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トークテーマ“SDG×コミュニティ”を視聴した参加者は何を感じて、何を得た?

2021年6月より「SGD×コミュニティ」と題し、3人のゲストが月変わりで登場しそれぞれの活動や思うことを語っていただきました。各トークのレポートはそれぞれ掲載されているのでぜひお読みいただきたいのですが、今回ご紹介するのは各トークを視聴された参加者の皆様のアンケート結果とslidoでの質問への登壇者の回答です。アンケートのコメント欄も質問もたくさんいただきましたが、今回はその中から多かったご感想を抜粋してご紹介しています。参加者のみなさまは何を感じ、何に気づきを得たのでしょうか。

#01「都市の公園を育てる」の参加者の反応

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【内容】かつてない重要な役割を担いはじめている「公園」。都市で人々が自然とふれあい、きずなを育み、都市の生物多様性を守る場。防災拠点、都会の中心となる複合型施設として。公園緑地にはこれまでにない設備やデザイン、そしてそれを運営するノウハウや管理体制が必要とされています。そうした公園緑地に求められるさまざまな新しい機能を、NPO birthは「公園力」と名づけました。「公園力」によって、自然共生型のライフスタイルを提案しながら、人と自然、人と人の「つながり」をつくることで新しいコミュニティをつくり、新しいまちづくりをおこなっているNPO birthの佐藤さんによるトークセミナー。

:参加者の声:

・期待以上の内容、今後のヒントが盛りだくさんでした。今後の公園管理に繋がることができたらと思います。
・みどりの持つ力と人の力を信じることができ、自分の関わっている公園や地域でも、まちづくりができると強く思うことができました。
・海外の先進事例を知れたり、海外では公園管理者がなりたい仕事に選ばれているなど知らないことだらけでとても勉強になりました。


:slidoでの質疑応答:
【質問】都市部での試みが中心だと思いますが、地方でも公園やまちなかの緑に価値はあるでしょうか?

【佐藤さんの回答】
もちろんあります!ニーズをしっかり汲み取って、それに沿ったプログラムを組めば、多くの人が訪れます。また、どのまちにも、地域のことをもっとよくしたい!と思っている人はいるはずです。そういう方々を見つけて公園みどりと結びつけることができれば、たくさんの可能性が生まれます。地方や田舎でも、よほど山の奥などでない限り、生活自体は都市とあまり変わらないかと思います。子どもたちはどうでしょう。野外で遊んでいるでしょうか。親子でのびのびと過ごせる場所があるでしょうか。たくさんあるみどり(農地や森林)の多くは民地であり、一般の人が入りにくいのではないでしょうか。そういう意味で、公園の役割は都市とあまり変わりがないと思います。また一方、人の手が入らず荒れた森や里山を、公園のように活用できたら、それは地方だからこその財産になります。


【質問】NPObirthは様々なプロフェッショナルが集まり、実に多様な取り組みを行っていらっしゃいますが、これだけの組織と事業を動かしていくには公園の委託管理費だけでは足りないのではないかと思ったのですが、その他の財源があるのでしょうか?

【佐藤さんの回答】
自治体の委託事業や企業とのコラボ事業など行っています。例えば、単に植栽の仕事、ではなく、市民ガーデナーを育てて地域に根付かせるという事業や、地域連携を促進する協働事業、生物多様性向上のための調査+普及啓発など、専門性を活かした事業依頼があります。
NYのように市職員の役職にパークレンジャーがきちんと位置づけられるような状況をつくれれば良いのかもしれませんが、日本では難しい面があります。行政の中だけで完結するのではなく、専門的な団体とコラボ(協働)したほうが、相乗効果でよりよい事業になることが多いと思います。


#02「都市林業のある街」の参加者の反応

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【内容】現状、伐られたらゴミ同然の扱いをされている街の木々。そうした木々の木材化に取組む湧口氏。都市部には立木を木材化するインフラは既になく、多くの木々は痛みが激しく樹形も木材向きでない。しかし一方、無理を克服するアイデアも様々な側面から見出されました。街の木の可能性について活動し、考え続ける湧口さんによるトークセミナー。

:参加者の声:

・そこにあるものを活かしきりたい、という気持ちに共感し、仕事として成立させようという姿勢に感銘しました。一素人の私も何かやってみたい。木工ロクロで色々な木の色のお皿のピクニックセットとか…と妄想が広がりました。
・今までありそうでなかった、大変ためになる&濃い内容にびっくりしております。学術的な分野(学会や講演会等)では聞けないような、実践的な話をフランクにより生の声で聞くことができるのが嬉しいです。
・自然な循環が出来れば補助金無しでもWINWINになる、って素晴らしい。スキルがなくても参加できる、参加することでスキルが身に付く、小さな地域貢献が気軽に出来る環境作りが大切だなと思いました


