僕らと違う2019年 【 ロボティクス・ノーツ 】(XBOX360)
シュタインズゲートが想像の100倍面白いゲームで感動してしまった僕が次に手を出したのは、2012年に発売した同じビジュアルノベル「科学ADVシリーズ」3作目の本作「ロボティクス・ノーツ」だ。順番的には一作目をやるべきだが、先に本作を絶賛積んでいたのでこちらを先にプレイ。
舞台は鬱蒼とした秋葉原から10年後の2019年の青い空がどこまでも眩しい南国・種子島。
そこはAR(拡張現実)、アシストスーツ、ドローンなどちょっと先で実現化しそうなテクノロジーが顔を覗かせる世界。そこで巨大ロボット作りに精を出す女子高生と、それを見守りながら格闘ゲームに精を出す高校生のジュブナイルものだ。
2019年は今や過去になってしまったが、ニトロプラスと5pbが予見した未来はなかなか面白い。
2012年当時に少しだけ流行っていたARアプリ「セカイカメラ」の要素を取り入れ、本作で使われるスマホ(本作ではポケコンと呼ばれている)にはARアプリ「いる夫」が普及しており、本作ではそれが大活躍している。
セカイカメラはその先進的な姿勢とは裏腹に様々なAR特有の課題を残し普及せず終わってしまったが、本作では普及した人々がどのようにARと触れているかを少しだけ見ることができる。
しかしそこはゲームの一部。世界観のディテールの話だ。
本作のストーリーは器用だけど不器用な若者達のチグハグなロボット作り。そしてシュタインズゲートと同じく裏で暗躍する大いなる陰謀との戦いが主題だ。
だけどこれがまたついて行くのが序盤は辛かった。なんせ本作に出てくるキャラクターの誰も好きになれないのだ。
協調性のかけらも無い主人公、実力が伴わないのに一人で突っ走るヒロイン。技術はあるけれど反抗的な後輩など、これから成長し団結する未来は見えるかもしれないが、その過程である序盤はその未来が見えないくらい皆がバラバラでギクシャクでとにかく辛かった。ラボメンの連中の和気あいあいとしたギャグを交えたユルさに比べるとマジで辛い。
これなら似た題材のシンプルシリーズの名作「THEロボット作ろうぜ!」の方が何十倍も優れているぞ!
でも、そんな彼らも一人一人問題を抱えており、ストーリーを進めていく事でその問題と向き合い成長していく。そうなると、ようやく本作は軌道に乗ってくる。そしてのどかな種子島に潜む闇も徐々にと見えてくる。
本シリーズ「科学ADVシリーズ」は近年のMAVEL映画並に過去作と世界観を深く共有しており、小さなユニバースを形成している。
特に本作はシュタインズゲートとの繋がりが深く、パッケージの裏には世界線変動率(ダイバージェンス)の数字が並び、ミスターブラウンの娘である天王寺綯も登場するし、ラボメンの影も見え隠れする。もちろんカオスヘッドのネタや事件や、例の組織の名前も出てくる。いつのまにか僕は科学アドベンチャーユニバースに足を突っ込んでいたのだ。
こういう作品を越えたネタはやっぱり楽しい。
そしてストーリーは進むにつれて青春なジュブナイルと、陰謀なサスペンスが入り混じるヒリヒリしながらも、どこか爽やかな展開へ。本当に名塚佳織女史が声を当ててるのか不思議になる変な女オタクや謎の釘宮理恵美少女の登場や不思議な物質の出現、怪しいの宝探しにドキドキしながら、話のスケールは種子島のレベルを超えて行く。その頃にはキャラクター全員の事も好きになって、当初のダルさは忘れて楽しんでいた。
しかし立ち絵を3Dにしちゃった事で、表情や動きのパターンが似たものばかりで想像力で保管する二次元絵に比べると表現の幅が狭くなっちゃった気がしなくもないし、フラグの解放は相変わらず攻略を見ないとわからない。
そんなこんなでシュタインズゲートに比べるとだいぶ人を選ぶ作品になってはいるけれど、僕は本作を何だかんだで楽しんでしまった。オチは少し物足りなさを感じるところがあるだけに、早く続編の「ロボティクス・ノーツ DaSH」も遊びたい。
そんな気持ちもあってか、僕は次の作品に即手を出すのであった。
DATA
ROBOTICS;NOTES
発売 / 開発:MAGES.
対応ハード:(通常盤)Xbox360.PS3(ELITE版)PS4.Switch.Vita
発売日:2012年6月28日
ジャンル:拡張科学アドベンチャー