「第2回SGDメンバーミーティングin神戸」#2 平野コープ農園・バイソンギャラリー 視察レポート 2023年11月29日(水)
平野コープ農園・バイソンギャラリー 視察レポート
「地域に密着するみどりについて考える」
このたび、SOCIAL GREEN DESIGN(以下SGD) メンバーの皆さんを対象とする、第2回メンバーミーティングを神戸市を舞台に1泊2日で行いました。今回の視察ツアーの内容を全3投稿に分けて振り返ります。
本投稿は2日目の前半の活動の様子となります。
2日目にご参加いただいたSGDメンバーの方々は以下の12名です。
一般社団法人 ウィーアーワン:佐藤尚美
株式会社 グッドツーガーデン:柴田進矢
造園中村や:中村幹子
平和不動産株式会社:山中真之
株式会社フォルク:三島由樹, 上野山波粋, 中田朱音, Kove Janeski
株式会社ユニマットリック:小松正幸, 谷岡昭一, 佐藤久子, 市川美紗
※会社名五十音順・敬称略
神戸市でのSGDメンバーミーティング、2日目(2023/11/29)前半は 平野コープ農園・バイソンギャラリーを巡ってまいりました。
1箇所目は、平野コープ農園へ向かいました。三宮駅からみんなでバス移動。閑静な住宅街を抜けて、坂をあがった先の平野展望公園の一角に作られた小さな農園です。
平野コープ農園代表の井上磨子さんに立ち上げ時から、現在の運営状況までを説明していただきました。平野展望公園をより多くの人に開かれた場にするため、地域の方々と協力してコミュニティ農園の立ち上げを目指しました。
皆に開かれた公園という場所に農園を作るにあたり、何度も協議を重ねてこの平野コープ農園が誕生したそうです。
現在では約18世帯ほどのメンバーの方々が月に2回ほど農家さんに指導を受けながら、自分たちの区画でそれぞれの好きな植物を有機栽培で育てているそうです。
立ち上げから約3年が経ち、参加者のみなさんが当事者の意識を持ちながら共に学び合う温かいコミュニティが育っている様子がよくわかりました。
会員外でも収穫を楽しめるコミュニティー農園のエリアは、公園を訪れる誰もが自由に立ち入ることができます。メンバーの方々が協力して手入れをしているそうです。
神戸の朝の澄んだ空気の中、大切に育てられた野菜たちが生き生きと輝いていました。地域の皆さんで共に都市の農を楽しむ姿が印象的でした。
2箇所目は、バイソンギャラリーに伺いました。
バイソンの仕掛け人である西村組の西村周治さんと、バイソンギャラリーのお庭のデザイン・施工を担当されたsuzumeの西田有輝さんに案内していただきました。
バイソンギャラリーの造園のコンセプトは「負ける庭」。
一般的な造園が草や虫を排除して庭を形成する「勝ち」にいく造園であるとするなら、この庭では草や虫を受け入れつつ、でも放置はしないというスタンスを「負ける」と定義しているそうです。
「負ける庭」はそのちょうどよい負け具合を探りながら実験を続け、常に変化し続ける完成のない庭となっています。
植栽されている樹木の多くは、西田さんが他の解体現場などからレスキューしてきた植物です。バイソンの廃屋はほとんどが廃材を使って直されたものであるため、その庭も同様に捨てられるはずだった植物で構成されることが重要だと考え、このような植栽を選定されたそうです。
バイソンの村の雰囲気にぴったりの植物の佇まいが非常に魅力的でした。
一般的な庭園ではなかなか見ることができない、ありのままの草木の姿にメンバーの皆さんも大興奮しておりました。
バイソンには、バイソンギャラリーの他、アーティストレジデンスやシェアオフィス、茶室や西村組のアトリエなど様々な用途の施設が詰め込まれています。
日本でも海外でもないバイソンならではのカオスな空気感が堪りません。奥へ進むたびに次はどんな空間が待っているのかとワクワクします。
2日目前半は平野コープ農園とバイソンギャラリーにお邪魔しました。
どちらも小さなコミュニティーに共感者が集まり、時間をかけて唯一無二のプロジェクトへと発展していく過程を伺うことができました。
2つの特徴的な事例をめぐるとても興味深い視察となりました!
次回は2日目の視察の様子(後編)のレポートをお届けします。お楽しみに!
テキスト:中田朱音(株式会社フォルク)
写真:上野山波粋(株式会社フォルク)