:slidoでの質疑応答:
【質問】街の木を生かす活動を広げる、個人がまず、できることは何があるでしょうか。

【湧口さんの回答】
既成概念、木工とはこういうもの、とか木と関わる仕事はこういうもの、といった既成概念を一旦忘れて、目の前にある街の木々、それらをネタにしてどうすれば誰かを喜ばせることができるのか?を考えて、できることをしていくのが良いと思います。木の製材ができない、木工ができない、〇〇ができない、できないからできる人や設備を買わなければならない、買っても売り上げは上げられないから助成金を取ろう、補助金ができる仕組みを求めよう、といった方向性にいくのが一番良くないと思っています。 もしよろしければ(社)街の木ものづくりネットワークに遊びにきてください。なにができるか成果を求めず話をしてみましょう。


【質問】街の木を使おう!としたときにどこから入手したらいいのか、造園業者とどう交渉するのか、大きな材だったらどうやって製材所に加工してもらうのか、情報が手に入りにくいなと思っています。

【湧口さんの回答】
造園業者の気持ち、事情、をできるだけ想像して、彼らにとって、まぁそういうことならいつも(切った木をいつものように処分しに行く)と違うことをしてみても良いな、こいつとつきあってみてもいいかもしれないな、という状態にどうつくれるか、そのために必要な準備をできるだけした上で話してみれば、数件当たれば結果が出せるのではないかと思います。簡単なのはお金を払って彼らの時間を買うことですが、それをしないのであれば、しないで済む自然な方法を考えなければ、持続可能な関係は作れませんよね。製材所も同様で、今時、持ち込みの丸太に対応してくれるところはそう多くないかもしれません。とにかく配慮が必要です。配慮とは、言葉を尽くすことではなく、彼らの時間を、払う代金以上に奪わないことですし、奪うのであれば支払うことです。街の木はもとより、日本の山の木でさえもそれらを使ってものをつくるということはそういうことだというところから、私たちはスタートしなければならないのだろうと思っています。


#03「 文化財庭園の活用 」の参加者の反応

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【内容】京都にある、名勝無鄰菴(所有者:京都市、指定管理者:植彌加藤造園株式会社)での事例に基づき、その運営手法と地域への文化財庭園の価値還元の方法をお伝えします。文化財という特殊な一つの場所に対してどうやって愛着をはぐくみ、多様なステークホルダーがそれぞれに主体性を持った状態で関わり続けていけるのかを山田さんが語ってくれるトークセミナー。

:参加者の声:

・多くの庭園がある京都で冷静に現状を分析して強みを見出し、チームで運営に取り組まれていることが素晴らしいと思いました。指定管理者もこういった経営の視点が必要なのだと気付きました。
・文化財の価値を十分に生かしながらそれを開けたものにして地域と関わり、その中で未来へと繋がる活動をしていく点に感銘を受けました。
・フェロー制度を通して第三者として事業を運営する側に立ちながらも無鄰菴について勉強していくという体制について、こういった庭園のみならずその他のミュージアムでも転用できるのではないかと思い、考える糧となったように感じます。


:slidoでの質疑応答:
【質問】無鄰菴で開催するイベントの利用者には年齢層などに特徴はありますか?その特徴を意識した企画はありますか? 

【山田さんの回答】
はい、特徴があります。企画もそれぞれ年齢層を意識して企画をしています。2万円程度以上の高単価の商品は、50、60代ご夫婦をメインターゲットにしています。35才以下には、月1回の無料入場日を設けカフェでの消費を促す導線を作っています。
その他、茶道に興味がある方、庭に興味がある方など、志向によってセグメント化しています。いずれにしても、各イベントにおいてあらかじめ明確にターゲットを決めて置き、実施後に振り返り誤差を解釈する連続が重要だと考えています。


【質問】文化財の利活用は文化財を所有されている方々、組織でも大きなテーマだと思います。無鄰菴ほどの活動をされているところは、なかなかないと思いますが、できている理由はどこにあると思われますか?

【山田さんの回答】
無鄰菴の活動が可能となる理由は、運営者が1社単独であり、意思決定のプロセスを簡略化することが可能なためです。また、運営者である弊社が過去10年以上にわたり、学術的に無鄰菴についても研究を行って来ており、専門的な知見をふまえた活用企画・コンテンツの作成が社内のみで可能なためです。


ゲストに聞いた、
「これからの時代に必要な〈みどり〉とは?」のアンサー

みどりをつなげると人もつながる 人をつなげるとみどりもつながる
(佐藤留美さん)
色々あっていいその環境に合わせた試行錯誤を
(湧口善之さん)
個々人のバラバラさを保ったまま一緒に
(山田咲さん)


トークテーマ“SGD×コミュニティ” 評価の平均は8.7~9.3

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各回とも参加者の方には高い評価をしていただけました。『今後のSOCIAL GREEN DESIGN TALKシリーズやSOCIAL GREEN DESIGNの活動を人に勧めしたいと思いますか?』という質問の平均で8.5~9.1という結果からも、誰かにお勧めしたくなる内容だと思っていただけたことがうかがえます!

トークテーマ“SGD×コミュニティ”のトーク内容はアーカイブ配信もしておりますのでこの機会にぜひご覧ください!

⇒ #01「都市の公園を育てる」アーカイブ動画

⇒ #02「都市林業のある街」アーカイブ動画

⇒ #03「文化財庭園の活用」アーカイブ動画

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