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事業会社で最低のPBRになった日産自動車に関連して

A:先日、日産自動車(7201)のPBRが0.22倍となり、事業会社で最低になったことが話題になりましたね。

T:うん。日産のPBRも驚いたけど、日産よりPBRが低いのはいずれも金融機関というのも改めて驚いた。もっとも地銀の大部分は似たようなものだけど。

A:時価総額がそれなりにある企業の中で、ほかにどんなところがありますか。

T:約1兆円のかんぽ生命保険(7181)、約2千億円のほくほくフィナンシャルグループ(8377)、約1千億円の日本製紙(3863)が思い当たる。いずれもPBRは0.3倍前後。

A:かんぽ生命保険はどんな感じなのですか。

T:PBRは0.2倍台。日本郵政公社の民営・分社化に伴い2007年に発足。2015年11月に上場。保有割合は49%台だけど、親会社は日本郵政(6178)。つまり、親子上場でもある。そして、今も昔も不祥事が付きまとう。

A:PBRの低さだけでなく、問題だらけですね。

T:さらに言うと、時価総額は1兆円程度あるものの、アクティブ投資家はほとんどいない。

A:時価総額が1兆円程度になってくると、世界中のアクティブ投資家の投資対象に入り始めますよね。

T:うん。この点でも例外的な企業。時価総額が2,000億円を下回ってくると、アクティブ投資家はほとんどいなくなるけれど、同じようにスカスカ。

A:実績ROEは3%と、こちらも非常に低いですね。

T:PBR=ROE×PERだとして、そうなるよね。ちなみに、同業の第一生命ホールディングス(8750)の実績のROEは9.5%。このくらいがおそらく上場企業の最低ラインだと思う。

A:かんぽ生命保険は大丈夫なのでしょうか。

T:少なくとも、PBRが低くても割安とは言えないよね。ちなみに、かんぽ生命保険は2016年に第一生命ホールディングスと業務提携。今年の5月には、大和証券グループ本社(8601)傘下の大和アセットマネジメントの20%を取得し、同社を持分法適用関連会社にすることを発表した。

A:時価総額が1兆円程度であれば、3.7兆円程度の第一生命ホールディングスが買収できそうです。

T:第一生命ホールディングスにとって、取得したい対象なのかはわからないけど、かんぽ生命保険は上場企業として問題が多すぎる。どこかに買収されるなどして、非公開化したほうがいいかもね。

A:第一生命ホールディングスは、ベネフィット・ワンへの対抗TOBで同社を取得するなど、攻めの姿勢を見せていますし、時価総額も増加傾向です。日本企業にも、カナダのアリマンタション・クシュタールによるセブン&アイ・ホールディングスの買収提案のようなことをもっと行ってほしいです。

T:うん。かんぽ生命保険は、資産規模は大きいものの、運用面が課題と言われてきた。だから、大和アセットマネジメントに出資、同社に1兆円程度の資産運用を委託する。けれど、第一生命ホールディングスは傘下にアセットマネジメントOneを持つし、この点でもいいかもね。

A:アセットマネジメントOneは、みずほフィナンシャルグループと第一生命ホールディングスが株主ですね。

T:経済的な持ち分比率では前者が70%、後者が30%。議決権比率では51%、49%だよ。

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