どのような要素が、老舗企業を作り出しているのでしょうか? 老舗企業③
老舗企業には、どのような特徴があるのでしょうか?
①経営理念を承継し続けている
②身の丈経営(堅実な経営)
の要素を挙げましたが、
身の丈を超えてはいけないという代々受け継がれてきた教えから外れてしまったことにより、存続の危機を迎えてしまった老舗企業があります。
578年創業の社寺建築を手がける金剛組(大阪府)です。
地価と建設需要が急上昇したバブル期、金剛組はマンションやオフィスビルなどのコンクリート建築に手を広げました。
バブル崩壊後も売り上げを維持するため、赤字になる額でも工事を受した結果、経営は悪化の一途をたどり、民事再生手続きの申請を準備するまでに追い込まれたのです。
この危機を大阪の「髙松建設」が救います。
「髙松建設」と「金剛組」は取引があったわけではありません。
当時の会長髙松孝育氏が「金剛組」の危機を知り、会社を訪れ、宮大工の国宝級の技を目にし「伝統は一度壊れたら二度と戻せない。金剛組をつぶすのは、大阪の同業者として恥や」と「心意氣」で支援を決めたのです。
こうして、再建資金を手当てし、金剛組を傘下に入れ、元々の社寺建築に原点回帰することにより、現在でも金剛組は存続しています。
もちろん時代のニーズに応じた事業の転換・拡大や販売内容の変更は必要です。
しかし、「本質は何か?」を忘れてはいけないと教えてくれているように感じます。
金剛組に伝えられてきた家訓・・・江戸中期に活躍した32代喜定が亡くなる間際に残した「遺言書」の中にある「職家心得之事」です。
一、出すぎたことをするな
一、大酒は慎め
一、身分に過ぎたことはするな
一、人を敬い、言葉に気をつけよ
一、憐れみの心をかけろ
一、争ってはならない
一、人を軽んじ威張ってはならない
一、誰にでも丁寧に接しなさい
一、差別をせず丁寧に対応せよ
一、私心なく正直に対応せよ
一、入札は正直な見積りを提出せよ
一、家名を大切に相続せよ
一、先祖の命日は怠るな
承継していくことの難しさも感じます。
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