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偉そうなやつのエロそうな顔 (原文ママ)

中洲までチャリで向かう道路を走ってるとプチ渋滞。せまい道で信号がないからやんちゃな地元の営業車とかがわりといてビュンビュン飛ばしてるイメージだからなにごとかと思って振り返ると道路の真ん中くらいでがらがらを推してるおばあちゃんが先頭車だった。まあ車両…いや、とか考えてると小さくクラクションがなって、おばあちゃんも路肩に寄っていった。さながらF1のピットインよ。それが眺め終わって先に進むと、今度は進行方向から強烈に歩道側に寄せてくる対向車がきて別のおばあちゃんが新たな脅威にさらされていた。しかし、そこは強気で全くひるまない。たしかに、しっかりゆっくり轢いたら流石にまずいもんなぁ。すると昔、教習所で路上教習を受けていた時、車の信号の切り替わりタイミングがわからな過ぎておたおたしていたところに助手席の教官から「横断歩道の信号を見るんだぁよ!あれが変わりゃ車のも変わるのわかんねぇかなったく!お前は何年歩行者やってんだ!おぁん!」と言われて感心したのを思い出した。歩行者歴は歳とれば取るほど長くなり、経験を積んだベテランともなれば少々のことでは動じないのだ。
たくましいお年寄りを二人見送ると今度は明らかに自分の美を自覚した幼女が颯爽と現れた。2歳くらいか。ゆったりとした歩き方に気品がある。お母さんとも手をつながない。まだまだ歩きのキャリアは短いだろうに何が彼女をあそこまでさせるのか気になった。おしゃれなベージュのコートを着て芦田愛菜みたいな顔をして通り過ぎて行った。もう少しバカな方がかわいいかもしれない。
やっと天神大丸の交差点。ふてぶてしいじいさんが前後を気にしないそのままのノールックで地下街の階段からでてきた。はいはいこのタイプのじいさんねとすまし顔の裏で内心「こぉの野郎ぉ!わかっててのっそのっそ斜行してわざわざ目の前にポジショニングしやがって。許せねえ許せねえ!」とはらわた煮えくりかえっていたところ、前方にバンから山ほどの荷物をおろしている多種多様なスーツ姿の女性集団がみえた。
その刹那、「しめた!このじじい身なりは小綺麗にしてやがるあたりから察するにおそらく偉い。しかも間違いなくあたかも真面目そうな文化人気取り顔のままのいやらしい目つきで彼女らをみるに違いないぞ!」と追い越す。するとおそらく偉いじじいは歩幅を急激に縮めた影響で想定よりかなり後方から女性らをじろじろと眺めてエロそうな顔をしていた。
案外どころか案の定というか想像を超えず、そのまんますぎて、追い越して振り返るまでの瞬間がいちばん楽しかったことに気が付くと、
「振り向く前がなつかしい…」
としょんぼりしたりする。
果たしてその時自分はどんな顔をしていたのだろうか。

こういうことってわりとあるけど、たまには想像を現実の方が超えてくることもあるからやめらんねぇ。深夜高速みたいに、“生きててよかった!”って夜を探してる人たちが“生きててよかった!って思える夜”がきっと存在して、しんみりする日が来たりする。
ずっとキョロキョロしてるけど、なかなか見つかんないなって人はもしかしたら夜ばっか探しすぎかも。
夜以外にも昼とか朝とか、夕方もあるし、未明とかうしみつどきとか、あとはたそがれどきとか。いろいろ見てみたらいいかも。

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