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真夜中のやりたいほうだい【 エレビッツ 】(Wii)
エレビッツ!
それはこの世のエネルギーを司る謎生物!連中は戸棚の奥、家具の隙間、ビンの底、人間の住むいろんなところに潜んでいる!主人公の少年は街に起きた大停電と異変とエレビッツの関係性を調べるためにエレビッツ研究家の父が作ったキャプチャーガンを使って真夜中の夜を飛び出した!
新機軸FPS誕生!
コナミがWii向けに制作したロンチタイトルはなんとFPS。プレイヤーはエレビッツを生け捕りに出来るキャプチャーガンを駆使して部屋や庭先に隠れた小さい謎生物エレビッツを撃って捕まえていくのだ。奴らは昆虫のように物置で寝ていたり、瓶の中に隠れていたりとありとあらゆる場所にに潜んでいるので、物置の戸を開け、段ボールをひっくり返し、モノを振ってエレビッツを見つけ出そう、エレビッツを一定数集めればステージクリアだ。チュートリアルが結構長いけどアレは諦めて耐えるんだ。
操作もWiiリモコンとヌンチャクを使ったFPSで、Wiiリモコンでガンシューティングのようにエイムしていく操作が直感的で普通に楽しいぞ。
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本作は当時コナミの社員であった、漫画メイドインアビスの作者「つくしあきひと氏」による絵本のような可愛らしいキャラクターと、音ゲー界ではお馴染み「猫叉Master」による暖かい音楽が心地よい。そう、この不思議な雰囲気はエレビッツでしか味わえないんだ。オンリーワンだ。
が、そんな雰囲気とは裏腹に本作の見どころはHalf-Life2のグラビティガンもビックリな、物理演算を用いた、キャプチャーガンでステージにあるモノというモノを、なんでも持つことが出来るゲームシステム。というかWiiがこんな凄いマシンパワー持ってる事に驚くぞ。キャプチャーガンで瓶を持ち上げ、本を持ち上げるアクションは新鮮でとても面白い!
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狂気のやりたい放題
最初は丁寧に一つ一つモノを持ち上げてはエレビッツを探していたが、だんだん取って戻す行為が面倒くさくなってくる。すると本作の狂気と本性が露わになってくる。
エレビッツが潜んでいそうな隙間のために邪魔なモノは主人公にとって大切なおもちゃだろうがパソコンだろうが持ち上げて投げ捨てるプレイが平常運転となり、丁寧に片付けられた部屋が一瞬で台風でも起きたかのような惨状に早変わり。
花瓶を投げ、机をひっくり返し「オラオラ!エレビッツ出てこんかい!」と叫べば気分は桐生一馬よりヤクザだ。
やっぱりエレビッツはBGMもいいし面白いけれど、どんどんプレイが雑で暴力的になっていく。 pic.twitter.com/LbVYgXw17L
— SF007 (@SF0O7) January 11, 2023
そしてスケールは子供部屋から台所、庭、街とステージが移り変わることでスケールアップ。それに伴って持ち上げられる力も増していき机、自転車、車とドンドン持ち上げられるモノも大きくなっていく。このスケールが大きくなって行く様はまるで塊魂だ。こうなってくると停電事件の真相なんかよりプレイヤーとして今行なっている狂気の沙汰の方が何倍も恐ろしい。子供の手の届くところに変な銃を置くんじゃない!
所々にあるギミックなどもおもしろく、持ち上げられるモノの種類もかなり多いので作り込まれている世界を赤ちゃん玩具の「やりたい放題」の如く散らかしていくのはかなり痛快だ。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16408378/picture_pc_4f9125ca65e4fb7e69f1c2836d877e8b.jpg)
まぁたまにミッションに「静かにせよ!」とか「モノを壊すな!」などの制限があったり、反撃してくるエレビッツなどの登場もあったりとゲームとしての抑揚もあるけれど、まぁ僕的にはアホみたいにモノを散らかしていくだけでも十分面白かったです。
それにステージ数もかなり多くボリュームもたっぷり。オブジェやステージのバリエーションも多く凄い作り込みだ。ただ後半は長さの割にシステムの変わり映えがなく、作業感が強くなって飽きてしまいますが…。
ちなみにオブジェクトを自由に置いてオリジナルステージを作れるエディットモードも搭載。これがなかなか細かく設置出来て、ここにもなにか製作陣の狂気を感じる。
おまけに弐寺やギタフリ、ポップンの筐体があったり、サイレントヒルのロビーくんもいたりするのもコナミ好きには嬉しい。ただWiiのマシンパワーの限界を攻めてるところがあるせいで結構モッサリな挙動になることも多いので、ここは現行機リメイクも欲しくなってくる。
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子供心を思い出す冒険感
にしてもこのゲームの制作者が体験させたいのは少年の冒険なのではないだろうか。
主人公の少年は両親がいない日にひとけのない大停電で真っ暗な夜の町へと飛び出して、いつも過ごしている昼とは雰囲気が違う夜の冒険は僕らも同じように体験しハラハラワクワクしたものだ。エレビッツは空想的ではあるが、このスケールの冒険は子供の頃を思い出させる。
そしてエレビッツを集めていくことで暗かった街並みにだんだん明かりが灯っていく過程はロマンチックなんだろう。このゲームを考えた人は素晴らしいね。
本作はパッケージの可愛らしい雰囲気のキャラクターからは想像もつかない底知れぬ狂気と独自性を持った作品でした。(正直このパッケージで数割損してるんじゃないかなと思ってしまう)
それにしても大人になるとこんなにやりたい放題散らかすと、後々の後片付けの事も同時に考えてしまうのがなんとも悲しいものです。
DATA
エレビッツ
発売 / 開発:コナミ
対応ハード:Wii
発売日:2006年12月2日
ジャンル:みつけてつかまえアクション
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![【ゲーム感想】えすえふ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/109760335/profile_f8cf84a6686db7003782466f280c0afc.jpg?width=600&crop=1:1,smart)