GoToトラベルで意外に知らないこと

感染状況の拡大を受け、延期されるのかと思いきや、まさかの前倒しでの開始が決まったGoToトラベル事業ですが、あまりに突然決まったせいか、情報も錯綜していると思います。
まとめサイトを見ていても、誤解していることがあったり、詳細まで書いていなかったりするのですが、分かっている限りの情報を元にまとめてみました。7/22時点)更新しました)の情報なので、今後更新されることはあります。また、日帰りの場合については、少し条件が違う部分があるので、本記事では割愛します。
また、混乱時期でもあり、情報の保証は致しかねますので、詳細を確認したい場合は、適切なところへお問い合わせください。

GoToトラベル事業とは

昨今の大きく落ち込んだ旅行需要を喚起するための大規模な観光復興支援策です。概要については、観光庁のサイトを参照いただくとPDFが配布されていているので、そちらをご参照ください。

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簡単にまとめると、以下です。
・一人一泊あたり上限を2万円として、旅行代金の半額を最大で支援する。
・支援の内訳は、7割が旅行代金の割引、3割が旅行先で使える地域共通クーポン
・連泊や回数制限はなし。
つまり、実質的に旅行代金の半額を補助するという制度です。
国内観光の需要喚起のため、海外からの旅行は対象ではないなど、適用対象外となるケースもあります。
詳細については、後述します。

GoToトラベル事業の開始時期は?

7/22開始とか、7/27以降は準備の整った事業者のみとかありますが、分かりづらく、サイトによって違うことが書いていることがあります。整理したところ以下になりあした。

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※ただし、消費者の申請についても、参画事業の認定を受ける事業者からの予約サイトからの予約など、条件がつきました。
1/31宿泊、2/1チェックアウトまでが対象ということでした。

・7/22~8/31の予約については、既予約も含め、旅行後に還付される。旅行会社経由の予約は旅行会社が還付し、宿泊施設で支払った場合は顧客で申請する。詳細は、旅行者向け還付取扱要領を参照。
・7/27以降に行った予約については、事前準備が整った旅行会社、予約サイトからの予約であれば、事前に割り引いた金額で販売され、事業者が申請する。
・事前準備が整っていない旅行会社の予約の場合、7/27以降に行った予約でも、8/31まで(9/1チェックアウト)であれば、消費者の申請により、旅行後に還付される。
・地域共通クーポンの開始は9/1開始予定(日程は確定ではありません)である。
・終了時期については明記されていない。本年度予算の範囲内で消化が必要なので、期限はある。また、予算が尽きれば、予定よりも早く終了する可能性もある。
消費者申請の終了時期については、概要には書かれていなかったのですが、Q&Aには書いていたりするので、見落としがちですね。
観光庁に問い合わせたところ、7/27以降の予約でも、準備が整っていない予約サイトからの予約であれば、受け付けてくれるそうです。

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東京都は対象外について

東京都が対象外となりましたが、具体的にはどうなっているのでしょうか?

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基本ルールとしては、東京都が目的地、東京都在住を対象外とするということです。Q&Aを見ると、さらに詳細があります。

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ここから読みとれることは以下です。
・東京都在住は対象外。チェックは運転免許書などで行う。
・東京都外在住者が東京都を経由する場合は対象内。羽田空港なども発着に当たらない。
・同行者については記載がない。おそらく、現地判断に任せることになる。(子供の身分証明書がないなど、イレギュラーケースがある)

開始時期の厳密な規定はどうなっているか?

ほとんどの人は1泊を想定しているかも知れないのですが、2泊する場合や、9/1以降の予約など、網羅してくれているサイトは残念ながらありません。こちらについて、実際の例を元に、明確にしていきたいと思います。

例1) 7/20から4泊する場合
7/22から消費者の申請が可能となりますが、7/20から4泊した場合はどうなるのでしょうか?
Q&Aに回答があり、こちらは対象外になるとのことでした。ただし、予約を分割すれば、7/22からの分は適用可能とのことなので、該当する方は、予約を分割してもらいましょう。ただし、連泊割りなどが適用されなくなり、高くなるケースはあるので、ご注意ください。

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例2) 7/26から2泊する場合で、準備の整った事業者で予約した場合
消費者からの申請のみ受付けることになりそうです。7/27以降については、消費者の申請による還付は可能ですが、7/26を含んだ申請だと事業者申請による事前割引の対象にはなりません。そのため、混乱を避けるために、事業者側でも通常価格の販売を行うものと思われます。

例3) 8/31から2泊する場合で、既に予約してしまっている場合
まず、前提として消費者申請による還付は、8/31までなので、現状のままでは還付は受け付けられません。また、予約を分割しても、9/1の申請は事業者が行う必要があるため、今の予約は一度キャンセルして、事前準備が整った事業者で7/27以降に取り直す必要があります。
一方で、予約の取り直しについては課題が多く残っています。例えば、満室の日はキャンセルしても、取り直せる保証がありません。こちらについては、多くの課題を抱えている状態で、正式な方針は決まっていません。不安しかないと思いますが、正確な情報が出るまで待つしかなさそうです。

例4) 9/1以降に宿泊する場合で、既に予約してしまっている場合
例3) と考え方は同じです。現状のままだと、適用対象外なのですが、今は待つしかありません。

問い合わせても、直接的な回答がもらえない場合もあると思いますが、正しい情報がでていないので、今は回答できない状態です。今回のGoTo事業で困っている宿泊業関連の方が困っているポイントにもなっています。

金額の明確な規定はどうなっているか?

