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アクティビストに救われるかもしれない火の車「日産自動車」

A:キャッシュの枯渇も遠くない、崖っぷちの日産自動車ですが、アクティビストの保有が相次いでいますね。

T:本年10月9日時点で日産のPBRは0.22倍となり、東証プライム上場企業で5番目に低いPBRとなった。しかも、事業会社では最下位。日産よりも低いPBRはいずれも金融機関だった。

A:その後日産は11月7日に中間決算を公表しました。連結純利益は前年同期比93.5%減。他にも多数の発表(9,000人の削減など)を行いました。
(詳しくは、以前の本対談をご参照ください)

https://note.com/sgbc_3588/n/nd3f9527a5b48

T:そんな日産の株価が11月12日の午後に急騰。一時前日比21%も上昇し、約3か月ぶりの高値をつけた。

A:ビックリしました。何があったのかと調べたら、アクティビストが株式取得に動いたと。

T:日産は11月11日に半期報告書を提出。シンガポールのエフィッシモ(Effissimo Capital Management Pte. Ltd.)との関連が意識されているファンド「サンテラ(ケイマン)リミテッド アズ トラスティ オブ イーシーエム マスター ファンド」が大株主に登場していた。これが株価急騰につながった。

A:そのファンドは、実際にエフィッシモと関係があるのですか。

T:株価が急騰した11月12日の取引終了後に、日経がエフィッシモに取材したところ、「大株主に記載されたファンドがエフィッシモを指すのは事実」とのこと。ちなみに、エフィッシモは5位の大株主として、2.5%(約97.8百万株)を保有する。直近の株価で計算すると時価は約400億円。

A:エフィッシモは、時価総額が大きな企業であっても、株式を大量取得することでも有名ですよね。

T:11月15日時点の時価総額でいうと、約1.4兆円の川崎汽船(9107)の36.46%(本年11月13日時点。本年9月27日時点では38.52%)保有する。

A:そうなると、川崎汽船の時価総額のうち5,000億円以上を保有する計算になります。

T:エフィッシモは他にも、約3.8兆円の第一生命ホールディングス(8750)の10.67%(本年8月6日時点)を保有。また約9,700億円のリコー(7752)の19.50%(本年10月9日時点)を保有する。

A:それぞれ、約4,000億円、1,900億円を保有していることになりますね。

T:このように、エフィッシモは巨額な投資を行う。ちなみに9月27日時点で日産車体(7222)の29.68%も保有している。

A:エフィッシモは、アクティビストとしては、どんな感じなのですか。

T:「理論的な要求が多く、突拍子もないことはあまり言ってこない」との声がある。長期投資家と位置付けている会社もある。

A:日産はこのままでは倒産しかねないですので、今回のアクティビスト参戦は良いことのように思います。

T:実際、ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリストの中西考樹氏は、『日産を再生する一つの契機となればいいです。現在の日産の混乱は「人災」に見えます』など、アクティビストの参戦を歓迎するとともに、日産を痛烈に批判するコメントを出されている。

A:日産の株価は11月15日にも一時前日比7%上昇しました。香港オアシス(Oasis Management)も保有しているとの観測のようですね。

T:こちらに関しては公式な書類では確認できないのだけど、市場関係者の間では事実として受け止められている。

A:余計なこともたくさんするオアシスですが、日産に関しては救世主になるかもです。あるいは、東芝のように、アクティビスト大集合で、最後は上場廃止かもしれません。

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