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共同親権は子供の連れ去りをなくせるか

2022年、共同親権導入についてTV、新聞、SNSで急速に語られるようになりました。8月末は法務省から中間試案が発表されパブリックコメントに移行する予定でしたが、当初案について「本来の意見が反映されていない」と追及され、9月以降に延びました。世界で日本・インド・トルコのたった3カ国が単独親権制度の現状、世界的に多数派である共同親権に変わることは何が問題なのでしょうか?

単独親権VS共同親権

日本では離婚すると父か母の一方のみが親権を持つ単独親権制度です。これはDV救済を掲げた政策と相性が良い性質があります。例えば、一方の配偶者にDVがあり、その暴力が子供へも及ぶ場合、子供への影響を理由に離婚後面会交流を拒否することができます。

この構図は
「離婚したら親はどっちか1人+子供を会わせない事由がある=別居親と子の隔離」
と置き換えることができます。この、会わせたくない事由さえ得れば一方の親は故意にもう一方の親から子供を奪うことができるのです。DVへ過剰に敏感となった行政・司法を逆手に、強引、虚偽とも言えるDVが告発されるようになり、これが昨今取り上げられている「子供の連れ去り問題」に至りました。このような経緯から無理矢理DV犯と扱われ、結果、子供と会えなくなった親が共同親権を掲げるようになったのです。

議論の構図は
単独親権(DVからの救済) VS 共同親権(虚偽DVへの抗議と子供との再会)
と見なされています。

しかし
DVがない離婚は単独親権が最適なのか?
仮にDVの容疑があっても、養育に携わる権利は別では?
議論が進むにつれ、このような意見がも出てきました。

メディア論争を見抜け

政党サイドでは自民党・柴山昌彦、維新・梅村みずほが共同親権を推進しており、立憲・枝野幸男、れいわ・よだかれんが反対を示しています。これに準じるように、報道局も共同親権について取り上げるようになりました。
日曜PRIME(フジテレビ)は櫻井よしこが出演し、視聴者投票を行い共同親権に賛成(72%)、反対(13%)、どちらともいえない(15%)と発表しました。報道ステーション(テレビ朝日)ではシングルマザーサポート団体全国協議会(駒崎弘樹氏の団体)の調べにより、ひとり親の70%が共同親権に反対と報道しました。両局とも、公平に賛否双方のコメントを挙げていますが、バイアスはかかっています。局として賛否を暗示していることは否めません。
今後メディアを正しく見極めるには、発信者のバックグランドを把握する必要もあります。

田端信太郎が発議したイシュー

実際、この親権議論についてよくわからないという方は田端信太郎氏のツイッター議論がわかりやすいのでオススメです。田端氏は既婚者の子持ち・離婚経験ナシの立場から議論し、非常に公平な見解を述べています。

単独親権は男女平等に反する?

共同親権に反対を示すNPO法人代表は田端氏に対し、共同親権に反対する理由をDVからの保護と展開しました。しかしDVが親権を持つ、持たないことには絶対的に関係しないと反論されました。田端氏は、DV被害に遭っている男性が実際に相談所へ行かないこと、多くの働いてる父親の育児時間が少ないこと、父親が親権は取れないのに養育費だけは払わないといけない現状、これらに理解の余地があると述べ、現状のDVの救済や単独親権は父母による偏りがあると明らかにし、親権とDVの部別を示したのです。
また、実務上の経験則から話すNPO法人代表に対し、偏狭な意見でありマジョリティが本気で賛同できるロジックではないと議論そのものについて指摘しました。
この議論をきっかけに、単独親権・共同親権の議論に当事者以外の偏りのない意見が必要であると広まりました。田端氏は「連れ去り問題」「実子誘拐」というパワーワードを用いることなく、自然と共同親権の賛成者の声を吸い上げたのです。

共同親権から単独親権に変更した国はない

ある単独親権の支持者らによって、欧米で離婚後共同を見直し始めている、世界各国が共同親権から単独に変えているそう、というツイートが散見されました。これらの言及に田端氏は「どこの国ですか?」と指摘したところ、単独親権に変更した事例は全く挙げられなかったのです。変更した事実はないのだから当然です。
共同親権下での面会交流の改善がアップデートされた、もしくは、ごく一部の意見者が見直しを提唱した程度であり、単独親権変更のムーブメントは世界にないことが示されました。

こうして見ると、単独親権の支持者は論拠に乏しいことが伺えます。仮に、単独親権の支持者は誇大広告が多いと周囲から認識され、その活動が大幅に制限されると本当に配偶者からの暴力に悩む人達を救えなくなることが懸念されます。

共同親権は子供の連れ去りをなくせるか?

共同親権が導入されれば親権争奪がなくなるので、子供の連れ去りをなくす作用があります。子供の連れ去りの消滅を図る私としては共同親権に肯定的です。会えなくなった子供を探してほしいという依頼がなくなることは売上が減りますが、公共の利益に大いに帰服します。しかし共同親権の支持者のロジックが全て正しいか、これも未完成です。

親子断絶防止のための共同親権主張は、連れ去りにあった方の相談を受ける私も理解できます。しかし実直に言えば連れ去りにあった人も少数派に変わりありません。虚偽DVや親子断絶状態にあった人数は測量されておらず、DV被害者数と検証することが難しいです。この問題を解決するには離婚後のネグレクト、再婚後の義理親による虐待、父親の積極的な育児関与の向上、このような多方面から共同親権のメリットを離婚未経験者にアピールしなければなりません。田端氏のように公平で偏らない見解を一般層へ拡散することが、連れ去りをなくす鍵かもしれません。

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