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2025年2月における日本株市場③ 2月7日の出来事に関して
A:本日は2月7日の動きです。まず米Bain Capitalが三菱ケミカルグループ(4188)傘下の田辺三菱製薬を約5,100億円で買収すると発表しました。米Bainが日本の製薬企業を買収するのは初めてです。
T:三菱ケミカルグループにとって過去最大の売却案件。売却資金は「化学事業を力強く成長軌道に乗せていくための投資や負債の返済、株主還元に充てていく」と同社CFOは述べられていた。
A:三菱ケミカルグループは約950億円の譲渡益を計上する見込みです。
T:米Bainのパートナー末包氏は「田辺三菱製薬は国内において卓越した営業などの事業基盤と創薬の開発力を持ち、成長に向けたポテンシャルがある」と発言。また「新薬候補の導入やM&Aなどを含めて我々が支援していくことで、さらに大きな企業体になっていける」とも述べられている。
A:米Bainの取り組みは素晴らしいですが、なぜ、国内の製薬業界の同業他社にはこうした動きができないのでしょうか。
T:製薬業界だけでなく他の業界でも同じ。他社も負けないでほしい。
A:同日、明治安田生命保険は英金融大手のリーガル・アンド・ジェネラル(Legal & General Group plc)の5%を1,300億円で取得することと、同社の米子会社であるバナーライフ(Banner Life Insurance Company)の買収(3,500億円)を発表しました。
T:明治安田生命保険は2024年8月に米国の中堅生命保険会社のAmerican Heritage Life Insurance Companyの買収(5,800億円)を発表していた。
A:日本生命保険は2024年5月に米国のCorebridge Financial, Inc.への20%出資を発表。また同年12月には米系生命保険会社のResolution Life Group Holdings Ltd.の買収を発表しています。日本円で約1.2兆円の大型買収です。
T:生保各社の資金量と短期間での複数の巨大M&Aには驚くよ。
A:2月7日にはエア・ウォーター(4088)が川本産業(3604)に対するTOBを表明しました。エア・ウォーターは東証プライム市場に上場する大手産業ガスメーカーで時価総額は約4,400億円。一方、川本産業は東証スタンダード市場に上場する医療・衛生材料メーカーで、TOB公表前の時価総額は約52億円。2016年にエア・ウォーターによるTOBで同社の子会社になり、エア・ウォーターは川本産業の50.1%を保有しています。
T:このような親子上場の解消は義務化してほしいくらい。
A:TOB公表前で52億円の時価総額ですと、個人でも流動性がなさ過ぎて買いづらい規模です。
T:同日、SBIレオスひふみ(165A)傘下のレオス・キャピタルワークスがフジ・メディア・ホールディングスの5.12%を取得した旨の大量報告書を提出。保有目的は純投資。
A:レオスの藤野英人社長は2月10日に日本経済新聞の取材に対して「株価は割安で、3~5年で2~3倍になる可能性がある」と述べられています。また「半導体株よりもコンテンツ産業の方が10年後に価値が高まる余地が大きく、メディア株全般に強きだ」とも。さらに「会社のあり方やガバナンスが劇的に変わることで0.6倍台のPBRが1倍まで上がる可能性があり、投信の受益者に迷惑をかけることはない」とも話されています。
T:旧態依然としたマスコミ業界の大変革にも期待したい。