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「時価総額2,500億円から2兆円の企業」のIR担当者の方へ

A:本日は、ライオン(4912)への投資を行ったジャパン・アクティベーション・キャピタル株式会社(英文:JAPAN ACTIVATION CAPITAL, INC.)について、お願いします。

T:同社は大塚博行氏が設立した投資会社。大塚氏は米国の大手投資ファンドのカーライル・グループで日本法人の副代を務めた方。2024年4月から、ジャパン・アクティベーション・キャピタル1号ファンドの運用(1,300億円)を開始。これに伴い会社名をファンド名と統一すべく7月1日に商号変更。当初の社名は「ニュートン・インベストメント・パートナーズ株式会社」。

A:JACの最初の投資先であるライオンは8月7日に中間決算(純利益は前年同期比131%増の99億円)を公表。以降、株価は大幅に上昇し12月13日時点の時価総額は約5,300億円です。

T:ライオンとJACは10月10日に「企業価値向上に向けたパートナーシップ契約締結について」を公表。これによると、JACは本契約に基づき10月9日付でライオンの株式を取得したとのこと。

A:報道によると発行済株式総数の5%弱(数百億円)を取得したそうです。

T:先ほどの公表資料によると「JACは、持続的な企業価値の向上に向けて、主要な株主として投資先の経営陣との信頼関係をベースに、中長期的な視点から投資先企業の成長をサポートする上場株ファンドです。JACには数々の日本企業の成長と価値創造に貢献した多様なバックグラウンドの人材が集まっており、その経験をJACが投資する企業にも提供します。」とある。

A:JACのHPには「JACは、主要な株主として、投資先の経営陣、従業員と共に同じ船に乗り、投資先が新たな成長ステージへと進むことを支援してまいります。投資先の大胆な意思決定や戦略実行のサポートを行い、長期的かつ持続可能な価値創造を推進し他の株主の皆様にも貢献する投資家を目指します。」とあります。また「投資先経営陣とのパートナーシップ契約の締結」「プライベート・エクイティ型の手法により価値創造を実現」という言葉も見られます。面白いファンドが出てきましたね。

T:JACの投資対象は時価総額が2,500億円から2兆円ほどの大企業。経営陣と協議の上5~10%程度を取得する方針。業種は限定されてはいないものの、製造業や小売業、流通業などが主な対象のようで、その中から10社超へ投資する見込み。保有期間は3~4年程度とのこと。

A:短期での利益確保を目指すアクティビストとは一線を画すとのことですが、シンガポールのエフィッシモ(Effissimo)も平均3~4年ほどは保有しますので、保有期間だけではあまり差異はないかもですね。

T:JACは、エンゲージメント投資の草分けであり「働く株主」を標ぼうする「みさき投資」と似ているかもしれない。みさき投資も集中投資。アクティビストとは一線を画し、保有期間は基本的に長期だよ。

A:JACに対する期待は高いですね。実績のない1号ファンドに国内の大手金融機関などから1,000億円超の資金が集まりました。金融機関だけでなく、SOMPOホールディングス(8630)や大和証券グループ本社(8601)、さらに東京センチュリー(8439)も資金を拠出。地方銀行や年金などの国内投資家を対象とする2号ファンド、海外投資家向けの3号ファンドも2024年内に新設予定です。

T:過去5年間において、JACが対象とする企業群(時価総額が2,500億円から2兆円程度)は、2兆円超の企業群と比べると伸び悩んだ。JACはこの企業群をPEファンド的手法で強くする方針。そこに対する期待が大きいのだと思う。ちなみに大企業特化のファンドと言われるけど、グローバルでは100億ドル(1.5兆円)未満はいずれも中小型。2,500億円は小粒すぎてまともな投資対象にならない。

A:JACは政策保有株縮減が続き、アクティビストが跋扈する中、貴重な存在になりそうですね。

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