Ⅷがシリーズへの導線となる 【 イースⅧ -Lacrimosa of DANA- 】(PS4)
イースをやるぜ!
ナンバリングを重ね長年続いてきたシリーズを一から手をつけるのはやはり難しい。特に主人公が同じであり続けるイースはその最たるモノ。
シリーズの主人公であり冒険家であるアドル・クリスティンがその冒険を終え、生涯の冒険を書き綴った100冊以上の本の一冊を我々はゲームという形で体験している。
そんな彼の物語をシリーズ8作目から遊ぶなんて相当横着な気がするけど、いつまでもこの評判の良いⅧを「PCエンジン版のⅠ・Ⅱをクリアしてからの方が良いかな〜😀」なんて事を言っていたら自分はいつまで経っても遊ばないとわかった。
普段イースシリーズなんて遊ばない友人もⅧから遊びどハマりしたし、周囲の友人も本作からイースシリーズを遊びはじめてハマったなんて人もいる。それは気になる…と言う事でそんな友人から今回本作を借りて遊んでみた。
そして僕も本作を遊ぶたびにやたら褒めるツイートをする人になってしまったのだった。この本文はあまりゲームの紹介はせず、本当に感想文という形で書いていこうと思う。先に白状しておくと、僕はPCエンジン版イースⅠ・ⅡのPS3版を買って途中で投げた人間だ。それを踏まえて文書を書く。
無人島1つだけの大スケールRPG
僕はイースシリーズを勝手に世界を股にかけるよくあるRPGかと思ったら無人島たった一つを舞台にしたスケールで巧みに納めている事にも驚いた。
世界中をすぐにワープ出来ちゃって大陸すらも小さく感じてしまうのがRPGの常だが、冷静に考えて等身大の人間にとって島一つは普通に広い。思えばそれはテストドライブアンリミテッドのハワイ・オアフ島で経験済だったね。
そしてこの島でほぼ全ての冒険が完結するのも面白い。ここには海も谷も山も沼も洞窟も遺跡も冒険に必要なものは全て揃っている。
しかも序盤は島の全容が全く掴めないので冒険してマップを埋めていくだけでもかなり楽しい。
しかも本作はアクションRPG。無双アクション並にガンガン敵を倒しながら突き進んでいくこの軽快さがまた楽しんだ。ほんとスルスル遊べる。イースⅧは流動食かなにかだ。
明確な目標。交わるドラマ
一方ストーリーもとても地に足がついている。なんせ船が難破して無人島に漂流したアドルたちの目標はこの島からの『脱出』しかない。他のキャラクター達も皆同じで、年齢も階級も職業も違う人々が一つの目標に向かって協力し合う姿は王道であるが、ここまでゲームとして面白くできるのかと驚いた。明確な敵もおらず終始生き延びることが前提となるドラマは他のJRPGにはない特徴かもしれない。
生存者たちが自分達の得意分野を活かしてアドル達をサポートをしてくれるのは楽しいし、彼らを助けていく事でピクミンのように島の探索エリアが広がっていくのも嬉しい。探索すればするほど面白い生存者やロケーションに出会えて、生存者が集まれば集まるほど面白いことが起こるのでワクワクするし、もっと遊びたくなる。好循環が止まらない。
そして中盤からのストーリーは本作がまた違う顔を見せ始め、ただの島を探索するだけじゃなくなる味変的展開も非常に上手。グイグイとドラマもスケールも大きくなっていくぞ。なんて周到なゲームなんだイースⅧ!
アドルという主人公...もとい冒険狂い
そして本作を遊んで、無口な主人公アドル・クリスティンは赤毛であるという特徴はあるけれど無味無臭なプレイヤーの分身と思っていたが、それは結構な的外れである事がわかった。
冒険家を自称するアドルを他人から言わせてみたら、相当な冒険好き...いや、冒険狂いである。なんせこの絶望的な状況を嬉々として受け入れ、涼しい顔で先頭に立って乗り越えようとしているヤバい奴だからだ。突飛なプレイヤーの行動もアドルならやりかねないと思わせるのも凄い。さすがアドルだ。(ラクシャという主人公の異質、異様さを指摘してくれるキャラクターのおかげで更にそれが際立つ)
話はそれるけど、どこかで似た主人公がいたなと思ったらペルソナ4の主人公「番長」に近い。彼もプレイヤーの分身でありながらその行動は時たまプレイヤーも驚くような行動に出るし、それが面白いのだ。
そして忘れてはいけないのは、彼の相棒のドギ。彼もまたシリーズを通して登場するムキムキの万能野郎なのだが、彼のあまりの万能っぷりが面白すぎて彼の他のシリーズでの活躍も気になってしまうぞ。もう大体の事はドギがいればなんとかなるんじゃないかと思わせてくれる。
Ⅷから次の冒険への好奇心が湧いてくる
そして本作のおかげでアドル・クリスティンというシリーズ屈指の面白キャラが大好きになった。そしてアドルとドギの冒険がⅧだけではなくこの前後にもシリーズを通して沢山あると思うと、この冒険狂いの冒険を更に知りたくなるのだ。他のイースシリーズも遊びたい!気になる!と思わせる力がこのイースⅧにはあるんだ。
そんなわけでスルスルと時間も忘れて遊んでいたイースⅧ。
他の作品との関わりも少しはあるけれど、Ⅷから始めて悔いることはあまりありませんでした。むしろ他のシリーズへの興味がグンと湧いたので本作を遊んで本当に良かったね。素晴らしい作品です。是非遊んでみてください。
