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2025年1月における日本株市場(前編)

A:2025年1月の日本株市場を振り返ってみたいと思います。

T:1月6日に株式会社パロマ・リームホールディングス(給湯器大手パロマの持株会社)が富士通ゼネラル(6755)に対するTOB(完全子会社を目的)を公表。富士通ゼネラルは空調大手で東証プライム市場に上場。TOB公表前の時価総額は約2,500億円。両社はもともと2016年から協業関係にあった。1月6日の終値から24%上乗せした価格を設定し、買収総額は2,560億円。

A:新年早々の大型買収で2025年は大M&A時代になるのではと思いました。

T:1月10日にオープンハウスグループ(3288)が連結子会社のプレサンスコーポレーション(3254)の完全子会社化を発表。オープンハウスグループは東証プライム市場に上場で、時価総額は約6,150億円。一方、プレサンスコーポレーションは東証スタンダード市場に上場で、TOB公表前の時価総額は約1,370億円。1月10日の終値比で22%のプレミアム付きの買付価格。買収額は約606億円。

A:そこまでの驚きではありませんでしたが、親子上場が1社減ったという点で良いニュースでした。

T:1月14日に米Bain Capitalがジャムコ(7408)の買収を発表。ジャムコは世界トップの航空機内装設備メーカー。東証プライム市場に上場で、TOB公表前の時価総額は約375億円。有価証券報告書によると2024年3月31日時点で伊藤忠商事(8001)が33.37%、ANAホールディングス(9202)が20.02%を保有。このようにジャムコは両社の持分法適用関連会社。

A:米Bain Capitalの勢いは凄いですね。一体どれだけの案件を短期間で処理しているのかと驚くばかりです。同じ1月14日には日本代表の杉本勇次氏がアジア太平洋地域の責任者に昇格したとの報道もありました。また1月20日には三菱ケミカルグループ(4188)が医薬品子会社の田辺三菱製薬の売却に向け米Bain Capitalに優先交渉権を与えたとの報道もなされました。売却額は5,000億円超とのことです。田辺三菱製薬は三菱ケミカルグループ(当時は三菱ケミカルホールディングス)が2020年に完全子会社にしたばかりでした。

T:米Bain Capitalは医薬品などライフサイエンス分野を対象とするファンドを持ち、これまでに60社以上の投資実績がある。今回の交渉が成立すると、日本の製薬会社を初めて買収することになる。

T:1月15日にはテックポイント・インク(6697)がASMedia Technology Inc.の完全子会社になるため監理銘柄(確認中)に指定された。テックポイント・インク(Techpoint, inc.)は米国企業で、半導体の設計を行うファブレス半導体会社。海外株を国内株として扱うJDR(日本預託証券)という仕組みで2017年に現在の東証グロース市場(外国)に上場。JDR上場における1号案件だった。

A:同社に関しては会社四季報などにも情報がなく、謎の会社でした。

T:そうだね。一般の方が得られる情報は非常に限られていたため、上場している意義は乏しかったと思う。

A:1月28日にシーアールイー(3458)がMBOを公表しました。シーアールイーは物流向け不動産開発会社で東証プライム市場に上場。スキームとしてはまず、三井住友ファイナンス&リースが傘下のSMFLみらいパートナーズを通じて同社を買収。株式の50.1%を約200億円で取得して子会社にします。TOB価格は1,700円。1月27日の終値比で29.9%のプレミアム。TOB後も創業家系の京橋興産が株式の49.9%を継続保有するためMBOという扱いです。有価証券報告書によると2024年7月31日付の大株主は京橋興産が37.62%、ケネディクスが15.28%です。

T:ジーエフシー(7559)、アスコット(3264)、山陽特殊製鋼(5481)などは次回に取り上げよう。

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