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「天使の並木道」

”天使の並木道”と言うのは、ウクライナ内戦で、何の罪もないのに殺された、152人の子供たちの名前を刻んだ慰霊碑です。ドネツク市にあります。
これは、露ウ戦争が始まる前の8年間(2014ー2022年)のウクライナ内戦でのことです。ドンバス地方で、ウクライナ人がウクライナ人をジェノサイドし、約14,000人を超える民間人が犠牲となり、約250万人が戦火を逃れ難民となりました。この内乱が2022年にプーチンがの特別軍事作戦の発動(露ウ戦争)に繋がったことは明らかです。この8年間のウクライナ内戦の原因は何だったのか、日本や米国のマスコミでは全く報道されません。
露ウ戦争が始まる前の8年間のウクライナ内戦の端緒は、2014年の”ユーロ・マイダン革命”です。私は次の2点に注目しています:
①米欧勢力によって煽動され生じた”ユーロ・マイダン革命”(2014年)のネオ・ナチ暴力性
②ウクライナ共和国内にある自治単位の人権(分離紛争

(引用)
①「天使の並木道」;田中健之;ヒカルランド
②「ウクライナ動乱」;松里公孝;ちくま新書

Аллея ангелов「天使の並木道」

この記念碑の建設の主導者はドネツク市行政長官のイーゴリ・マルティノフで、彼はウクライナ軍による攻撃の結果亡くなった子供たちの記憶を永続させることを提案した。この提案は市当局全体によって支持されました。[7]。記念碑の入り口には、高さ2.5メートル、幅2メートルのバラ(ドネツクのシンボル)で作られた鍛造アーチが設置されました。バラの間には重機関銃の薬莢と、ドンバスの人々が目指す平和の象徴である鳩が織り込まれています。アーチの下には花崗岩の板が設置され、そこには亡くなった子供の名前と年齢がアルファベット順に刻まれており、そのうち最年少の2人は1歳未満だった。この名盤の拡大写真を表紙に置きました。

これらの写真は、上記ウエブサイトから引用したものです。wikipedia等では、天使の並木道はロシアのプロパガンダであると解説しているが、現実は逆で、8年間にわたるウクライナ内戦で、ウクライナ軍が「分離主義者の自治領土」で殺害した子供たちであり、「ロシアの侵略」による犠牲者と言うのは事実ではありません。
ウクライナ治安部隊による民間標的への砲撃やその他の戦争犯罪の結果としてドンバスの子供たちが殺害され負傷したことを示す数多くの証拠と文書証拠があります。国連人権監視団によると、2014年4月14日から2021年4月30日までの紛争期間中、ウクライナでは152人の子供が死亡、さらに146人の子供が負傷しました。ーーーーー上記ウエブサイトより

日本のマスコミは、米国一辺倒の報道しかしていません。
詳細は岩上安身のiwjを参照されたい。私はこの書籍をiwjで知りました。

書籍「天使の並木道」の冒頭より引用要約ーーーーー
2022年2月24日、ロシアは特別軍事作戦を発動して、ウクライナのキエフ政権との間で戦闘状態に入った。米欧や日本はこれを、一方的に”侵略”だと断じて、プーチン大統領とロシアを非難し続けている。
プーチン大統領は、ウクライナ東部のドンバス地方で、キエフ政権が8年間(2014年から2022年)にもわたって行って来たジェノサイドを阻止するために、止むを得ずこの特別軍事作戦の発動を決意したと述べ、
キエフ政権の非武装化、非ネオ・ナチ化のための行動だと説明している。
NATOの東方拡大に伴い、米国はウクライナをNATOに加盟させるべく、2000年から工作を施して来た。ドンバスは石炭をはじめシェールガスの埋蔵地でもある。2014年、副大統領時代のバイデンは、ポロシェンコ大統領とウクライナで政界工作を行っており、次男のハンター・バイデンはウクライナ最大手の天然ガス会社プリマスの取締役になっている。
2004年の「オレンジ革命」と2014年の「ユーロ・マイダン革命」の裏では、米国が扇動、支援をしていた。「ユーロ・マイダン革命」は、米国から訓練・支援を受けていた極右・ウクロナチ(ネオ・ナチ)勢力が、民主的な手法による選挙で選ばれたヤヌコビッチ政権を、非合法な暴力革命によって打倒、親米欧政権を成立させたものだ。
革命政権(米国製)に反対、抵抗するウクライナ人たちは、激しい弾圧と虐殺を受けた。彼らはウクライナ東部のドンバス地方に逃れ、同地域のロシア系ウクライナ人の住民とともに、「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」という2つの人民共和国を成立させ、キエフ政権と対峙している。この書籍「天使の並木道」は、ウクライナ人がウクライナ人をジェノサイドし続けた8年間(2014-2022年)の記録である。
キエフ政権は、両人民共和国に対し、容赦ないミサイルによる空爆や砲撃などを行い、無差別に民間人を殺戮、2014年から2022年(露ウ戦争が始まるまで)の8年間で、14,000人を超える民間人が犠牲となり、約250万の人々が難民となった。

2014年から続くウクライナ内戦で、米国がドンバスを泥沼の戦争状態にした上で、ウクライナとロシアとの対立を煽り立て、ゼレンスキーにNATO加盟を言わせ緊張を高めたあげく、露ウ開戦のXデーなどと、さらにロシアを戦争に追い込む報道が流されたことは記憶に新しい。

