こっちも30年ぶり【 チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ 】(2022)
「チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ」かつて89年あたりに放送されていた、「わんぱくダック夢冒険」や「パパはグーフィ」と同じディズニーキャラクターを使ったテレビシリーズである。当時小さかった僕もとことんディズニー漬けにされていたのでVHS見ていたし知っている。彼の国ではガジェットというネズミの女の子せいで幾多の連中の性癖が歪まされたのも知っている。
そして時は過ぎ、そんなアニメがあった事さえ朧げな記憶になっていた頃、突如今年の5月、何故か新作の映画としてDisney+で配信された。
今!?30年前の作品だよ!?時の隔て方はトップガン級の続編である。
本作はチップとデールがあの番組の役者であり、それで大成功を収めた30年後の現代の話である。つまりTVシリーズは劇中劇だったのだ。それから二匹は訳あって別々の道を歩むことになるのだが。
デールは現在も当時の栄光にしがみついたまま、コミックイベントのファン交流会に出ていたりする斜陽キャラクター。どれくらい斜陽かというと向かいの席にあのボツになった方の実写ソニックがいるくらい斜陽だ。しかも何故か昨今のウケを狙って手術の末3Dになっている。
チップはというと堅実に働く保険の営業マン。見た目はアニメから手を洗ったせいかセル塗りの2Dのままだ。そしてこの世界は現実と同じで実写だ。
…なんか変だぞ。このアニメ。
そう変なのである。
所々に見えるディズニー以外のキャラクター、マイリトルポニーにトランスフォーマーまでいる(しかも何故かブロードキャストだ。)
そんな実写世界とアニメキャラが入り混じったカオスな世界。この文脈は完全に「ロジャーラビット」の系譜じゃないか。
ただアチラはまだ他方の作品へのリスペクトがあったけれど本作は没ソニックを見てのとおり悪意が凄い。「それも既にネタ扱いかよ!」と言わんばかりに、コレでもかといろんなキャラクターがいじり倒すので笑えます。
敵となるボスに関してはいくらなんでもあんまりだろっ!って扱いのキャラクターでよくこれが許されたなと思うばかりです。これが天下のディズニー印アニメなんだからあの会社も相当イカれてますよ。(天国のウォルト氏の心境や如何に…。)
本作の本筋はロジャーラビット同様のミステリーとサスペンスだ。
行方不明になったアニメキャラ達の行方を追ってチップとデールが奔走するのだが、常にいろんなネタをそこら中にぶち込んでくるので情報量はレディプレイヤー1並なので見ていて楽しくないはずがない。「あ!アレだ!コレだ!」と見れるのが楽し。更にアニメキャラでもクレイアニメだったり、人形劇だったりも押さえているのも凄い所。ロジャーラビット以上にやりたい放題だ。後半の人間とアニメのバトルは凄いぞ。
そんな訳で終始マニアックに徹した本作。もちろん知らなくてもチップとデールの友情とサスペンスに熱くもなれるけど、やっぱりオタクネタあっての本作。
日本ではそもそもチップとデールの大作戦そのものがマイナーだし、(思えば東京ディズニーランドでガジェットのローラーコースターがあるのは凄い)出てくるネタも米国アニメのネタが多いのでDisney+で配信オンリーというのもわかる気がするが、個人的には色々知っていたおかげでこんなに楽しくて笑える作品はないわけで、なんだかんだ最後までとても楽しめました!
あのソニックもこれで報われた気がするぜ!
DATA
チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ
公開年:2022年
製作国:アメリカ
上映時間:97分
監督:アキヴァ・シェイファー
配信:Disney+