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独立系ファンドの第3世代(前編)

A:先日、日本橋兜町のFinGate KABUTOに行ってきました。

T:たくさんの新興運用会社が入居していたでしょ。

A:なんとなく聞いたことのある運用会社と知らなかったところが勢ぞろいしていて、とても面白い空間でした。

T:武士道アセットマネジメント、トライヴィスタ・キャピタル(TriVista Capital)、ありあけキャピタル、ソラリス・マネージメント(SORARIS MANAGEMENT)、パイ・ラディアン・キャピタル(Pi Radians Capital)、日本橋バリューパートナーズなどが主な独立系ファンドの第3世代。ほとんどいたはず。

A:はい。NBIMが運用を委託したトライヴィスタ・キャピタルも見つけることができて嬉しかったです。

T:トライヴィスタは2019年創業。創業から3年未満で、役職員はわずか7名だった2022年にNBIMは同社に運用を委託。「時間がかかってもいいから、数十年後も光り続ける日本企業に投資してほしい」とのこと。ちなみに、NBIMで外部運用者の統括を行っているエリック・ヒルデ氏は「すでに委託している運用者のネットワークから情報を得ることが多い。東京国際金融機構の情報提供にも助けられている。時間のかかる作業だ」と述べていた。ついでに、東京国際金融機構は英語でThe Organization of Global Financial City Tokyo。その略称はFinCity.Tokyo。2019年4月に設立された。

A:時間をかけて地道な努力で外部委託先を探し続けてきたNBIMを、GPIFも見習ってほしいです。

T:同感。今日はトライヴィスタだけでなく、第3世代を一つ一つ見ていきたい。いずれも投資対象は主に日本株。まずは2018年設立の武士道アセットマネジメント(BUSHIDO Asset Management Co,. Ltd.)。創業者は杉山賢次氏でCIO。三菱UFJモルガン・スタンレー証券、ヘッジファンドの暁翔キャピタル(代表取締役は山口功一朗氏)を経て同社を企業。徹底した個別企業のファンダメンタル調査に基づくロング・ショート運用で、2020年には日本株ヘッジファンドの運用成績でトップになった。

A:独特の風貌のお写真を見たことがあります。

T:次に、トライヴィスタ。創業者は後藤正樹氏。コーネル大学を卒業後、ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院でMBAを取得。日立製作所でのエンジニアからキャリアをスタート。その後複数社(Goldman Sachs、Morgan Stanley、Standard Pacific Capital、あすかアセットマネジメント)を経て、直近はエンゲージメント投資の草分けである「みさき投資」のパートナーを5年ほど務めたのち、2019年3月に同社を設立。2023年8月の日経では「競争優位性を軸に厳選した日本企業への投資で頭角を現し、中小型株を熟知した運用者を探していたノルウェー銀行のニーズに合致。欧米の大学基金や財団法人からも資金を預かり、運用残高は3月時点で700億円規模に上る」とある。

A:運用業界では珍しくはないものの、輝かしい経歴の持ち主ですね。

T:次は、ありあけキャピタル。ゴールドマンサックス証券で金融セクターのアナリストを長年(新卒から約20年間)務めた田中克典氏が2020年に設立。ここは、地銀投資に特化した異色のファンド。北國フィナンシャルホールディングス(7381)、千葉興業銀行(8337)、山口フィナンシャルグループ(8418)、愛媛銀行(8541)へ投資してきた実績がある。また本年6月にはライフネット生命(7157)を新規に5%以上取得したことを大量保有報告書で公表。ちなみに、ライフネット生命保険にはシンガポールのエフィッシモ(Effissimo Capital Management Pte. Ltd.)が20%以上出資しており、同じくシンガポールのHibiki Path Advisors Pte. Ltd.も出資している。

A:他の第3世代についても、後ほどまた教えてください。

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