8月5日の大暴落と日本人のアクティビスト

A:2024年8月2日。日経平均株価は2,216円下落。翌営業日の8月5日は、4,451円の大暴落。先輩はこれをどう思いましたか。

T:ずっと調整らしい調整が来なかったから、ついに来たかと思ったよ。それにしても、下げ止まる気配が全くなくて驚いた。途中、リアルタイムで見ていたけれど、凄まじい下落だった。

A:下落率は12.4%だったようですね。

T:昔に比べて、日経平均株価の水準が大きくなっているから、同じ下落率でも下落幅は大きくなるよね。個人的には、買いのチャンスと思っていたのだけど、翌日の上昇が早すぎて、まったく買えなかった。

A:8月6日は前日比10.2%の上昇で。3,217円も値を戻しましたね。

T:ちょうど出張で日中全く相場を見られなかった。昔から移動の際に、大きな出来事が起きるよ。

A:それで、先輩は、今回の急落・急騰で、日本の株式市場に変化は生じると思いますか。

T:新NISAでなんとなく株式投資を始めた方々のうち、投資に向いていなかった方々が撤退する。一方、アクティビストはこのチャンスを活かして株式をしっかりと追加取得。コーポレート・アクションは増加する。

A:いったん、素人相場が終わった感じですね。

T:旧・村上ファンド系のシティインデックスイレブンスは平和不動産を追加取得し、6.06%を保有。旧・村上ファンド出身メンバーが設立したシンガポールのエフィッシモ(Effissimo Capital Management Pte Ltd)はサンケン電気(28.34%)、やUACJ(18.15%)。同じく旧・村上ファンドの幹部だった丸木さんのストラテジック・キャピタルはイエローハット(9.55%)。

A:旧・村上ファンド系が大暴れですね。平和不動産、サンケン電気、UACJ、イエローハットはいずれも東証プライム上場ですよね。

T:いずれも時価総額は1,000億円以上。UACJは2,500億円規模。

A:平和不動産は兜町の大家さんですよね。確か、大成建設が今年の6月に同社を持分法適用関連会社にすると発表していました。

T:そうだね。ちなみに、三菱地所は平和不動産と資本業務提携契約を2011年に結んでいた。6月の発表は、平和不動産、大成建設、三菱地所の三社共同でなされていたよ。

A:旧・村上ファンド系以外でもアクティビストの動きはあったのですか。

T:シンガポールでいえば、最近活動が目立つ3D Investment Partners(3D)が医薬品卸の東邦ホールディングスの取得を進めた。9月初旬の時点で16.40%まで買い進めている。

A:また3D!。東宝ホールディングスの時価総額は3,500億円くらいありますよね。

T:3Dはシンガポール籍だけど、創業者は日本人の長谷川寛家氏。1980年生まれ。ゴールドマン・サックス証券を経て、シンガポールの資産運用会社2社を経て2015年に3Dを創業。現在CEO兼CIO。

A:長谷川氏の存在は、ベールに包まれている印象です。

T:そうかもね。外国人が運営するところでは、香港Oasis Managementがデジタルガレージ(15.42%)、米Dalton Investmentsの創業者が立ち上げた英国のファンド「Nippon Active Value Fund(NAVF)」が那須電機鉄工(6.56%)。

A:那須電機鉄工とはどんな会社ですか。

T:東証スタンダード市場に上場する金属資源メーカー。時価総額は140億円程度。

A:こうみると、日本人のアクティビストが、日本企業を取得しているのですね。

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