再び、アクティビストからの面談依頼がありました

A:再び、アクティビストから面談の依頼がありました。

T:今度はどこ。

A:香港のOasis Managementです。

T:日本で最も活発に活動しているアクティビストとも言えるかもね。

A:Oasisって、どうですか。

T:いたって普通の海外投資家という声もある。一方で、疑惑を針小棒大に暴き、たくみに印象操作するという声もある。もともと、経営陣の不祥事をテコにして、アクティビスト活動を展開してきたのだけど、少し変化してきたとも言われている。

A:どんな風に変化してきたのですか。

T:花王へのアクティビスト活動では、ブランドの数の削減や、マーケティングの強化など、経営戦略に関する提案を行った。ちょっとデザインに凝ったサイトまで作っていたよ。

A:それに対して、どのような反応があったのですか。

T:そうだね。他の投資家も主張には一理あるという感じで、それほどネガティブな反応はなかったと思う。

A:その後、花王はどうなったのですか。

T:業績が回復したこともあって、結果的に、Oasisの要請を一部、満たした感じではある。ただ、まだ始まったばかり。これからだね。

A:当社では役員たちの間で、Oasisの件がもっぱら話題です。どのように面談したらいいと思いますか。

T:アクティビストと言われる人たちも、そこに所属する人たちは普通の人のことが多い。面談の初回から、強硬な主張をしてくることもない。だから、あまり警戒しすぎずに面談してみることが大事。

A:当社の場合、狙われるとしたらどこだと思いますか。

T:アクティビストも、アセット・オーナー、つまりは資金の出し手からの監視がある。他の投資家の賛同が得られない活動はしにくいし、賛同が得られないケースのリターンは高くない。Oasisの資金量はそれほど大きないし、多数の投資先を持つから、Aの会社に投資する場合もそれほど大きくはならないと思う。

A:それでも心配です。

T:Oasisだけではないけれど、他の機関投資家の賛同を得られるかどうかは非常に大事。一般的に米国の機関投資家のほうがアクティビストの提案に賛同するケースが多いと言われる。その点では米国の投資家の不在を気にしているAの会社にとってはプラスかも。次に、Aの会社は古典的なアクティビズムの対象になる会社ではないと思う。いわゆる割安のキャッシュ・リッチ企業ではない。高い成長性を有するグロース色の強い会社。そうなると、本来の潜在能力を十分に発揮するための提案が考えられる。ただ、この領域はかなり高度。Aの会社に対してOasisが打ち出せるものはあるだろうか。

A:アクティビストには会社をよりよくする能力はないのですか。

T:その領域はPEファンドの分野と言える。もっとも今、アクティビストがPE的な活動をするようにもなってきているから、境界線はなくなってきているのかも。それでも、アクティビストの多くはダメな企業の経営を劇的に改善するような能力もリソースも有していないことが多い。おそらくOasisも。ただ、Oasisは東京に拠点を有しているし、数年に及ぶ活動は珍しくないから、短期で売り抜ける存在ではない可能性がある。

A:粘り強い存在ではあるものの、過度に警戒しなくてもいいのかもとちょっと思えるようになりました。

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