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異次元の舞台化【 死刑執行中脱獄進行中 】 (2015・舞台)

まさかの短編の舞台化!?

荒木飛呂彦作品初の舞台化である。期待の反面あの短編漫画をどのように舞台化するのか。
あの鼠とか焼き魚の罠とかやっちゃうのか。結構残酷なのにどう再現するのか気になってしょうがなかった。
主演は森山未來というのもわからなくさせる。一体どうなるんだ。

そして始まった舞台は僕の期待を上手に裏切ってくれた。
舞台にあるのはバンドメンバーと少量の小道具と布が吊るされているだけ。
漫画から引用された台詞を喋るが、そこにある世界はまるで漫画とは違う、シュールで型にはまらないダンスの連続。家具から飛び出してきたダンサー達が今まで一度も見た子も無いような動きで体を融合させながら蠢き、囚人を時には飲み込み、時には追い込み、様々な形に姿を変えていく。

見た事もないその踊りに無意識のうちに食い入って見ていた。荒木飛呂彦の書く俗っぽい台詞と、見せられるその抽象的な世界は一見ミスマッチのように見えるが、更にこの舞台を美味しくしている。更に単行本に集録されている「ドルチ 〜ダイ・ハード・ザ・キャット〜」のシナリオを織り交ぜ役者達の動きは更に複雑化し、自分が何を目的で来たのかさえわからなくさせてしまう世界観に圧倒されてしまう。
荒木飛呂彦目的で行くと非常に面食らう作品だが、そこにあるのは見た事もない非常に繊細で前衛的な面白い世界でした。


DATA

死刑執行中脱獄進行中
主演:森山未來
構成・演出・振付:長谷川寧
ジャンル:舞台



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