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数学祭ーとっとりサイエンスワールドに続け

コロナも収束の兆しを見せています.先行きは不明瞭ですが,今年はこの2年間できなかった万華鏡のワークショップなどが可能かも知れません.私たちのNPO法人数学月間の会の目的とする事業には,地域のイベント「数学まつり」があります.今日は,中野区役所に相談に行ってきました.私は,以下の回想「とっとりサイエンスワールド」で記す「数学まつり」を地域自治体に主催してもらいたいと思っています.私たちのNPOは行政力もないし大規模組織でもありませんから,自分達で出来る小規模なワークショップから始めて,大きく育っていくことを望んでいます.先づ隗より始めよです.

■回想「とっとりサイエンスワールド」
とっとりサイエンスワールドは,鳥取大学地域学部,矢部敏昭教授(後に副学長)が中心になって2007年にスタートし,2019年まで13年間続きました.
13年間には豪雪被害の年もあり,倉吉地震で梨っこ館,未来中心にも
被害が出た年もありました.それでも,継続して毎年実施して来た鳥取県もすごいと思います.

2020年は矢部副学長の退官のため最終回となる計画がありましたが,新型コロナの感染流行のため中止となってしまいました.
発足時は東部(鳥取市)だけの実施でしたが,すぐに西部(米子市)と東部の2か所で実施するようになり,4年目からは,西部,東部,中部(倉吉市)の3会場で実施するようになりました.鳥取県の地図を広げてみると納得がいきますが,鳥取県は東西に広がっています.小学生がイベントに参加するために電車に乗ったり車に乗せてもらったりして会場に来るのは無理なことです.西部,東部,中部と3か所で実施するようになって,地元で気軽に参加できる地域に根付いた楽しめるイベントになりました.小さい子供から老人まで実に多くの県民がこれを楽しみに参加されていました.鳥取県の予算で運営していますから,入場無料ですし,勉強して色々なものを作り持って帰ることができます.私の担当した万華鏡の例では,3会場全部で500人超えの参加があり,用意した材料はいつも使い切る状態でした.
鳥取県,鳥取県数学教育会が主催,鳥取県教育委員会,各地区教育委員会が後援し,小・中学校の先生方が活動の中心です.高校,短大,大学生のボランティア参加も多数おり頼もしい限りです.高校生がボランティアで参加するのは,本人にとって非常に価値のある経験ですので私は特に重視しています.それは,自分が子供の頃の経験からです.私が朝学校に来るのをクラスの友達たちが待っていて色々な質問があります.聞かれることをみんなに開設していると何が本質なのか,つぼが自然にわかってきます.みんなの面倒を見るだけで,たくさんのことが自分の身に着きます.高校生はボランティアとして教える側で参加することを私は推奨しています.世のため人のためなどときれいごとを言う人に限って信用できません.しかし,骨身を惜しまず他人に教えることは,理解が深まりよく身に着きます.
とっとりサイエンスワールドは,夏休みの日曜日に,各地区で1日実施され,1日で1,000人を超す参加がありました.各会場でスタッフ(小・中学校の先生が中心ですが,私のような外部ゲストもありました)130人くらい,ボランティア30人くらいです.小さい子供が進んで計算力検定に参加したり(案外,算数は嫌いではないのです.でも学校のテストなら参加したくないだろう),問題に挑戦してスタンプラリーをしたり,数学・算数を恐れず楽しんでいる雰囲気を見ると将来が頼もしい.
私は「万華鏡を作ろう」で毎年参加して来た.小さな子供から大人まで自分で作った万華鏡を覗いて本当に楽しそうです.私は,とっとりサイエンスワールドが始まる前の2005-2007年には,「万華鏡と結晶学の達人」として,全国の小学校15校,中学校3校,高校1校を訪問しました.約1,300人の生徒が自分の万華鏡を作製しました.みんな自分の万華鏡ができるととてもうれしそうです.物がきちんと作れるということ(器用さと言ってしまえばそれまでだが)は,運動方程式は解けないとしても,物の性質や力のバランス感覚が身に着いている証拠です.不器用な大学教授よりも良いものが作れる小さな子供がいるのをよく見ました.そのような感覚を身に着けることが一番だと思っています.私は職人気質なのでしょうね.

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