n:2や~2n・mの図形の積み上げが作るロッドの対称性
■対称性n:2の図形で作るロッド
ここでは,対称性がn:2の図形から発生するロッドを考えてみよう.
ここでは,n=4の例を考え,上に示すような正方形のカードを作ります.
正方形のカード内に傾いた正方形を描き込んだのは,正方形カードがもつ4つの対称面を消すためです.このカードには,垂直な4回軸と,カード平面内に2回軸が4本あります.これらの2回軸はカードを裏返す操作になるので,カード表面に描いた傾いた正方形(実線)はカードの裏では点線のように描かれています.
このような図形には,右巻きと左巻きの2種類があります(下の図aの2つ).
片方の巻き方の図だけ集めて,並進軸のそって等間隔に重ねると(図b)になり,(a)・n:2のタイプの対称性が生じます.並進軸とは別に,このタイプの対称性には,重なる2つの正方形の中間点でロッド軸と交差する2回対称軸が生じています.
各カードを隣のカードに対して45°回転させると,位数8のらせん軸と,カードの回転角を2等分する4つの新しい2回軸が生じます.このロッドの対称性は (a)・8_{4} :2,あるいは,正n回軸の場合に一般化し,(a)・n_{n/2} :2となります(図c).
らせん対称軸n_{n/2}の回転の性質は中立です.j>n/2,j<n/2では,対掌体類(エナンショモルフ)(a)・n_{j}:2が得られます.
回転角度αを任意にすると,本質的に新しいタイプの対称性が生まれます(図d).この場合にも,右巻きと左巻きのらせん軸の違いがあります.ロッド対称の極限の対称類については,後に考察するのでここでは言及しません.
■対称性~2n・mの図形で作るロッド
対称性~2n・mの図形から生じるロッドの対称性のタイプをすべて導き出すために,各面に1本の対角線が描かれた正方形のカードを選ぶ.カードの表裏にある対角線は(カードが透明なら)互いに直交して見える(図a).
このような図形は,対称性~4・m,(すなわち,4回回映軸~4を含みカードの対角方向の2枚の対称面,正方形の対向辺の2等分線と一致する2本の2回対称軸)を持っています.正方形カードのロッド軸方向の平行な積み重ねは,対称性(a)・~2n・mになります(図109b).
もし,引き続く正方形カードを,90°づつ回転し重ねると,ロッドの対称性は(a)・2n_{n}・~2n・mが得られます.
しかしながら,(a)・~2n_{n}・~2n と (a)・2n_{n}:m の組み合わせが,まったく同じ対称類になるので,新しい対称類を記号(a)・m・2n_{n} : mで表します. (図c).