DATA
イースⅧ -Lacrimosa of DANA-
発売 /開発:日本ファルコム
対応ハード:PS4、Vita、Switch、Steam
発売年:2017年5月25日(PS4版)
ジャンル:アクションRPG
[以降はの文章はネタバレを含みます。]
キャラクター別所感
アドル
シリーズの主人公ではあるけれど、ゲームの後半は主役をダーナに取られ完全な狂言回しとなってしまう冒険狂い。
後半は進化の守り人に選ばれるけれど、あまり危機感がないのが面白い。終盤はただダーナを「大丈夫か」と心配する役の人でした。
キャラクターとしても心優しいが、隠しきれない冒険への愛とデカすぎる好奇心が表に出過ぎていて面白すぎる。
戦闘もバランスの良い技でグイグイ突き進めるので最も爽快感のあるアクションが気持ちよかったです。
立ち止まっていると「止まるのは好きじゃないな…!」とプレイヤーに注意してくるのが最高。なんなんだお前。
ラクシャ
絵に描いたようなツンツンお嬢様。だんだんデレてくるのが普通に可愛いし、大物を釣り上げた時にドヤ顔が最高だ。本作の推しです。
そしてこの人のリアクションのおかげでセイレン島とアドルの異常性がよくわかるツッコミ&解説役。
レイピア攻撃も直線的でなかなか扱いが慣れるまでは難しいけれど、楽しいぞ。ちなみに声優的にはブレイブウィッチーズのニパと同じ高森奈津美さんで、ところどころニパっぽくなるのが個人的には最高でした。
にしてもその太ももにある本が気になる…。
サハド
JRPGに普通のおっさんがメインキャラでやってきた!ただの気の良い中年の漁師だ!ただ品がねえ!
ここまで普通のおっさんまでメインの戦闘要員になるのもこのシチュエーションだからこその妙。イースの懐の深さ!
作劇的には喜怒哀楽の感情を爆発させる要員なので、なんだかんだ最後まで感情移入しやすいキャラクターでしたね。なかなかヘビー級の動きをするアクションだけれど、重い一撃が楽しかったです。
ヒュンメル
影のあるキャラクターがやってきたと思ったらただの変な人だった!
急なパーティ加入や離脱をしたりと怪しい雰囲気満々の兄ちゃんだったけれど、蓋を開けたらやたら仕事にストイックなアドルと同じくらいの変人だった面白野郎。ただ協調性もコミュ力もそんなにないのでパーティの中ではかなり地味になってしまうのが残念でした。
そして銃による戦闘はパーティ随一の難しさで操作が難しかったです。
最後の最後に彼の背景をやっと見せてくれたのが嬉しかったね。いい人なんです。
リコッタ
謎の野生児女の子。一体どこからそんなパワーが溢れているのか!
船長が亡くなったあとだったけれどおかげで彼女とタナトスのおかげでパーティが明るくなりました。
サハドに比べるとかなり軽快に動いてくれるので操作に爽快感がありましたね。攻撃ボタンを連打しまくると何度も地面を叩きつける攻撃が不思議。
ダーナ
この人がこのゲームの主人公でした。ってくらいイースⅧはこの人の物語。
序盤のアドルの見る夢のダーナパートがダルいけれど、なんてことはないダーナのお話こそがこのゲームの肝でしたね。
しかも突然のアドルの目の前に現れてパーティ加入には驚きました。たしかにダーナにはいつも驚かされる。
ゲームの終盤改めてタイトル画面のイースⅧの当初はなんのことかわからなかったサブタイトル「ラクリモサ・オブ・ダーナ」を見て「アッ!!!」となったのは良い体験でした。
さらにダーナパートの仮面ライダー並のフォームチェンジにもテンションが上がりますね。ルミナスの連打でザクザク刺しまくる攻撃が最高に楽しかったです。冷静に考えると凄い攻撃だ。
性格はどこまでも善良で非の打ちどころのないキャラクター。おてんば娘であるようだけど、あまりにも善良すぎる。
そして女神になっちゃう結末にも展開には驚きました。凄いやダーナ。
にしてもこのゲーム女性キャラは露出度が高いけれど、特に露出度が高いっ!!
ドギ
シリーズ通してのアドルの相棒。漂流村の守護神。戦えば強いし、守りも達者、なんでも出来るムキムキ超人。漂流村作りも全て彼がなんとかしてくれる。アドルの言うことを全て受け入れてくれるし、そのための準備もしてくれる最高の男。
アドルに着いて行くには、これくらいの懐がないといけないのだ。
最後に
そんなわけでセイレン島での旅が終わった。
素晴らしい仲間たちとの冒険が終わる。達成感よりもなんだかこの仲間達との別れが寂しくも感じる。いや寂しい!だってみんないい奴らなんだもんホント!
しかしアドルの冒険は終わらない。次はどんな人に出会い、どんな事に巻き込まれるのか。今から楽しみでしょうがない。
そういえばこのセイレン島。元ネタとして確実にあるのは映画「キングコング」の髑髏島。恐竜などの古代生物に原住民、そして我らがコングさんとイースⅧもそれに習っているのも個人的にはとても嬉しいポイントでした。
まだ色々書きたいことがあったりするけれど、そしたらこの記事は終わらないのでこの辺にしておきます…。