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ボンドと大人なドラマ【 007 ワールド・イズ・ノット・イナフ 】(2000)

よくも純粋なボンドの心を弄んだな!?

…という冗談はさておいて、本作は悲劇のヒロインかと思いきや絶世のセクシー悪女エレクトラが今回のボンドガールだ。女の恨みは怖いぞ。
敵役の痛覚を失ったテロ男もボンドも彼女を中心に周り弄ばれ、世界の危機へと招いて行く様はなかなか他の007映画とは違ったドラマ重視の大人な雰囲気だ。

こんなタイプの違う二人の悪人に立ち向かうボンドは最初から手負いで最初から失敗となかなかにプライドが傷つけられている。だからか挽回と言わんばかりにエレクトラ警護に頑張っていたが、彼女に対して脇が甘かったボンドはらしくないといえばらしくない。しかもまんまと誘われ誘拐されるMもMだ。やられまくりのMI6はいつものと事と言えばいつもの事か。

そしてヴァレンティンもやられて、「私は殺せないでしょ!?」と煽りに煽られて、ボンドの怒りと焦りが頂点に達した結果、丸腰の相手に銃を撃つ展開というのは…どうなんだろうなぁ。らしくないなぁ。
ドラマとしては良く出来ているのだけれども話はエレクトラの裏切りやら、過去の事件の話が絡み合ったりしていて、なかなかに一度観ただけで内容を理解するのが難しかった。まぁこの伏線の多さや絡み合った人間関係のおかげで本作は他とは違う深みがあるのは確かなのですが。

さて見所のアクションシーンはやはり序盤のQボートによるチェイスが一番の見所。水をかぶったり潜ったり地上を走ったりと、ぶっ飛んだ黒ボートが疾走する様はカッコいいようでどこかユーモラス。そしてスキーチェイスに潜入シーンからの核処理施設からの脱出、そして爆弾解体にのこぎりヘリとの死闘、そして抜きつ抜かれつの潜水艦バトル(やられ方が今思えばコマンドーと一緒だ)となかなかの粒ぞろい。まぁ最後の死闘はあまりにもやっている事が地味で間抜けに見えちゃいますが。

ブロスナンボンド4作の中ではビジュアル的には一番地味かもしれないが、一番大人な雰囲気たっぷりの一本だ。OPテーマも味わい深い一曲。
そしてQの遺作でもある。彼の去り方は非常にユーモラスでカッコ良かったです。


DATA

公開年:2000年
製作国:イギリス・アメリカ
上映時間:127分
監督:マイケル・アプテッド



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