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日本の文化伝統は「形」で遺す

日本で文字が使用されるようになったのは、漢字伝来以降のことです。

漢字伝来以前は、日本に文字と呼べるものはありませんでした。

日本(やまと)に大陸文化が伝来する以前の、日本列島で話されていた言葉・話し言葉が、大和言葉と呼ばれており、現在でも大和言葉を引き継いでいます。

文字を必要としない平和な社会を、縄文時代に築いていたと考えられています。

また、口承文化、話し言葉や技の伝承で、直接次の世代に伝えていく文化が基本であり、例えば、匠(たくみ)の世界では今でも続いています。

日本の文化伝統は「形」で遺す。

世界で一番早く、土器を作って使用したのは日本の先人たちで、縄文土器と呼ばれています。

縄文土器

約1万6千年前の、縄文時代前期までさかのぼります。

日本の各地で縄文土器が見つかっています。

土器の作り方を伝えている人がいて交流があった、ということになり、文字はありませんので、口承文化、話し言葉や技の伝承で、伝えていたと思われます。

古墳のなかで日本最大の古墳が、大阪の堺市にある仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)で、5世紀中頃に作られたと言われています。

仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)

古墳を造るのに積み上げた土の量は、10トンのダンプカーで27万台分といわれており、誰かが統率して指示したり、実際に測量をしたりしなければなりませんが、どのようにして作られたのかは明らかになっていません。

形としての美しさも残っていますので、なにがしかの伝承があったと思われます。

奈良県生駒郡にある法隆寺の創建は607年とされています。

法隆寺

法隆寺の五重の塔は火災により焼失したものの、地震による倒壊はしておらず、五重の塔の構造の特殊性が注目されています。

五重の塔の構造は、東京スカイツリーの建築にも生かされています。

風土や木の質というものをよく知っていたし考えていた、と言われています。

また、現代に当時のままの姿を残してくれているからこそ分析できたものです。

茶道には、茶を点てる点前や、その茶をいただくうえでの約束事が伝えられています。

これを型といいます。

茶道

基礎的な点前や、身のこなしを反復して稽古することで、体と心を整え、礼節ある人格をつくることをめざしています。

茶の湯とは、耳に伝えて目に伝え、心に伝え、一筆もなし、と言われているとおり、稽古して身に付けるという伝統を持っています。

日本の食事作法は独特で、はじめに、いただきますと感謝をして食事を始めます。
感謝しながら食事をし、食事が終わった際には、ご馳走さまと感謝します。

日本における箸は、魂が宿ったものとされています。

礼節を持って、食べものと向き合い、ご飯の一粒にいたるまで大切に扱うという精神の表れです。

このように、次世代へ想いを形や型を通して伝承していくことを行っているのが特徴です。
日常の中に、たくさんの習慣として残っています。

古臭い、堅苦しいと感じる部分もあろうかと思いますが、
「何を伝えたかったのか?」
を考えてみるのも大切なのだと思います。


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