みどりはただ作って終わりの時代ではありません。多様なニーズ、持続可能な環境、予算の問題などの配慮が必要な緑の業界において、縦割りでは対応できなくなっている現場もあります。その中で関係者をつなぎ、的確な成果物をつくるのが「ガーデンキュレーター」という新しい職業です。
今回のゲストは「ガーデンキュレーター」の育成事業を開始された、株式会社愛植物設計事務所の山本紀久氏と株式会社Q-GARDENの小島理恵氏。「創造的メンテナンスのための、仕組みづくりと人づくり〜ガーデンキュレーター」と題して、2022年10月11日(火)に開催されたSGDトークの模様をお届けします。
SOCIAL GREEN DESIGNや、SGDトークについて知りたい方は以下のURLからご覧ください。
当日の大まかなスケジュールは以下の流れで行われました。
17:00-17:15 イントロ
17:15-17:45 創造的メンテナンスとは?(山本さんトーク)
17:45-17:55 ガーデンキュレーターの可能性(小島さんトーク)
17:55-18:40 ディスカッション
18:40-19:10 Q&A
19:10-19:30 まとめと次回のお知らせ
それでは山本さんと小島さんのトークの一部から振り返ってみましょう。
創造的メンテナンスとは?
以上、お話の導入部では、山本さんの広い視野での「創造的メンテナンス」に関する現状とその方向性に対する情報をいただきました。それでは、具体的に「ガーデンキュレーター」という職名でお仕事をしておられる小島理恵さんのお話をお聞きしましょう。
ガーデンキュレーターの可能性
ディスカッション
山本さんと小島さんのお話の後、モデレーターの小松正幸さん(株式会社 ユニマットリック)、三島由樹さん(株式会社 フォルク)、石川由佳子さん(一般社団法人 for Cities)を交えた様々なディスカッションが行われたので、その一部をご紹介します。
実践に移すための課題
緑の重要性を広めるには?
人づくりと仕組みづくり
ゲストに対するQ&A
今回も、視聴者の皆様から本当にたくさんの質問をいただきました。質疑応答の一部をここでご紹介させていただきます!
締めくくりの言葉
【SGDトーク】今回のまとめ
・インフラストラクチャーの安定成長により、植物管理に関する予算や技術者の配置は急激に低下。プロが科学的根拠と的確な管理技術に基づいた造園植栽に対する管理システムが欠かせない。
・現場管理の仕事には、植物のことだけでなくデザインや環境など多角的な面を理解し、縦割り仕事などで齟齬が生まれないような繋ぎ役「ガーデンキュレーター」が第三者的に必要。
・仕組みづくりや人作りのために緑の重要性を広めるとともに、草の根から行政のシステムを変えていく動きが大事。ソーシャルグリーンデザインとしても、小さな活動を応援するとともに、教育分野などで連携をしていきたい。
【SGDトーク】 プロフィール
ゲストスピーカー
山本 紀久(やまもと のりひさ)
株式会社愛植物設計事務所 代表取締役会長
1940年栃木県生まれ、東京農業大学造園科卒業、第一園芸造園部~東洋造園土木を経て1973年に会社設立。代表取締役を経て現在は会長。
●代表作:東京ディズニーランド、八景島シーパラダイス、沖縄総合運動公園などの植栽設計監理
●受賞:日本造園学会賞/1982年(調査計画部門)/2015年(「造園植栽術」著作)/2019年(上原啓二賞)/2020年(マネージメント部門)、1996年建設大臣賞、1997年黄綬褒章
https://ai-shokubutsu.co.jp/profile/
小島理恵 (こじま りえ)
株式会社Q-GARDEN 代表取締役
横浜生まれ。信州大学農学部森林科学科卒業。大学卒業後、大手造園会社に入社。その後、会社の先輩と独立。有限会社GAOを設立し、庭園のデザインから維持管理までを手掛け始める。その中で、化学的な農薬や肥料を使わない「オーガニックなガーデニング」のスタイルを確立。2010年 オーガニックな庭造りをめぐる提案が内閣府による起業支援の対象に選定。それを機に、2011年3月 株式会社Q-GARDEN設立。「Q-GARDENオーガニックガーデン5か条」を独自に定め、ガーデンの設計/施工/年間管理の業務を行うとともに、専門学校の講師や本の出版などの活動も行っている。
https://city.living.jp/yokohama/yokohama_gohiiki/780039
モデレーター
小松 正幸(こまつ・まさゆき)
株式会社ユニマットリック 代表取締役社長
一般社団法人ソーシャルグリーンデザイン協会 代表理事
NPO法人ガーデンを考える会理事、NPO法人渋谷・青山景観整備機構理事。
「豊かな生活空間の創出」のために、エクステリア・ガーデンにおける課題解決を目指している。
https://www.rikcorp.jp/
三島 由樹(みしま・よしき)
株式会社フォルク 代表取締役
一般社団法人ソーシャルグリーンデザイン協会 理事
一般社団法人シモキタ園藝部共同代表理事
ランドスケープデザイナー ハーバード大学大学院デザインスクール、マイケル・ヴァン・ヴァルケンバーグ・アソシエーツ(MVVA)ニューヨークオフィス、東京大学大学院都市工学専攻助教の職を経て、2015年株式会社フォルクを設立。 ランドスケープデザイナーとして全国の様々な地域における文化と環境の資源をベースにした場やコモンズのリサーチ・デザイン・運営を行う。季刊「庭NIWA」にて「庭と園藝-社会とコモンズのデザイン論-」を連載中。
https://www.f-o-l-k.jp/
石川由佳子(いしかわ・ゆかこ)
一般社団法人 for Cities 共同代表理事
アーバン・エクスペリエンス・デザイナー
「自分たちの手で、都市を使いこなす」ことをモットーに、様々な人生背景を持った人たちと共に、市民参加型の都市介入活動を行う。(株)ベネッセコーポレーション、(株)ロフトワークを経て独立、一般社団法人for Citiesを立ち上げ。「都市体験の編集」をテーマに、場のデザインプロジェクトを、渋谷、池袋、アムステルダムなど複数都市で手がける。学びの場づくりをテーマに、アーバニストのための学びの場「Urbanist School」、子供たちを対象にした都市探求のワークショップ「City Exploration」を実施。最近では、渋谷区のササハタハツプロジェクトにて街路樹のオンラインデータマップ化を目指す「Dear Tree Project」を立ち上げ、都市のみどりづくりにも携わる。
https://linktr.ee/YukakoIshikawa
(執筆:稲村 行真)
アーカイブ動画について
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https://form.run/@SocialGreenDesign-archive