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【旧村上ファンドの研究①】SBIホールディングスによる発表を受けて

A:2024年12月30日にSBIホールディングス(8473)は、旧村上ファンド系の投資会社が保有するSBI新生銀行の全株式を取得することを発表しました。取得価格は500億円程度。これにより、SBI新生銀行の株主は当初の計画どおり、SBIグループと政府系ファンドだけになります。公的資金の返済計画が進めやすくなりそうですね。

T:良いニュース。3,300億円にのぼる公的資金の返済をしっかりと進めてほしいよね。

A:発端は、旧村上ファンドらしい驚きの株式取得でした。

T:SBI新生銀行は2023年9月28日に上場廃止。同日、旧村上ファンド(エスグラントコーポレーション)は大量保有報告書を提出し、SBI新生銀行の9.75%を保有していることを公表。つまり、旧村上ファンドはSBI新生銀行が非公開化される直前に、株式を大量取得していた。

A:この結果、SBI新生銀行の株主構成が当初の計画から大幅に狂いました。当初は、SBI新生銀行による公的資金の返済をより確かなものにすべく、SBI新生銀行の株主を、SBIホールディングスの完全子会社であるSBI地銀ホールディングスと政府系ファンド(預金保険機構と整理回収機構)の2社だけにしようとしていました。

T:いわば国と協調した形でのSBIホールディングスの計画が大幅に狂った。

A:旧村上ファンドに関しては忌まわしい存在との思いしかありませんが、そのハイエナ的な嗅覚、機敏な行動力・瞬発力、出口を考え抜く思考力には驚かされます。

T:その後、2024年3月にSBI新生銀行が増資を行った。これにより、旧村上ファンドの議決権比率は12.96%まで増加し第2位の大株主に浮上した。SBI地銀ホールディングスが64.81%で筆頭株主。2位が旧村上ファンド(エスグラントコーポレーション)で12.96%。預金保険機構と整理回収機構がそれぞれ11.11%で3位という構成になった。

A:この時は、どうなることかと思いました。

T:さらに2024年9月30日、SBI新生銀行は旧村上ファンドから自己株式を一部取得した。その上で、SBI新生銀行は取得した自己株式の一部をSBIホールディングスへ割り当てた(第三者割当自己株式処分の引き受け)。その結果、旧村上ファンドの議決権比率は12.96%から7.55%まで下落した。

A:7.55%まで下落したことで、旧村上ファンドはSBI新生銀行の主要株主から外れたのですよね。

T:そう。SBI地銀ホールディングス(SBIホールディングスの完全子会社)の議決権比率が64.81%から69.81%まで増加し、2/3以上の賛成が必要な特別決議をSBIグループ単独で可決できるようになった。ちなみに、政府系ファンド(預金保険機構と整理回収機構)は合計で22.6%を保有する。

A:これにより、旧村上ファンドは依然として株主に残るものの、その影響力は相対的に弱まるとみられていました。

T:SBIグループは村上ファンドの登場で頭の体操をこれでもかと行ってきたと思う。その過程で公的資金を返済する計画がより強化、発展されることにつながったとしたら、旧村上ファンドの存在意義もあったのかもしれない。

A:だといいですが。その後も、あおぞら銀行(8304)の株式を取得するなど、ハイエナ的な嗅覚で仕掛けています。

T:2024年6月に大和証券グループ本社(8601)は旧村上ファンドから保有するあおぞら銀行の株式を取得すると発表した。次回は、この件などをテーマにしたいと思う。

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