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2025年2月における日本株市場②➖複数のTOBに関して
A:前回の続きです。2月5日には2社が監理銘柄(確認中)に指定されました。まず、マーキュリアホールディングス(7347)傘下のマーキュリアインベストメント系の企業(C Holdings株式会社)が、CBグループマネジメント(9852)に対するTOBを表明。同社は日用雑貨の事業グループで、東証スタンダード市場に上場。TOB公表前の時価総額は約130億円。TOBを行う側のマーキュリアホールディングスは東証プライム市場に上場し、2月7日時点の時価総額は約167億円。2024年6月末の筆頭株主は日本政策投資銀行(DBJ)で21.22%、第2位は伊藤忠商事で12.26%です。
T:マーキュリアインベストメントは、DBJを主要株主として2005年10月に設立。企業のハンズオン支援を行うファンド運用事業者。マーキュリアホールディングスはグループで約3,300億円の運用資産残高(2023年12月末時点)を有する。もともとマーキュリアインベストメントが上場していたのだけど、2021年7月に株式移転により持株会社であるマーキュリアホールディングスを設立し、いまに至る。
A:2月5日には浜井産業(6131)によるMBOの発表もありました。同社は老舗の工作機械メーカー。東証スタンダード市場に上場し、MBO公表前の時価総額は約33億円。同社代表取締役社長の武藤公明氏が100%を保有する会社が公開買付を実施します。同社の筆頭株主(2024年9月30日時点)はFUJI(6134)で10.07%。第2位は明治安田生命保険で7.72%です。
T:FUJIは東証プライム市場に上場する産業ロボットメーカー。直近の時価総額は約2,100億円。
A:2月6日にウェルネオシュガー(2117)が東洋精糖(2107)に対するTOBを表明。ウェルネオシュガーは東証プライム市場に上場する精糖会社。2月7日時点の時価総額は約784億円。筆頭株主は伊藤忠商事で37.78%、第2位は住友商事で25.32%。両社の持分法適用関連会社。一方、東洋精糖は砂糖会社で東証スタンダード市場に上場。TOB公表前の時価総額は約90億円。筆頭株主の丸紅(39.26%を保有)の持分法適用関連会社。総合商社によるグループ企業の再編です。
T:総合商社にはグループ企業をもっと整理してほしい。今年はこうした案件が多数出てくると思う。
A:2月6日には東証スタンダード市場に上場し、温度センサーを手掛ける芝浦電子(6957)に対して、台湾の電子部品大手である国巨(ヤゲオ)がTOB(完全子会社化を目的)を表明しました。これは同意なき買収です。TOB公表前の芝浦電子の時価総額は約490億円。買付価格は2月5日の終値に37%のプレミアムを付けた4,300円ですが、2月7日の終値は4,535円と既にヤゲオの買付価格を大幅に上回っています。しかもTOBの開始予定日は5月7日です。
T:ヤゲオの売上高は2024年12月期で約5,700億円。芝浦電子の売上高は2024年3月期で324億円と大きな差がある。ヤゲオは2024年9月ごろに協業の検討を始め、経営陣などによる面談を複数回要請したものの、芝浦電子が応じなかったことから、2024年12月30日に買収提案をしていたようだね。手続きは経産省の「企業買収における行動指針」に基づいて進めているとのこと。
A:2月6日には香港のアクティビストOasisがフジテック(6406)の29.37%を保有していることが判明。東証プライム市場に上場し時価総額が約4,600億円の企業の約3割を保有する形です。
T:同日には東証プライム市場に上場する大日本塗料(4611)が合成樹脂塗料メーカーで住友化学(4005)の持分法適用関連会社である神東塗料(4615)に対するTOB(子会社化目的。上場は維持)を表明。神東塗料は東証スタンダード市場に上場し、TOB公表後でも時価総額はわずか42億円。子会社化で上場維持ではなく、完全子会社化すべきだったのではないかと思います。