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郷愁のネット徘徊ゲーム【 餓史シャチの幸 】(Steam)

それは20年前の思い出

インターネット。2000年代前半、ボンクラ中学生男子の目の前に現れたソイツはまさしくパンドラの箱だった。おもしろFlashにフリーゲームそしてエロ画像。欲しいものが次々と出てくる空間にハマらない訳がない。Yahoo!で検索して個人サイトからリンクページでさらなる深部へ、あの探索感がたまらなくドキドキしたのを覚えている。

もちろんその好奇心のおかげで顔が真っ赤になる思いや、ブラクラやワンクリック詐欺を踏んでビクビクした事もあった。しかしそれにもめげずに暗いネットカフェのパソコンで誰も教えてくれない処世術を学んでいった。
現在の大衆化したインターネットにも独特の怪しさがあるけれど、あの頃のインターネットにあった選ばれしならず者たちが集うアングラ感はもう無い。あの時代が良かったとはちっとも思わないが、ただただ懐かしく思う。

Welcome to Underground...

本作「餓史シャチの幸」はそんなWindowsXP時代のインターネットが再現されたSteamのフリーゲーム。WinXP風のインターネットブラウザで不思議なサイトを徘徊しよう。
特にストーリーはないけれど、サイトで発見したキーアイテムを他のサイトで使って、さらなるページの深部を目指すのだ。擬似ネットサーフィンゲームは海外のゲームならあったけど、日本のインターネットを再現したゲームはなかったのでとても嬉しい。

様々なホームページへの入り口となるリンクページ
キーアイテムに当てはまる入り口を見つけて更なるインターネットの深部へ行こう。

このどう見たって怪しい個人サイトのリンクから、飛んでいくサイトたちは当時のメモ帳で直打ちされたhtml、cssを彷彿とさせる構成のページや、圧縮されて色数の少ない写真、無機質な合成音声、おかしなFlashページ、無駄にうるさいBGMと当時のインターネットの懐かしい空気を放ちつつも、どのページも形容し難い不気味さに満ちており、次のリンクへ飛ぶたびにドキドキする。こんな洒落たセンスのサイトは当時は無かったけど、この怪しさと気味の悪さはたしかにあった。
演出面もかすかに聞こえるハードディスクのカリカリ音、そしてリンクからページへ飛ぶたびに響く「カチッ」音がたまらない。

謎センスによって作られたホームページ達
謎Flashページ。謎すぎて怖い。
このホームページビルダー感!たまんねえ…

ゲームとしては手当たり次第にクリックしていくだけなので、そこまで謎解き感は無く、往年のネットサーファーなら1時間も満たずにクリア出来るくらいのボリュームだった。個人的にはもっとこの空気を味わいたかったなと思っちゃいましたね。
本作はあの時代にしかなかった独特のインターネットの雰囲気と怪しさを今に教えてくれる、素晴らしいゲームです。オススメだ。


DATA

餓史シャチの幸
発売 / 開発:XPLORER SIX
対応ハード:Steam
発売日:2021年5月4日
ジャンル:アドベンチャー


それと…

あの頃のホームページを象徴すると言えばやはり「愛生会病院」のホームページ。やはりこれはこの時代を象徴する無形文化財だ。


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【ゲーム感想】えすえふ
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