第1問は辺2aの正方形内の帆の形に内接するピンクの円の半径を求める.
第2問は円r_a,r_b,r_c,直線が互いに接しているときのピンクの円の半径を求めることです.
私は問題中の数値を忘れたので,このように記号で書きましたが,算額の問題では,aやr_a,r_bは具体的に数値で与えられています.これらの問題は,直角3角形のピタゴラスの定理だけを使えば解けます.
両者とも互いに円が接するときの問題ですが,特に第2問はいわゆるアポロニウスのガスケット(窓)の特殊なケース(直線は半径∞の円)です.いろいろ挑戦してみてください.ちょっとヒントを出すと,
第1問は x^2+6ax-3a^2=0を解くことになります.
第2問は1/√r_c=1/√r_a+1/√r_b から求まります.
アポロニウスのガスケット(窓)の作図で描く互いに接する4つの円に関して,もっと一般化されたデカルトの定理(1643年)があることに言及しておきます.

(注)アポロニウスの窓やデカルトの定理に関しては,インドラの網と反転円をご覧ください.
(第1問)

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(第2問)

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