ファミリー・オフィスから面談依頼が来ました
A:先日、とあるファミリー・オフィスから面談の依頼が来ました。相手は著名な投資家で、CEOまたはCFOとの面談を希望しています。このような場合、先輩の会社ではどのように対応していますか。
T:時間が許す限り、面談をしているよ。当社もファミリー・オフィスとはたまに面談している。
A:ファミリー・オフィスとはそもそも何ですか。
T:大富豪などが自分の資産を運用するために作った運用会社だよ。
A:すごいですね。
T:欧米にはそうしたファミリー・オフィスはたくさんあるし、ファミリー・オフィスが原点となり発展したヘッジ・ファンドや資産運用会社もいろいろとある。日本にもあるけど、欧米のファミリー・オフィスほどは目立った動きは見られない。
A:ファミリー・オフィスとヘッジ・ファンドの違いは何ですか。
T:どちらも、ポジションを公開する義務がないから、保有状況がわからないという点が共通する。
A:先輩の会社では、ヘッジ・ファンドはどういう位置づけなのですか。
T:昔は、ヘッジ・ファンドとアクティビストの区別も怪しい時代があったけれど、今ではヘッジ・ファンドとの面談は日常茶飯事だよ。とりわけ、マルチ・マネジャー型のヘッジ・ファンドとの面談は多い。
A:ヘッジ・ファンドの理解もいちいちですが、マルチ・マネジャー型のヘッジ・ファンドとは何ですか。
T:プラットフォーム型のヘッジ・ファンドとも言われるのだけど、1つの会社の中に、実際には多数の運用者、運用会社が存在する形態のこと。当社の場合、こうしたヘッジ・ファンドとの面談がとにかく多いね。
A:実は前から、同じ会社なのに、いろいろなメンバーが面談してくるから、なぜだろうと思っていました。メンバーのつながり、関係がわからず、経営陣からも、毎回、確認するように言われていました。
T:そうなるよね。実際、面談してくるメンバーの関係性を調べてもあまりわからないことが多い。というよりも、実際には別会社のようなものだから、同じ組織に属しているものの。
A:やはりそうなのですね。そもそも、ヘッジ・ファンドと伝統的な資産運用会社は何が違うのですか。
T:一番の違いは、ポジションを公開する義務があるかどうかだね。伝統的な資産運用会社は、例えば、投資信託を運用しているから定期的にポジションを公開しているし、年金資金を受託しているところも、実績を伝えるために、情報を開示することが多い。一方で、ヘッジ・ファンドやファミリー・オフィスは先ほど述べたように、公開する義務がなく、公開したくないから、そうした形態をとっているわけだよ。
A:そうなると、ポジションがわからないヘッジ・ファンドの面談を受ける意味はあるのでしょうか。
T:ヘッジ・ファンドに所属する人たちは、伝統的な投資家よりも結果責任が問われるから、より真剣に企業を調査しているし、日本市場において大きな存在感を示している。とりわけ、流動性向上に寄与する存在だから、有名なヘッジ・ファンドとは基本的に面談したほうが良いと思うよ。
A:ヘッジ・ファンドというと空売りというイメージも強いため、経営陣はあまりよく思っていません。
T:空売りというのはその後買い戻すでしょ。一方で買いはいずれ売るわけ。となると、空売りだけを警戒する必要はないと思うよ。
A:確かにそうですね。ヘッジ・ファンドの定義ってあるのですか。
T:ヘッジ・ファンド=空売りする投資家と思われているけれど、そうではなくて、ヘッジ・ファンドは一般的にレバレッジをかけて取引する点が特徴。決して悪い存在ではなく、空売りはヘッジ・ファンド以外でも行うよ。