「支援額の7割が旅行代金割引き、支援額の3割が地域共通クーポン」という情報だけが流れ、明確な規定については意外に触れられていないと思います。まずは、原則の考え方から説明します。
[原則]
・旅行代金の半額を支援額とする。支援額の上限は1人あたり2万円
・無料児の宿泊でも支援額の計算対象となる。
・旅行代金の割引は、支援額の上限7割(1円以下の端数は、切り捨て)
・地域共通クーポンは、支援額の3割。ただし、1000円以下の端数については、四捨五入とする。
・旅行代金には、消費税、宿泊税、入湯税といった税も含んでも、含めなくてもよい。

これだけでも、ルールは複雑と思うのですが、これだけには留まりません。実際の例をもとに見ていきましょう。
例1) 1人2泊6万円(1泊目5万円、2泊目1万円)の場合
Q&Aに回答を見ると、合計6万を2泊で割り、 6万円 / 2 = 3万円と書いていましたが、あくまで一例ということのようです。
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厳密に把握できるなら、1泊毎に計算して申請することもできますし、まとめてもよいということでした。そのため、計算の判断については、事業者に委ねられています。
航空券付きなどの旅行の場合は、連泊すると間の泊の金額が安くなる場合があるので、交通もまとめて手配する旅行会社はおそらくはまとめて計算するのではないかと思います。

例2) 合計10万円(1泊目1名5万円、2泊目2名5万円)の場合
泊によって、人数が異なるケースというのも、実際にはあると思います。この場合についても、確認しました。
考え方としては、例1) と同じで、事業者判断とのことでした。
正確な泊ごとの人数を把握できるなら、上限額は、2万円× (1泊目1人 + 2泊目2人) = 6万円、把握できないなら上限2万円×2人= 4万円が支援額の上限になり、10万円 / 2 = 5万円なので、支援額が5万円になるのか、4万円になるのかが変わります。

どちらも、予約サイトによって変わるので、注意が必要なポイントです。

直販や電話予約も対象なのか?

結論を先に言うと、直販や電話予約でも対象になります。OTAや旅行会社経由でしか申請できなかった過去のふっこう割とは大きな違いですね。ただし、なんでもOKにすると、不正な申請も通ってしまうので、条件もあるようです。
過去のふっこう割では、旅行会社やOTAしか対象にならなかったことが原因か、運営事務局から推測されたのかは定かではありませんが、事務局関連の旅行会社からしか対象にならないという記載も見られましたが、誤りのようです。
なお、Q&Aの記載には以下がありました。

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ここだけ見ると、可能なようにも見えますが、「予約システムを通じて宿泊記録が外部に確実に蓄積・保管される仕組みが構築されている」というところが、特に分かりづらいと思います。こちらについて問い合わせたところ、申請にあたり不正が働けない仕組みであることがポイントということで、宿で自由に書き換えれる手書きのデータやExcelなどの帳票、宿泊管理システムのデータを元にした申請は対象外にしたいということでした。宿の直販なので、仕方ないとはいえ、宿側にも制限をかけたいということですね。
電話予約もこのルールに則ってほしいということです。
ただ、これだと、予約システムを自社で持たない宿もあるため、救済策も検討は進めているそうです。正式な情報はまだ出ておらず、こちらについても、回答できない宿が現状はあるという状況だと思います。

予約はどこで取るのがお得か?

色々とお話しましたが、利用者の方が一番知りたいのはこちらですね。
今までの情報をまとめた見解をお伝えすると、ケースバイケースなので、比較して安いところを選んでということになりそうです。
比較の時のポイントをお伝えします。

・直販にのみ、魅力的なプラン・特典・割引があるか。
・宿泊税や入湯税がある宿で、税を含めて申請できるか?
・交通費を含めて予約ができるか?
・GoToキャンペーンに合わせたクーポンが利用できるか?

直販でも交通付きの直販を行っているサイトもありますので、情報に踊らされず、自分で比較する方がお得に予約ができると思います。
泊ごとに金額が異なる場合や、人数が異なる場合は予約を手配する事業者によって変わるので、その点についても確認が必要ですね。
また、限定的ではありますが、自治体レベルで行っているふっこう割が適用中の自治体も残っており、近隣の旅行であれば、そちらを適用したほうがお得な場合もありそうです。

少しでも宿に直接還元し、応援したい方は、直販で購入するということもあります。

地域共通クーポンについて

開始時期も明確にならないなど、不明点ばかりなのですが、分かっている情報だけまとめます。

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・9/1以降の対象予約について配布される。
・支援金額の3割の地域共通クーポンを発行する。
・利用可能なのは、旅行先の都道府県+隣接都道府県の地域共通クーポン加盟店
・旅行会社のサービスカウンター、および、宿泊施設で配布される。
・紙のクーポンと電子媒体がある。

また、何でも使えるわけではなく、制限はかかるようです。

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運用面での変更はこれからもある可能性が含まれている状況でした。

最後に

発表のタイミング、開始時期も非常に悪い上、不明点も残っている状態で始まりそうなGoToトラベル事業ですが、早く正しい情報が公開されるのを祈るばかりです。宿泊事業者の方も困っている様子がSNSからも見受けられます。
知事の反対の声もあがり、本当に実施できるのか疑わしい状況ですが、やるならやるで、特定の事業者だけに適用できる仕組みにはならないようにしてほしいものです。