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IR担当者なら、アシックス、フジクラから学びたい
A:株価指数算出大手のMSCI(Morgan Stanley Capital International)が、11月初旬に再び、新たな発表を行いましたね。
T:代表的な全世界株指数「MSCI All Country World Index (ACWI)」から、J-REITを除く7社を除外。一方でフジクラ(5803)のみを追加。11月25日の取引終了時から反映される。
A:MSCI指数に連動するパッシブ運用資金は巨額です。MSCI指数に採用されるか除外されるかは、個別銘柄の需給に大きな影響を与えますが、フジクラへの影響はタイミング的にも大きかったですね。
T:フジクラは11月7日の大引け後に通期業績予想の上方修正を発表。2025年3月期の連結純利益が前期比22%増の620億円になるというもので、従来予想から20億円増額。しかも過去最高益。この発表の翌日の11月8日に日経の朝刊は、MSCIがMSCI ACWIにフジクラを追加することを報じた。
A:2つの大きな買い材料が11月8日に集中したわけですね。
T:フジクラは生成AI関連(生成AIのデータセンター向けケーブルや光配線部品)銘柄として今年大化け。2023年末の時価総額は約3,200億円だった。それが2024年10月末の時価総額は約1.7兆円。1年弱で5倍強まで増加した。
A:このようなフジクラの株価は11月8日に大幅上昇でスタート。一時、前日比9%高で上場来高値を更新。それが直後に急落。一時、前日比8%安まで下落。結局、前日比4%安。凄いチャートでした。
T:「つるべ落とし」とはこういうことを言うのかと思ったよ。
A:材料は何であれば、相場ではこうしたことは良くありますね。バイイング・クライマックス、あるいは、Buy the rumor, sell the fact ではありませんが。結局、フジクラの株価は、最高益で急落という形になりました。
T:好材料が出尽くして、利益確定の好機と判断されたのだろうね。
A:それにしても「MSCI ACWIへの追加」という凄いニュースが偶然にも重なりました。
T:IR関係者だけでなくプロの個人投資家は、MSCI ACWIへの追加または除外に関しては注意しておいたほうがよいと思う。FXの世界だと米雇用統計やFOMC、日銀の金融政策決定会合などが注目される。株というか個別株では、MSCIなどの指数への追加または除外が大事なニュース。
A:これらの指数に追加されるとグローバル基準での投資対象になる。除外されるとグローバル基準での投資対象から外れるということですね。
T:うん。パッシブ運用が全盛のいま、巨大なパッシブ運用資金の投資行動に大きな影響を与えるMSCI ACWIのような指数の重要性はまだまだ認知されていないように思う。
A:MSCI ACWIの今回(見直しは四半期毎)の見直しで除外された7銘柄を確認しておきたいです。
T:時価総額は11月8日時点。約7,500億円のイビデン(4062)、約7,300億円の京成電鉄(9009)、約7,000億円の野村不動産ホールディングス(3231)、約6,600億円の浜松ホトニクス(6965)、6,300億円のマツダ(7261)、約6,300億円のローム(6963)、約5,200億円SUMCO(3436)。なお、京成電鉄に対してはアクティビストの英Palliser Capitalが約2%投資。マツダは、日産自動車などと同じく苦戦。ロームは今期12年ぶりに赤字転落の見通し。
A:業績などの理由で株価が下落すると、MSCIなどの指数からも除外され、株価への下方圧力がさらに強まるわけですね。アシックス(7936)の株価は1年で約3倍の約2兆円。本年5月末にMSCI ACWIに追加。一方、除外されるマツダの時価総額はアシックスの1/3にも満たず。それにしても、マツダの時価総額は衝撃的です。