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【ただの雑談】総合商社と2025年の株式市場に関して
A:私は日本の総合商社が好きなのですが、それでも変な業界だと思いますし、変革が必要と考えます。
T:5大商社(財閥系の三菱商事、三井物産、住友商事、同じ源流の伊藤忠商事および丸紅)はいずれも、なんだかんだといって金属や資源・エネルギーで稼いでいる。伊藤忠商事は非資源のNo.1というブランディングを行っているものの、二酸化炭素を排出するビジネスという観点では、他の総合商社と大同小異という分析もある。
A:2023年の春以降、バフェット効果で急に株価が上昇し、その後、後追いで評価も高まりました。バフェットが買うと、株価も評価もここまで変わるものなのかと、アナリストなどのいい加減さにあきれました。
T:同感。バフェットが買った以外に何も変化はなかった。今でもROAが非常に低いセグメントは少なくない。各社はみな同じようなセグメントを有し、それぞれのセグメントのROAも似通っている。
A:総合商社の若手の不満の一つに、有望な案件も、社内の決裁プロセスの中で小粒案件になるというのがあります。各社は同じような事業を、各社ベースでは小粒な形で実施しているわけです。
T:ROAが低いセグメントを切り出し専業会社に売却するか、各社の似たような事業郡・企業群を一つにまとめて強い会社を作りだしたほうが良いというような提案を行っているアナリストもいるようだよ。
A:それは不可欠ですね。これまで総合商社はあまりにも割安に放置されていたため、その修正で買われてきましたが、いったんその流れが落ち着いた今、評価されるポイントが見えません。各社は大幅な株主還元を行い、その瞬間は株価も反応していますが株主還元の効果は一過性のものに思えます。
T:各社は資産のリサイクルを進めているけれど、ROAが低い事業郡・企業群をどうにかしない限り、評価はされないと思う。最強商社と言われる三菱商事でさえ、ROAでみると驚くほど低収益な事業をいくつも抱えている。食品産業、コンシューマー産業、化学ソリューションなどのROAは特に低い。
A:三菱商事はローソンの一部をKDDIに売却し、日本KFCホールディングスを売却するなど、消費者向け事業を縮小しているように見えますが、2024年4月には「S.L.C.グループ」というのを立ち上げています。S.L.C.とはSmart Life Creationの略で、このグループには、ローソン、三菱食品(7451)、ライフコーポレーション(8194)、エムシーデジタル、丸の内キャピタルが含まれています。
T:同じ商社でも、伊藤忠商事や丸紅ならまだわかるけど、三菱商事のようなエリート集団が、泥臭い商いでうまくいくようには思えない。ではなんで、ローソンの株式をKDDIに譲渡したのだろうか。
A:毎年、年初に経営者が今年の有望株みたいなものを発表していますが、伊藤忠商事が最多の得票でした。名だたる経営者がこぞって伊藤忠商事を挙げるということは、何かあるのでしょうか。
T:伊藤忠商事はブランディングが上手い。非資源分野に強みを持つ商人というアイデンティティを確立。そして、そのアイデンティティを体現する形で次から次へと施策を打ち出している。飛び地にはいかずに知見がある領域で着実に事業を強化。子会社や関連会社を相次いでTOBで完全子会社化しているのもその一つ。TOBの時点ではROAは悪化しているものの、PMIを通じた勝算があるのだと思う。
A:伊藤忠商事はニデックのような総合商社というイメージです。
T:そうかもね。2025年は総合商社が再び起爆剤になると睨んでいる。親子上場(上場子会社と上場関連会社)問題の解消やROAが低い事業の整理を進めると思う。この結果、食品セクターや化学セクターなどで業界再編が加速。そのうねりが他業界にも波及していくと予測する。
A:イベント・ドリブンの観点では、2025年はボーナス・チャンスが到来しそうですね。