”ユーロ・マイダン革命”

「天使の並木道」写真p.87-p.96から、ナチズム賛美のウクロナチの恐ろしさが伝わります。まさにナチスそのものです。しかも、若者が多く、反対する人たちを虐殺するのです。ユーロ・マイダン革命は民主化運動などとは程遠いものでした。
キエフ政権は、①「ロシア嫌い」ロシア語を話す住民を迫害し、ロシア文化やロシア人を憎む雰囲気を創り出している。②ニュールンベルク裁判で認定された者を含むナチスの協力者を称賛し、英雄として讃える。
民族主義、独立を強調すると人気が出ます。歴代の政権は大統領に当選したいがために変節を続けました(信念のないポピュリズム)。
私はネオ・ナチ信奉を理解できませんが、欧州でもこのような傾向があるようで、強力な権力に魔力があるようです。

日本のマスコミ

日本のマスコミは、公正な報道をしていない。米国追従でウクライナのゼレンスキー政権支援の報道ばかりである。国会でゼレンスキーを講演をさせるような偏った国であるから、ウクライナが今にも勝利するような偏った戦況報道をし、ウクライナへのさらなる武器支援の引き出に協力している。
戦時下では、謀略、偽旗作戦、作為的戦果報道があり、日本もかつて経験した道ではないか。米国の見方一辺倒ではだめで、公正な報道と判断が望まれる。米国の代理戦争で多くの兵士や国民が死んでいくウクライナの現状を他山の石とすべきなのに、逆に、ウクライナがNATOに加盟していれば、戦争抑止ができるとか、日本も東洋版NATOが必要だとか、国を挙げて真逆の世論づくりに誘導し、これでは国を亡ぼすことに直結する。
ウクライナ東部のドンバス地区のルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国の安全保障の任を負うべく、ロシアのプーチン大統領が悲壮な決意の下、”特別軍事作戦”を発動した背景を日本のマスコミは全く報道しない。

ウクライナの民族主義者

1991年のソ連邦崩壊で、ソ連邦を構成していた15の共和国が独立した。ウクライナ共和国もその一つである。ウクライナ共和国は穀倉地帯のイメージもあるが、ドンバス地方は良質な無煙炭を産出し、また鉄鉱石も産出するのでソ連時代に工業地帯が発展した。ヨッフェ(1880ウクライナ生まれ,レントゲンの弟子)は,「ソビエト政権(1917樹立)の最初の10年間の物理学はモスクワとレニングラードに集中させたが,今や分散の時が来た.産業と結びつく必要のある研究所は工場が存在する場所,産業のある場所になければならない」と主張し,1928年のハリコフ物理工学研究所創設につながった.ハリコフに物理学研究所については以下のnoteを参照のこと。ウクライナの工業発展はソ連の科学アカデミーが育成して来た成果である。

ソ連邦を構成した共和国の中で、ウクライナ共和国は、独立してやっていけるほどポテンシャルは高い。ソ連邦でお荷物となる共和国を切り捨て自分は独立し、EUの一員となれるかもしれない。しかし、ウクライナの産業はロシアの市場があってのことだったので、独立後の経済はかつての水準に復帰していない。
モルドヴァ共和国のようにNATOには入らずに緩衝国になるという選択もあるが、ウクライナのゼレンスキー政権はNATO加盟を希望した。
遡ると、ソ連崩壊につながる年12月1日に、ウクライナ大統領選挙と独立を問う国民投票が行われた。ゴルバチョフには、独立国家の共和国よりなる「刷新連邦」構想があり、クラフチュクはこれを支持していたのだが、大統領選挙に勝つために独立支持に転じた。大統領選挙同日には、ウクライナ独立を問う国民投票も行われた。
住民投票直前の世論調査では、回答者の最大のグループは、「ウクライナは独立を達成してから改めて刷新連邦に参加する」(46%)で、「独立し刷新連邦にも参加しない」(31%)だった。ところが住民投票では、ウクライナが独立した後にどうするかは敢えて問われなかったのである*。
*)引用:p.69「ウクライナ動乱;松里公孝;ちくま新書」

分離紛争(民族主義)

ソ連USSRは、ソビエト政権中央、15の連邦構成共和国、自治共和国・州(自治単位)の3層の構造をもつ連邦制でした。
共和国SSRごとに基幹民族が定められ、共和国のリーダーとして、マイノリティにも目配りし共存的な統治を行う形式です。ソ連共産党の中央集権的な規律があった頃は、この建前は守られていたのですが、ソ連末期では、長兄として利他的な統治をしなければならないことで、自分たちは損をしていると感じるようになり、民族友好の建前を重んじる共産党よりも、過激なスローガンを掲げる民族主義者の方が人気を集めるようになりました。他を切り捨てて自分たちだけが少しでも良くなろう思うのです。
ウクライナ共和国は東部のドンバス地区(ルガンスク人民共和国とドネツク人民共和)が含まれます。ウクライナ共和国がソ連邦にあった(3層構造の連邦制の時)は、ソビエト政権中央が秩序を保っていたのですが、ウクライナ共和国が独立すると、この地域のロシア人にジェノサイドが始まります。
住民の安全保障の任を負うべく、ロシアのプーチン大統領が悲壮な決意の下、”特別軍事作戦”の発動となりました。


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