Switchで遊ぶ往年ツクールRPG 【 ごめんね、NPCです 】(Switch)
いやコレ、ツクールでしょ。ツクールだよな。
うん、ツクールだ。
毎度のごとく、ニンテンドーストアを漁っていたら、サムネからどう見てもRPGツクールで作られたゲームを見つけた。それが「ごめんね、NPCです」だ。
昨今ではツクール製のゲームでも制作の自由度の高さから、一見見てもツクールで作られているかわからない高いクオリティのゲームもが多数登場し、グラフィックに音楽、独自システムなどもそのゲームのために用意されているのが主流で、ニンテンドーストアでも「ツクールシリーズ」としてたくさん並んでいる。今やツクール製のゲームがコンシューマーゲーム機のストアに並ぶことは珍しくはないのだが、本作はちょっと話が違う。
なんと本作はRPGツクールVXの初めから用意されているデフォルト素材やコマンド選択式の戦闘システムをそのまま使っている。なので知ってる人間なら一目でツクールで作られたゲームだとわかる。
だってこの顔グラフィック、高橋邦子の動画で散々見たもの!!!
RPGあるあるなギャグRPG!
しかしゲームはグラフィックやシステムも大事だが、ツクールで最も大事なのはストーリーだ。本作のストーリーはなかなか良いぞ。
つまり本作はRPGではよくあるプレイヤーの行動やよくある展開などを「RPGあるある」としてネタにしたギャグRPGなのである。
経験値のためにやたら弱いモンスターをいじめまくる勇者、ショボイ仕事なのにやたら大金がもらえる勇者専用のクエストなど、随所に一度は経験したことあったりする、あるあるネタがたっぷり用意され、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)たちから見た、勇者たちのために作られた歪すぎる世界がなんとも笑いを誘う。
それにアイテムの説明や小ネタ、やたら長いNPCとの問答なども多くて、ネタイベント目的に寄り道したくなる作りは往年のツクール製フリーゲームを思い出す非常に楽しい作りだ。雑誌の付録やネット喫茶などで集めては遊びまくっていた中学生時代を思い出すぜ…。
難易度は普通のコマンド選択式戦闘ながら、最初から仲間が全体魔法を覚えていたりとやたら強く。アイテムの性能も良いのでかなり優しめ。どちらかというと戦闘の面白さよりも、ゲームのテンポを優先した作りのようだ。
ローカライズがもったいない!
しかし本作は惜しい一作でもある。
なぜかというと、このゲームとてつもなく誤字脱字が多いのだ。いや、多いってもんじゃない。日本語もおかしいし、とても読みにくい!
実は本作は日本製ではなく中国の「四块二茶会」というメーカーのゲーム。つまりこれ海外のゲームではたまにあるローカライズが非常に残念なクオリティなのだ。これに関しては文章のギャグがメインのゲームなだけあって、読みにくい文章のギャグを理解する為に一旦考えたりするので伝達率が悪く、素直に楽しめないのでとても残念で勿体ない。
しかしこんなRPGあるあるネタが中国でもこんなにネタにされていたとは意外。あちらでもRPGは愛されているのね。
本作の作られた経緯などについてはこちらの記事をどうぞ。
それにこのゲーム、ツクールゲームなのにバグが多めで、ストーリーの最後のシーン直前でセーブをするのだが、そのデータだけは壊れて強制リセットになってしまったりとなかなか作りは荒い。うーん残念…。
ボリュームと価格は・・・。
ゲームのボリュームはというと本作は二時間程度でクリアできてしまう。まぁ「おかしい戦闘バランスはそういうことか」と思わせるコンパクトなボリュームだ。
実はキャラクターが魅力的なので愛着が持ててきたところでお話が終わってしまうので少々残念でもある。もうちょっと遊びたかったなぁ…。
そして値段は499円。
・・・普通のゲームなら考えないのだが、フリーで凄いゲームが大量に出ていただけに、ツクールのデフォルトの顔グラフィックや戦闘を使ったゲームに499円払うのはいささか・・・いや、結構もやもやするぞ。
いや、むしろあの頃(2000年代前半)はあんなクオリティのゲームがほとんどフリーで遊べていた事自体がすごい事だったのかもしれない。
本作はなんだかんだ惜しいところは多くあるものの、往年のRPGツクールのギャグゲームを思い出させてくれる、ボクにとっては結構嬉しいゲームでした。
Switchでこんな往年の作りをしたツクールゲームを遊べてしまうとは、やっぱりSwitchは凄い事になっているなぁ。
・・・でもこれで499円・・・(ぶつぶつ)
DATA
ごめんね、NPCです
発売:indienova
対応ハード:Switch
発売日:2022年2月24日
ジャンル:RPG
価格:499円
編集後記
ちなみに当時は「勇者と異常者」や「D.D.黒の封印」「シルフェイド見聞録」あたりのギャグをメインとしたツクール製フリーゲームが大好きでした。