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【ただの雑談】MSCI ACWIから除外される東京電力ホールディングスに関して
A:本日は株価指数算出大手のMSCIの全世界指数「MSCI ACWI」に関して、お願いします。
T:MSCIは四半期ごとに定期的な見直しを実施しており、今回の見直しは2月28日の取引終了時点で反映される。日本企業では東京地下鉄(9023)が新規に採用されたものの、上場REIT1銘柄を含む9銘柄が除外される。その結果、世界2,560銘柄のうち、日本企業は183社になる。
A:四半期毎に日本企業が次から次へと除外されています。これはかなり深刻な事態ですね。
T:極めて深刻。何しろ、同指数の採用企業数の減少は個社だけでなく日本株全体の魅力低下につながる。今でも多くの日本企業が海外投資家の開拓で苦戦している中、この流れがより強化されてしまう。
A:個社がどれだけIRを頑張っても、焼け石に水になってしまいますね。
T:東証というか、日本国が総力を挙げて取り組むべきはMSCI ACWIに採用される企業数を増加させること。そのためには小粒な上場企業を大合併させるなどしてできる限り大きな企業を増やすこと。東証の改革スピードでは遅すぎる。東証プライム市場だけで1,600社以上が上場しているものの、MSCI ACWIに採用されている企業数はわずか183社。225社にも満たない。
A:はい。今回除外されるのは上場REITを除くと8社。2月14日の時価総額でいうと、8,157億円のしずおかフィナンシャルグループ(5831)、8,057億円の日本マクドナルドホールディングス(2702)、8,055億円の日立建機(6305)、6,825億円のブラザー工業(6448)、6,621億円のKOKUSAI ELECTRIC(6525)、6,296億円の東京電力ホールディングス(9501)、6,206億円のTOTO(5332)、6,197億円の三井化学(4183)です。
T:いずれも日本を代表する伝統的な大企業。中でも衝撃なのは東京電力HDの除外。同社は世界有数の経済圏である東京圏の電力を支えてくれている。にもかかわらず、その時価総額は日本マクドナルドHDよりも小さい。東日本大震災後の福島原発事故などを受けての時価総額ではあるものの、東京電力HDが弱体化すれば日本の国力が低下し我々の生活の質も悪化する。
A:はい。チャートをみると株価に底打ち感がなく、底なしで下落を続けているようにも見えます。
T:いまの状況で買い支えることは厳しいものの、それでも皆で東京電力HDを買い支えることが必要なのではないかと思う。同社をただ批判し蔑んだところで自分たちにブーメランが返ってくるだけ。
A:もともと東京電力HDは普通の民間企業ではなく、国策と密接な関係にある特殊な法人でした。原発事故の責任を一手に担っていますが、もともと同社が負っていた責務は民間企業が担うものとしては重すぎたのではないかとの指摘もあります。
T:そうした側面があったことは事実だと思う。とにかく東京電力HDの株価が二束三文になっていいことはない。同社は福島原発事故後にいったん死んだのであり、その時点で解体すべきであったとも言われている。現在の株価、時価総額の推移をみると、日本国として抜本的な対策が必要な段階に来ていると思う。残された時間は少ない。
A:はい。我々はこれまでも企業の時価総額の推移から、ある程度、その後の動きを当ててきたと思います。この経験からすると、2025年に東京電力HDを巡る大きな動きが生じるのではないかと思います。
T:東京地下鉄の時価総額は約1兆円で、MSCI ACWIに新規に採用された。一方で、東京電力HDは除外。東京地下鉄も尊い仕事をしてくれていると思うけれど、電力があってこその他の産業だと思う。今回の除外は、指数から除外されたというだけにとどまらない大きな意味を持つと思うよ。