推理と分解で脱出!【 脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 】(3DS)
アーク発脱出ゲームシリーズ!
一体どこから火がついたのかは定かではないが、2010年代に各メーカーが家庭用ハードで脱出ゲームをこぞって販売している時代があった。もちろんハードは脱出ゲームとタッチペンで相性抜群のニンテンドーDS。
D3パブリッシャーがシンプルシリーズで脱出ゲームを出しまくっていた頃、もう一つのメーカーもまた脱出ゲームに目をつけていた。
ギルティギアやブレイブルーでお馴染みのアークシステムワークスである。意外と3DSでは小粒なゲームまで手広く色んなジャンルを作っていたこの会社もまた脱出ゲームを制作していた。その名も『脱出アドベンチャーシリーズ』。今回取り上げるのはその一本目「旧校舎の少女」である。
ちなみに脱出アドベンチャーシリーズは小粒とは言え、その後7作も発売されている、なかなかのボリュームのシリーズだ。
目玉は分解!
本シリーズも他の脱出ゲームと同じく、閉じ込められた密室の中を探索して、アイテムを組みあわせ、仕掛けやギミックを解いていくポピュラーな流れだが、本作の脱出ゲームとしての特徴は時計職人を祖父に持つ主人公の特技「分解」である。
身につけている腕時計型万能工具『クロノテクト』でいつでもどこでも、ドアノブから金庫、時計までいろんなモノを分解して謎を解いていく。これ小学生なら絶対欲しいやつだ!
ネジを外し、工具を使って中の仕掛けを解いていくのはどこか「鈴木爆発」を思い出すつくりだ。分解して謎を解けば解けば新たな脱出への糸口が見つかるぞ。
もちろんヒント機能もあるので手詰まりを起こしても仲間たちがいろんなヒントをくれる親切設計で嬉しい。
そしてアドベンチャー
本作はアドベンチャーと名乗るだけあって、主人公たちのキャラクターの描写が深いのも見どころだ。なかなか一人一人掘り下げてくれるので人間関係も楽しいぞ。それにキャラクターデザインの割にヌルくないドキッとするピンチらしいピンチが続くのも面白いしハラハラする。(シンプルシリーズは逆でとてもユルい雰囲気)
そしてメインキャラクターの中に一人とても不可解なキャラクターがいるのはとても面白かった。
何か変だなと思い、アドベンチャーではよくあるバックログ(読み返し機能)を見ると先程まで話していた、そのキャラクターの台詞だけが丸々無い。そのキャラクターだけバックログに台詞が表示されていないのだ。
最初は制作の手違いかと思ったが、終盤には巧みに仕組まれたネタでたる事がわかりゾクっとして非常に驚き、そしてとても楽しめた。こういったそのジャンルによくあるシステムを逆手に取った手法はめちゃくちゃ好きだぞ。
ストーリーの結末は文字通り脱出したことで一件落着となるが、残された伏線と謎はかなり多く、次回作へと続いている。そんな訳で長いシリーズになる1本目は数時間程度でクリアできましたが、パズルも謎解きも歯応えがあり、楽しむことができました。今後の次回作でも主人公たちはさらに大変な目に遭いそうだ。
DATA
脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 (配信終了)
発売:アークシステムワークス
開発:INTENCE
対応ハード:ニンテンドー3DS
発売日:2012年8月1日
ジャンル:脱出アドベンチャーゲーム
価格:734円
公式サイト:https://www.arcsystemworks.jp/mnd/