2024年10月末からのTOB、MBOを改めて整理してみました。
A:10月末から、企業再編が続いていますね。
T:10月29日に豊田通商(8015)が上場子会社(58.63%保有)でエレクトロニクス商社のエレマテック(2715)へのTOB(完全子会社化)を公表。エレマテックは東証プライム市場に上場。時価総額はTOB公表前で約700億円。
A:同日、NEC(6701)は上場子会社のNECネッツエスアイ(1973)へのTOB(完全子会社化)を公表。こちらは、前回この場で取り上げました。
T:10月31日に外為どっとコム(非上場)がマネーパートナーズグループ(8732)へのTOBを公表。マネーパートナーズグループの時価総額はTOB公表前で約70億円。TOB公表後は2.2倍の160億円台で推移している。筆頭株主は大和証券グループ本社(8601)で18.49%を保有。外為どっとコムはTOBで完全子会社化を予定。
A:その後、前回取り上げた2件のTOBが公表されました。11月1日にDMG森精機(6141)による太陽工機(6164)へのTOB(完全子会社化)。11月6日にSCSK(9719)によるネットワンシステムズ(7518)へのTOB(完全子会社化)。IT業界でのM&Aも目立ちますね。
T:11月7日には精密部品メーカーのI-PEX(6640)がMBOを公表。同社の筆頭株主は36.77%(2023年12月末現在)を保有数するDMC株式会社(非上場)。創業家の会社。I-PEXは東証プライムに上場。MBO公表前の時価総額は約300億円。買付価格は2,950円でMBO前の1.85倍相当。おそらくこの価格でも、PBR1倍割れでのMBOになると思う。
A:そうなると、創業家による不公正価格でのMBOなどを問題視する傾向がある、米Curi RMB Capital, LLC、米カナメキャピタル(Kaname Capital, L.P.)、あるいは香港Oasis Management Companyなどが噛みつくかもしれませんね。
T:その可能はあるかもね。ちなみに、米カナメキャピタルは、Eric Ikauniks氏とToby Rodes氏が2018年に設立。この二人はもともと米ボストンのGMO(Grantham, Mayo, Van Otterloo & Co. LLC)で15年間、バリュー投資を手掛けていた。Toby Rodes氏は非常に有名な投資家。つい先日、とある情報サイトで「日本の上場企業は今後10年で半減へ」というタイトルのもと、特集されていた。
A:2023年からのMBOラッシュ、またTOBおよび対抗TOBの増加をみると、実際そのようになりそうです。というか、なったほうがいいですよね。
T:11月7日にはKDDI(9433)もTOBを公表。相手は東証スタンダード市場上場で、KDDIの持分法適用関連会社(31.59%)のラック(3857)。完全子会社化を目指すとのこと。TOB公表前の時価総額は約230億円。
A:ラックは国内トップレベルのサイバーセキュリティ対策会社ですね。
T:11月7日にはサーラコーポレーション(2734)が安江工務店(1439)へのTOB(完全子会社化)を公表。サーラコーポレーションは東証プライム市場に上場。エネルギーと住まいを中心に様々な事業を展開。時価総額は11月8日時点で約550億円。一方、安江工務店は東証スタンダード市場上場の工務店。TOB公表前の時価総額はわずか20億円。両社はともに愛知県を基盤とする。時価総額がここまで小さい企業は、市場から撤退しないといけない。
A:買い手がいるケースは良いですが、日本の株式市場における大きな課題ですね。
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