アクティブ・ファンドを理解したい
A:先日、IR関連のセミナーに参加してきました。
T:どうだった。
A:アクティブ・ファンドについて学んできました。アクティブ・ファンドの中でもIR対象になるファンドとそうではないファンドがあるという点が印象的でした。
T:うん。
A:パッシブ・ファンドはIR対象にはならないこと知っていましたが、アクティブ・ファンドの中でもマルチ・マネジャー型やファンド・オブ・ファンズは対象にならないことを知りました。パッシブ・ファンドではないものの、クオンツ型の運用に特化しているところもIR面談が成立しないと。
T:そうだね。あとは、アクティブ・ファンドといっても、実際に日本企業と面談しているのかも大事だね。
A:そうした話もありましたよ。さらに、SRとIRを統合してIRの部門を設けている会社があることも知りました。
T:そうした会社は少しずつ増えてきているね。
A:これまで株主総会はシャンシャン総会で、いわば安定株主対応がSRの仕事。それ以外の投資家対応がIRだった。こうした区分けが成り立たなくなってきたとの話でした。
T:政策保有株の売却は進んでいるし、安定株主、沈黙の株主という存在は、どんどんいなくなってきているからね。
A:IRが対応する投資家とSRが投資家を分けて考える意味がなくなってきただけでなく、その弊害が出てきたとのことでした。SR面談といえどもIR面談の側面があったり、SR面談に同席する方の中には、IR面談の観点でも重要な方がいたりするそうです。
T:そもそも、SRとIRの区別は幻想だと思ってきた。会社はSR面談相手だと思っても、投資家は純粋な投資行動のための面談であることは昔からあったからね。SRという言葉を知った時は驚いたよ。
A:そうですよね。面談対象のアクティブ・ファンドであれば、基本全てIR面談になりますよね。SRでの知見をIRに活かせていないなどの反省もあり、いまは、IR・SR一体で取り組んでいるそうです。
T:日本の大手運用会社はいまだパッシブ運用が主体だけど、政府による「資産運用立国実現プラン」であったり、先日、金融庁が公表した「アセット・オーナー・プリンシプル」などもあり、日本の大手運用会社も「資産運用業の高度化」に真剣に取り組み始めているから、今までのようなSRというのはいずれなくなっていくのではないかと思う。
A:はい。
T:IRは、日本語で「投資家向け広報」と訳されることが多いけれど、「広報」ですむ時代はとっくに終わった。「投資家向け営業」「投資家向けトップ営業」がこれからのIRではないかと思うよ。
A:はい。似たような問題意識、考え方がセミナーでもありました。
T:日本の大手運用会社は議決権行使基準をより厳格化。そのため、従前のアクティビストよりも強硬な存在になってきたとも言われている。東証、金融庁、経産省が静かなアクティビストになった。日本の大手運用会社に加え、個人も「東証のPBR1倍割れ解消要請」を踏まえた提案を行うなど、いわば全員アクティビストの時代。アクティブ・ファンドに関する理解はこれからますます重要になってくる。
A:ファンド単位で投資家を把握すること。ファンドを運用するキーマン(アナリスト、ポートフォリオ・マネジャー)を理解することが、これからさらに重要になっていくのですね。